百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜
Act.9-183 激震走る王宮の客室、衝突する霸気、包む霸気。 scene.4
Act.9-183 激震走る王宮の客室、衝突する霸気、包む霸気。 scene.4
<一人称視点・ローザ・ラピスラズリ・ドゥンケルヴァルト・ライヘンバッハ・ザール・ウォルザッハ・インヴェルザード・ジードラバイル・ヒューレイツ・グラリオーサ・ビオラ=マラキア・クレセントムーン>
「ローザとアルベルトはこの後デートだろ? 琉璃、真月、お前らはどうするんだ?」
「真月には念のために引き続き姫さまの護衛をお願いしようかと思いますが、姫さま、それでよろしいでしょうか?」
「わたしは構わないわ。真月さん、先程はありがとう。もうしばらくわたしのことを守ってね!」
『ワォン! 任せてよ!』
「食事の量は大丈夫だぜ! アクアに、ディラン、漆黒騎士団の連中、とにかく大量に食べる奴が揃い踏みだから王宮の料理人の総力を上げて食事は用意したし、真月もお腹いっぱい食べて良いぜ!」
『真月のこと、よろしくお願い致します。僕はこれから所要がありまして、バトル・アイランドで最後の金シンボルを賭けてバトル・ルーレットの
「……はっ? 金シンボル? 最後……ってことは、もしかしてコンプリート寸前!? おいおい、嘘だろ? あの鬼畜な施設をほとんど攻略したっていうのか? どうやったんだ!?」
『最大のコツは諦めずに挑戦ですね。後はデータの蓄積と研鑽、失敗しても諦めずに続ければ銀シンボルまでは簡単に行けるようになりました』
「本当かよ……おいおい、もしかして琉璃って相当強くなっているんじゃ」
『ところで、陛下。今朝の通達はご覧になりましたか?』
「通達?」
『……その様子だとご覧になっていないようですね。多種族同盟の議長であり、バトル・アイランドの総支配人であらせられるアネモネ閣下より通達が出され、今朝のバトル・アイランド限定で配られる『戦況新聞』にも一面に載せられた内容になりますが、閣下は
「
『出場資格は上位八名、つまり
「それってつまり!?」
『大会前日の時点で
「やっっったぜぇぇぇぇ! 始まる前から既にワクワクが止まらないんだけど! ポイントを選択できるっていうのがまたいいよなぁ! よし、三月までこの二位の座を守り抜いてやるぜ!」
『……お喜びのところ、本当に心苦しいのですが、陛下にこちらを』
琉璃が取り出した黒い封筒、その意味を理解して喜びに満ち溢れていたラインヴェルドの表情が翳った。
「ローザ、あの封筒は何なのかしら?」
「
「おいおい、俺が負ける前提かよ?」
「琉璃は考え無しではありません。頭脳派の彼女は勝てるという目算があるからこそ、挑戦状を叩きつけたのだと思います。上位を維持するのは大変だと思いますが、頑張って上を目指してくださいねぇ。応援していますよ」
「嘘くさい『応援しています』だなぁ。まあ、中立のお前が誰かに肩入れする訳にもいかねぇか。とりあえず、今日から数日は琉璃対策を考えるか……」
いや、新年祭だしまずはそっちに注力! その後は国王として国政に注力でしょう! 本当に力を入れる方向を間違えているよねぇ。
バルトロメオとノクトが呆れ顔になったところで、この会は解散となった。後半からマリエッタとオートリアスは完全に置いてけぼりになっていたねぇ。
ラインヴェルドはプリムラとバルトロメオを伴って部屋を後にし、ノクトにこの場を任せてボクとアルベルトもデートに行くために王城を後にした。
◆
アルベルトが用意した……というか、ヴァルムト宮中伯家が用意した馬車はやはり大貴族の所有するものということだけあって乗り心地がとても良かった。
「この方向から察するに最初は観劇かな?」
「最初は
「なかなか趣味がいいねぇ。鉄板と言えば鉄板だけど、オーソドックスってことはそれだけ手堅いということだ。こんなイケメンと夜景を満喫しながら食事を取ったら惚れるんじゃないかな? 大抵の世の女性は」
「大抵の女性に惚れられても、圓殿に惚れて頂けなければ意味がないのですが。……ちなみに、今後の参考までに、圓様は大切な方をデートに誘う時、どのような内容にするのでしょうか?」
「そうだねぇ。基本的にこれじゃなければならないっていうのはないかな? その人が何を好きなのかを軸にデートの内容を構成していく。演劇を見るのが好きなら演劇を中心に持ってこればいいし、食事に拘りがあるなら食事をメインに据えればいい。時間帯とか、制限時間とかにも左右されるけど、相手にいかに楽しんでもらうかが重要だと思うよ。その点、ボクを相手にデートを構想するとなればかなり苦戦は強いられるだろうねぇ。自分のやりたいことは大抵自分で解決するし、欲しいものもできる範囲であれば自分やビオラの力で作るか、調達する。これでも手広く仕事をしていることは自覚しているから相当悩んだことは伝わってくるよ。
まあ、そうは言ってもボクに何かをプレゼントするとしたら相当気を遣うと思う。手広く色々とやり過ぎた弊害というか……だから、ボクに何かをプレゼントしようとする人は大抵、市場には出回らないもの、自分にしか用意できないものを用意する傾向にある。
でも、ボクはそこまで気を遣わなくてもいいと思うんだ。
それに、何か形があるものをプレゼントをすることだけが愛情の示し方ではないと思う。同じ幸せな時間を共有することも方法の一つ――アルベルトが今回選んだのはこの手法だねぇ。そして、これはボクが好む手法でもあったりする。
確かにボクもプレゼントは贈るけど、それはデートの記念であり、後々その時のことを思い出して振り返るための鍵の意味合いが大きい。その物を見て幸せな時間を思い出すことができたら、余韻に浸ることができたら、それはとても素晴らしいことだとボクは思うんだ。
「まあ、とにかくこのデートの内容はかなり考え抜かれたものであると思うし、好感度は高いと思っていると思ってもらえればいいよ。ただ、次回以降はもう少し肩の力を抜いて気楽に考えればいいと思うけどねぇ。普通の女の子が喜びそうなものを選べば多分喜ぶと思うからねぇ」
「……多分ですか?」
「そりゃ、内容にもよるよ。でも、前世は男だったとはいえ、趣味趣向は割と女性寄りだったからねぇ。可愛い服に目が無かったし、スイーツも好きだしねぇ」
「では、次のデートはミッテラン製菓が良いかもしれませんね」
「あの店のショコラはボクも好きで良く利用させてもらうよ。前世でも『
揺れる馬車の中、アルベルトがなんとも言えない顔になった。……ボクってショコラ作りに関してもみんなが思っているほど上手じゃないんだよ?
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