第2話

 体を揺さぶられ、徐々に意識が覚醒していく。

 誰かが……起こしてくれている……?


 目を開けると、そこには――


「だ、大丈夫ですか!?」

「ん……」


 一緒の学校の制服だ。

 顔を見れば見慣れた顔だった。


「あ、あや……?」


 彼女は津島つしま彩。去年、同じクラスで話していたら意気投合。ポニーテールが特徴で学校の人気者。

 知り合いに会い、ちょっと安心。知らない人だとなにがあることやら。


 しかし、彩は何故か怪訝な顔をしていた。


「え……どうして、私の名前を……」

「へ? なんでって、そりゃ去年も同じクラスだったじゃないか」

「……? ごめんなさい、あなたみたいな、覚えていないみたい……」


 どういうことだ?

 というか俺にむかって女の子って。メガネかけてやろうか。


「俺だよ、俺。伊藤いとう理央りお。高一から昨日までだけど、よく遊んだだろ?」

「はぁ? 理央? なんでここであのメガネ馬鹿の話が出てくるのよ」


 俺、裏でそんな風に言われていたのか。

 ちなみに俺はメガネをかけていない。かけている人を見るのが好きです。


 それを証明してやろう。

 自分の鞄を開け、あるひとつのメガネを取り出す。


「これ、覚えていない? 先月、商店街で一点物かと思って一万で買ったら量産品で、嘆いていた俺を慰めるために、お前が特別にしてあげるって言って、サインしてくれたメガネだ。」


 思ったがこんなん信じるんか……?

 そして、彩は目を見開きこう言う。


「くわしく」


 信じるんかい。



 ・・・・・・・・・・



「なるほどねぇ……」

「なるほどなぁ……」


 近くの公園に入り、ベンチで話し合う。あのメガネのおかげで彩はガチで信じてくれた。マジかよ。

 話合い、わかったことをまとめよう。


「なぞのおじさんにビームを撃たれそのせいで俺の見た目が女の子みたいになった……ってことになるな」

「まとめてみてもよくわからないわね……」


 本当にわからない。おじさんの目的とか、どうして害もなく女の子みたいになったのか。

 ちなみに体に異常はなかった。あ、でもちょっと柔らかくなっていた。


 服装も何故か、彩が着ているのと同じ、女子用の制服になっていた。あと下着も。

 そして彩にはまだ言ってないが、なんと息子は生きていた。なんとかあのビームから免れたのだろう。


 女の子みたいな見た目であそこはあるのか……そっち方面に疎いのでこれの魅力はわからない。生きててくれたのはありがたいが。


「で……あんた、これからどうすんの」

「どうしよう……」

「とりあえず、どうするの? 学校、そのままで行くの?」


 彩にスマホで写真を撮ってもらい見せてもらったが、格好は女子の制服を身にまとった黒髪ショートヘアの女の子にしか見えなかった。あと彩に黒のニーソックス履かされた。


 しかも、あれが付いている。こんなのバレたらなにが起こることやら……。


「いっそ、もう女の子として通してみない……?」

「えぇ……」

「でも、そろそろ行かないと遅刻しちゃうよ?」


 そんな幼なじみみたいな事言われても。

 しかし、スマホの時計を見れば、時刻は八時五十二分。


 ここから走れば五分ほどで学校には着くはず。

 うーん……よし。


「腹を括ろう……ここで行かねば男が廃る……」

「もうほとんど廃ってるわよ」

「言うな……」


 そして、ふたりで走って学校へ行く。



 ・・・・・・・・・・



 津島彩は朝、登校中に助けた女の子が知り合いで同級生だった。

 これに対して私はめっちゃ興奮した。


 昔から女の子が好きだった。

 言ったらきっと嫌われると思い、誰にも言ってない。


 高校で出会った、伊藤理央とはすぐに仲良くなれた。

 話しているといつも、こいつが女だったらなぁ……ふへへ……と思っていた。


 でも、それが叶った。てか、かわいすぎない? まだ、男みたいな所が残ってるけど。

 具体的には股ガン開きでパンツめっちゃ見えてる。


 パンツかわいいな、おい。

 よし、手始めに私にしか相談できないようにしよう。私だけ頼れ。


 ついでに寒そうだからニーソックスを履かせた。私はいつもニーソックスを常備しているぞ!

 履かしている時、モジモジしていた理央に、私はゾクゾクしていた。


 バレないように確認したが、あそこは付いていた。非常に残念だ。


 そして、少し思ったこととしてなぞのおじさんとやら。

 私は体を少し変える銃かなと思っている。


 もしかしたら理央を完璧な女の子にできる方法を知っているかもしれない。具体的にはあそこを消して……。


 とにかく、だ。


 彼を、私好みの女の子にしてやろう。

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