第15話

 土曜日の昼、メタ吐露ンが行きたい場所があると言い出したので外へ。


「どこ行くの?」

「アノオッサンノ所ヤ」


 戻れる方法を提示してくれたので、それが進んでるかは俺も気になる。

 昨日みたいな事がまた起きたら危ないだろうし。


「わっ」

「いてっ」


 そんな事を考えていると、曲がり角で誰かとぶつかってしまった。

 ぶつかった勢いで、尻もちをつく。


「いてて……すみません、大丈夫で……すか」

「大丈ぶ……」


 起きあがり、相手の無事を確かめようとした。

 しかし、その相手は――


「あ! 昨日の人!」

「……あ、え……」


 ぶつかったのは、昨日の夜絡んできた先輩と思しき人。

 先輩も俺と同じく驚いている。


「おい、サトお前、なに転んで……」

「ア、アニキィ!」


 先輩の後ろから中肉中背の男がでてきた。

 同じ高校の制服を着ていることからこの人……サトという人と同級生だろう。


 現れたもう一人にアニキと叫ぶサト。

 それと同時に俺を指さしてくる。


「ア、アイツです!」

「へぇ……こいつがサトの言ってた……」


 頭のてっぺんからつま先までアニキとやらにじろじろ見られる。

 ひとしきり見た後、俺の方にずんずんと近づいてきた。


「な、なんでしょうか……」

「お前か……サトの言ってた……」


 見た目は大した事はないが、アニキという男は威圧感がある。あと顔が怖い。

 いったい何を言われるんだ……。もしかして昨日の腹いせに……。


「サトの言ってた……好きなやつか……」

「え?」


 そう思っていると、予想と全く違う言葉を聞いた。

 え……? 好き、な人?


 疑問符を浮かべるぐらいよくわからなかった。

 昨日、強引な感じだったサトは今では少し頬が赤くなってるように感じる。


「昨日、サトが色々迷惑かけたらしくて悪ぃな」

「え、あ、はい。あんまり気にしてないです」


 アニキに謝られた。

 どういうこと……?


「こいつ……サトって言うんだけどよ、お前の事が好きなんだよ。んで、昨日告白しようとしたら緊張で……」


 俺の事が好きで、告白しようとした。

 しかし、その緊張からあんな行動をとった。ナンパかと思ってた……。


 サトを見やればたしかにめっちゃ謝ってる。

 ごめんなさいすごい言ってる。


「おいサト、謝るのも大事だがちゃんと言えや」

「はい……昨日、あんなことしてすんませんした! 好きです!」


 謝罪と告白セットにして伝えてくるのはいかほどなものか。

 しかし、一応答えねば。


「昨日の事はもう気にしてないです。あとお友達からで……」

「おぉ……ありがとな。頑張れよサト」

「はい……!」


 肩を叩き、サトを励ますアニキ。

 サトと電話番号を交換した。



 ・・・・・・・・・・



「なんだったんだあれ……」

「ナー」


 まぁ、仲良くなれたからいいけど。

 あれ、でも……。


「男か女、どっちの時で好きになったんだろう……?」

「ドッチデモエエヤロ」


 ……気になったけど、深く考えないようにした。

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