男の娘、残ったものは我が息子

えまま

第1話

 春の優しい陽気は、身も心も暖かくしてくれる。

 公園にある満開の桜も、心地よい風に乗って舞い踊る。


 俺こと、伊藤いとう理央りおは今日から高校二年生だ。

 残された時間を有意義に使い、思い出を沢山作りたい。


 時刻は八時三十二分。学校には九時までにおれば良いので余裕がある。

 様々な思いを胸に秘め、学校への道を歩いていると、不意に前から人が現れた。


 シャツに短パンというスタイルのおじさんが登場した。

 気にせず進もう。


 しかし、俺が右から行こうとするとおじさんは左へ 。

 今度は、左から行こうとするとおじさんは右へ。


 あー、よくあるよね。こう、衝突しないよう避けようとして互いに避けあってしまうこと。

 そんなこと思っているとおじさんは急に後ろに手を回し、なにかを取り出した。なんだ……?


 銃だ。俺は、一瞬ギョッとしたが、よくよく見ればおもちゃの銃だ。コミカルなデザインをしている。それを俺に向ける。

 何がしたいんだまったく。と、思った次の瞬間、


「男の娘化ビーーーーーーーーーーム!!!!!」


 突然、奇声を発したおじさん。

 次の瞬間、おもちゃみたいな銃からビームが射出される。


「へ?」


 それが俺に直撃し、俺は訳もわからず倒れ込む。

 な、何が……朦朧とした意識でおじさんを見上げる。


 おじさんはただ、微笑んでいた。

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