百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜
Act.9-134 ジャイアントホール防衛戦 一日目 scene.3
Act.9-134 ジャイアントホール防衛戦 一日目 scene.3
<三人称全知視点>
パーティーのメンバー達が次々と戦果を上げる中、ヴァケラーも『
「
ローザの編み出した「
更にヴァケラーは新たな技を模索し、完成させた技の一つが得物に聖属性の魔力と稲妻のように迸る膨大な覇王の霸気を纏わせた状態で上空で振り回した後に、相手を地面に叩きつける「
ちなみに、ヴァケラーが開発した他の魔法は自身の開発した三つの火属性魔法に聖属性を加えて改良した「豪焔焦熱聖魔球」、「豪焔焦熱散弾聖魔球」、「豪焔焦熱消滅聖魔球」の三種類――攻撃力はいずれも「
その他、ローザが開発した「シュートカノン」、「ウルトラバッシュ」、「アンブッシュ・インビジブルスライダー」も習得して技のレパートリーを増やしている。……が、実は圓の方が自分よりも遥かに棍棒の扱いが上手いんじゃないかと気づき、少しだけショックを受けているヴァケラーだった。
圓は剣士の筈なのに……。
まあ、実際の圓はどんな武器も人並み程度に使えて格別剣の扱いを得意としているのだが。
◆
ジャイアントホールの最下層付近、第一砦は最も魔物の数が多く、必然的に激戦地となる。
この第一砦を拠点に選んだのはスティーリア、真月、紅羽、レジーナ、ユリア、ミーヤの六人だった。
「
圧縮した膨大なエネルギーを持つ光弾を破裂させて光の洪水を引き起こすレジーナのオリジナル光属性魔法――そのエネルギーをあえて破裂させず、「
その圧倒的破壊力に反して消耗は少ない。レジーナとユリア、二人の力が合わさっているからだ。
向日葵を咲かせる魔法、圧縮した膨大なエネルギーを持つ光弾を破裂させて光の洪水を引き起こす魔法、どちらも少ない魔力で発動可能だが、二つの魔法を合わせることでまるで増幅されたかのように強力な技となる。
レジーナとユリアの相性は魔法面においてもバッチリなのだ。
レジーナとユリアがラブラブな雰囲気を醸し出す中、ミーヤは触手に「
レジーナ達が着々と討伐を進める中、真月とそのお目付役の紅羽のペアも魔物討伐を進めていた。
『
放ったのは精霊術法の炎を変化させた火の鳥。その表面には『
小鳥達は次々と魔物達に命中し焼き尽くしていく。
『ワォンッ!!』
真月の遠吠えに呼応し、真月から放たれた青黒い煙が地面に吸い込まれると同時に青白い触手のようなものが生まれ、青い猛毒の液体によって構成された触手が一斉に魔物達に襲い掛かる。
武装闘気を纏わせていない「
――そして、レイドゾーンへと続くジャイアントホールの最深部。
『
龍人の姿で降り立ったスティーリアは『
スティーリアには自身が剣士として未熟者であるという自覚がある。最愛の人の愛刀を模しながら敗戦した経験は片手で数えきれないほど。
スティーリアにとってはどれも苦い思い出だ。自らの手で最愛の人の剣を汚してしまった、その悔恨は深い。
圓式基礎剣術を習得し、腕も磨いた。だが、それでもまだまだ足りないという自覚がある。
スティーリアはこのレイド期間中、二本の剣のみで魔物達と戦い続け、自身の剣と向き合うつもりでいた。
魂魄の霸気で模倣した「
一切の動きの無駄を排した圓の編み出した剣はエネルギーロスがほとんど存在せず、
次々と魔物が一切抵抗できぬまま斬撃を浴びせられて沈んでいく。そうして戦うこと二時間、ジャイアントホール中心部の魔物は全て討伐された。
『そろそろ十二時ね。一旦拠点に戻ろうかしら? 昼餉、とても楽しみだわ!』
『
◆
レイド期間中は朝昼晩と三食用意されることが決まっている。食事はフルレイドの拠点で調理され、拠点と三つの砦で振る舞われる。
レイドに参加している者達以外で食事を食べたい場合は三つの砦のいずれかに赴く必要がある。
この食事の場は同時に情報共有の場でもあった。三つの砦とフルレイドの拠点は互いにカメラ付きのパソコンで中継され、それぞれの戦果や今後の方針などが共有される。
第三砦に招かれたリーティアナとアレクサンドラは当然、このような技術が存在していることすら知らなかった。
見たことのない異国の料理といい、ここが故郷に程近いジャイアントホールであることを忘れそうになるほどリーティアナ達の常識からあまりにもかけ離れた光景が第三砦には広がっていた。
『ながらで申し訳ないねぇ。結構食べる人が多いから作っても作っても終わらないんだ。リーティアナさんとアレクサンドラさんにとっては馴染みのない料理ばかり並んでいて面食らったと思うけど、多分美味しいと思うから大丈夫だと思うよ?』
リーリエ以外のメンバーを映した映像には「カレーなのですよぉ〜! やっぱり圓さんの作るカレーは別格なのですよぉ〜!!」と見たことのない茶色いナニカが掛けられたご飯を物凄い勢いで食べるエイミーンの姿が映し出されている。
その光景を「恥ずかしいですよ。もっと上品に食べてください、お母様」とジト目を向けながら白いパンのようなものを浸しながら食べているマグノーリエと、紙エプロンをつけて茶色に染まった細長いものを啜っているプリムヴェールの姿があった。
ちなみに、アクアとディランの大喰らいコンビは普通に三つ全てを食べ、食器を積み上げていっている。
『本日のメニューは主にエルフ以外にとっては希少な香辛料を大量に使ったカレーを用意しているよ。カレーライスにナンカレー、カレーうどんの三種類。カレーラーメンって手もあったけどボクはカレーに関してはうどん派でねぇ。まあ、近いうちにパスタとかラーメンとかは出すつもりでいるよ。流石に迷宮で大人数分作るとなると手間はあんまり掛けてられなくてねぇ、手抜き料理で本当に申し訳ない』
「……これが、本当に手抜き料理だというのですか!?」
アレクサンドラが受け取ってきたカレーうどんを恐る恐るといった様子で口に運び、軽く衝撃を受けるリーティアナ。
『まあ、普通はこんな豪勢な食事は迷宮の中では取れないでしょうね。……それで、進展はどのような感じですか?』
ヴァーナムの質問はリーティアナにとっても興味のある問いだ。後何日、リーティアナ達は耐えなければならないのか? 完全に魔物が消えるということはないとしても、この大量発生の状況はできる限り速やかに解消したい。
『全員で俊身使って探索しているけど、先はまだまだ長そうだ。それに、仮に攻略してもまだ道が二つある。最奥に到達するまではまだまだ時間が掛かりそうだねぇ。魔物はまあ、そこそこ強いよ。ジャイアントホールに出現するものよりは。……そっちもそろそろ魔物減ってきた頃でしょう? 現物送るからそっちで実力の方は確認してもらえばいいんじゃないかな? ヴァンヤール森国に被害が出たら本末転倒だし、午後から第一砦と第二砦付近に転送するよ。興味ある人はそっちに行ってもらえばいいと思うけど、第三砦の防御を疎かにするといけないから何人かは待機の方針で』
より安全に迷宮探索を進めるために魔物の一部をジャイアントホールに送る計画は探索前に決められていた。
最初はヴァンヤール森国に被害が出ることを危惧して反対していたリーティアナとアレクサンドラだったが、圓に「絶対にヴァンヤール森国には被害を出さない」と宣言し、それを信用する形で二人は魔物の転送を容認した。
今のリーティアナ達に魔物の転送に反対する意思はない。
『……となると、やはり
『時空魔法なり何なりで食糧を持ち込まなければ攻略は不可能だねぇ。ボク達も最高速度で移動しているけど、一本道一つクリアするのに時間掛かりそうだし、それが三本プラスアルファとなれば一ヶ月以上の長期戦は覚悟しないといけない。後々、一般冒険者が挑戦するようになった場合にはギルドで挑戦する資格があるかチェックする必要があるだろうねぇ。まあ、それはヴァーナムさん達ギルドの仕事だし、ある意味でレイドゾーンの持ち主であるヴァンヤール森国と相談して決めていってもらう話だ。ヴァンヤール森国の同意が得られなければレイドゾーンへの挑戦は現実的ではなくなる訳だし。まずはレイドを攻略しないといけないけど、今のうちにヴァーナムさん達とリーティアナさん達で相談しておけばいいんじゃないかな?』
レイドゾーンの今後についてはヴァンヤール森国と冒険者ギルドが交渉して決めるべきであると圓は考えていた。互いにとって良い道を交渉によって模索することが大切だ。
ヴァンヤール森国の理解を得られなければレイド挑戦は成立しなくなる。リーティアナは今後、冒険者ギルドとの交渉と共に住民達の説得に力を尽くすことになるだろう。
レイド攻略一日目午後、レイドゾーンのレイドエネミーが転送され戦いが撃破する中、リーティアナは第三砦に移動したヴァーナムと今後の方針を決める交渉を開始した。
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