百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜
Act.8-32 誕生日会の二次会と、ドリームチームトーナメントと……。 scene.8 丁
Act.8-32 誕生日会の二次会と、ドリームチームトーナメントと……。 scene.8 丁
<三人称全知視点>
「
ルイーゼの手から生じた光が十字架の形となってレオネイドへと放たれる。
その大きさはかつて神聖護光騎士達がリーリエに放った「
その光の十字架をレオネイドは武気衝撃で的確に破壊していった。
どちらが優勢かは一目瞭然だった。後退りながら魔法を使うルイーゼは圧倒的不利を悟っていたが、それでも「
しかし、その悪足掻きもルイーゼの背中が木の幹とぶつかってしまったところで幕を閉じることとなる。
「申し訳ありませんが、勝負ですので」
レオネイドは素早く剣を振り下ろし、ルイーゼを無数のポリゴンへと変えた。
トーナメントは真剣勝負――例え得意分野が回復魔法でありながら、苦手な魔法戦闘を繰り広げざるを得なくなったとしても一度勝負に参加したのであれば、文句を言うことはできない。
◆
「
コンラートの聖杖から「
「
八技の一つ――紙躱による回避だ。
「ならば、これならどうでしょうか?」
コンラートの足元に複雑な魔法陣が浮かび、一瞬にしてファンマンの視界から消え去ると、ファンマンのすぐ目の前に現れた。
その杖先はしっかりとファンマンに向けられている。
「――ッ!? 転移魔法――神聖魔法の空間移動かッ!」
「神罰の剣よ、我が祈りに応え、降り注ぎ給え! 神話再現魔法・
ファンマンの頭上に聖なる輝きを放つ魔法陣が展開される。
その魔法陣から現れたのは、刃渡り百メートルを優に超える巨大な一振の剣だった。
「
それもその筈、「神聖魔法・
「神聖魔法・
聖魔法と神聖魔法にはある特色がある。それは、神の如き上位存在への信仰、或いは愛によってその力が何倍にも増幅するということだ。
光属性にはなく、聖属性と神聖属性には存在するこの性質は神を信仰する宗教団体という組織と上手く噛み合っている。
「これでトドメです!
天から降り注ぐ神罰の剣、そしてコンラートの杖から超至近距離で放たれる巨大な聖光――ファンマンは一気に劣勢に立たされる。……だが。
「こんなところで負けてたまるかッ! 応援してくれているナリーサちゃんのためにも絶対に負けられないッ!!」
この場にいない、ついでに言えばトーナメントが開催していることすら知らないファンマンが片想いしているナリーサの応援を妄想して勝手にフィーバーしたファンマンは持ち前の馬鹿力を発揮して聖光を気合いで突破すると、そのまま一瞬にしてコンラートを両断してしまった。
何が起きたのか斬撃を浴びた張本人のコンラートも理解できぬまま、無数のポリゴンとなって消滅する。
武装闘気を纏っているとはいえ、聖光を強行突破して術者を討ち取ろうなどとは誰も思わないだろう。
恋に盲目だからこそ、ファンマンは野生の勘で最適解を見つけ出し、コンラートを撃破できたのかもしれない。
ボロボロになりながらコンラートを撃破したファンマンの後方では標的を失った巨大な一振の剣が虚しく地面に突き刺さっていた。
ところで、五年も経ったにも拘らず、未だに幼馴染のツンデレ令嬢ナリーサとは結ばれていないらしい……いつになったら結ばれるのだろうか? というか、結ばれる日は来るのだろうか?
◆
「もうやだ、狂信者怖いッ!! ってか、なんでおっさん相手に戦わないといけないの! 俺、ルイーゼさんとか、アリシータさんとかと戦いたかったんだけど!! チェンジで!!」
「おい、阿呆! 敵を怒らせてどうするッ! ってか、戦うと見せかけて絶対に覗きをする気満々だろッ!!」
「別に私はそのようなことで怒りませんが……私が相手だったのは僥倖だったのかもしれませんね。【騙し討ちの天才】のお噂はこのブライトネス王国にも伝わっておりますから……お二人を不快な目に遭わせる訳には参りませんし」
「聞いたかウォスカー! 俺って有名人だって!!」
「うむ、良かったな。ファイス」
「……うーん、それ多分悪名が轟いているってことだからな? 褒められたことじゃねぇと思うぞ?」
喜ぶファイスに、ファントが困り顔で訂正しようとするが、ファイスにはファントの声が聞こえていないようだ。
「……ところで、御尊主様のスカートの中を覗き見したとお聞きしておりますが……もし、それが事実であれば不敬な貴方を神の名を下に断罪しなければなりません。……魂諸共消えて死ねッ!! 薄汚い覗き魔ッ!!
「うわ、態度変わり過ぎ!! やっぱりヤンデレ狂神者だった!!! 助けて、隊長、副隊長!!」
「……すまん、これは流石にフォローのしようがない」
――まあ、その件でローザ嬢にもボコボコにされているし、毎度毎度学習しないファイスもその度に制裁を受けているからチャラになっている気もするけど、信者としては許せないよな。
とファントはアレッサンドロスの心情を斟酌してそう心の中で続けた。
ファイスは素早く攻撃の範囲を脱すると、先程までファイスが立っていたところに聖なる光の柱が顕現する。
「――早く撃破しねぇと、本気で魔法の連発で殺されそうだな。……どうする、親友?」
「勿論、速攻で落とす」
「――決まりだな!」
オニキスが《騎士団》を発動し、オニキス、ファント、ウォスカー、ファイスに漆黒の騎士を纏わせると、仲間達に《強化》をアレッサンドロスに《弱体化》を掛けた。
ファントは《鎧武者》によって鎧を纏うと、全員が地面を踏み抜く勢いで地を蹴って加速してアレッサンドロスに迫る。
「
アレッサンドロスの背に光り輝く純白の翼が出現した。
大きく飛翔すると共に無数の羽を降り注がせ、羽一つ一つが小さな天使へと変形して地上を走るオニキス達に殺到する。
オニキス達は武装闘気を纏わせた剣で一体ずつ確実に一撃で天使達を撃破していった。
逆手で握られた剣で天使の首を刎ね、風を切る音と共に見えないほどの速度で放たれた斬撃が天使の胴を両断し、砲弾のような威力で放たれた斬撃が天使を吹き飛ばし、自己流の荒々しい喧嘩剣術で次々と天使達を切り裂いていく。
地上の天使をあらかた狩り終えるとオニキス達は空歩を駆使して上空の天使を撃破しながらアレッサンドロスに迫った。
「それでは、お望み通り高火力魔法の連発でお相手致しましょう! 神話再現魔法・
アレッサンドロスの杖先から聖なる光の奔流が放たれる。
「それって
「いつから、貴方はリーリエ様の親友になったのですか?」
「
「……そういった関わり方があることは存じています。私達のように信仰の対象としてではなく、対等の友人としての付き合い……リーリエ様も本当はそれを深く望まれているのでしょう。しかし、私達にはそのような畏れ多いことはできませんから。全く、羨ましい限りですよ」
神聖魔法の奔流を相手の攻撃を最低限の動きでひらひらと紙のように躱す紙躱で回避すると、まずはウォスカーが攻撃を仕掛けた。
「神話再現魔法・
ウォスカーの頭上に巨大な光の魔法陣が展開され、無数の神罰の光の剣がそこから勢いよく降り注いでくる。
ウォスカーはその全てを自身の野生の勘と見気を駆使して全て見切り、紙躱で回避していくと、そのまま砲弾のような威力で『
「まともに剣を交えては絶対に勝てませんからな」
しかし、その攻撃はアレッサンドロスの翼が変化した小さな天使達に封じられる。
ウォスカーが小さな天使達を吹き飛ばした瞬間にはアレッサンドロスは次の魔法の発動準備を整えていた。
「神話再現魔法・
「――逃げろッ! ウォスカー!!」
かつて天上光聖女教の総本山の天井の壁画を丸ごと消し去ったリーリエの光魔法を再現した円形状の光の爆発が生じ、ウォーカーを飲み込む。
「…………ほう、この攻撃を耐え切りますか」
光の中から飛び出し、満身創痍ながら一切精彩を欠かないウォスカーの剣を視認し、アレッサンドロスの瞳が僅かに見開かれる。
ウォスカーへの《強化》と、アレッサンドロスへの《弱体化》で二人の能力差が大きくなり、更に武装闘気や《騎士団》でウォスカーの防御力が増していた故に、あの一撃を耐え抜くことができたのだろう。
そもそも、これはあくまで模倣魔法――本物のリーリエが彼女の力で放つ「
この魔法が破られたところで、敬愛する女神リーリエの御技が破られたという訳ではない。
それ故か、自分の魔法が破られたのにも拘らず、アレッサンドロスの心にはほとんど波が立たなかった。
ウォスカーに続くように、ファント、オニキス、ファイスが『
「神話再現魔法・
無数の天使を放ちながら、超新星爆発を彷彿とさせる激しい光の爆発を発生させる「マキシマム・セレスティアルレイ」を再現した神聖属性神話再現魔法を発動し、超新生爆発を彷彿とさせる激しい光の爆発を生じさせるアレッサンドロス。
その攻撃は「
纏っていた武装闘気を突破され、アレッサンドロスに深々と二つの傷が刻まれる。
傷から無数のポリゴンが溢れ出し、やがてアレッサンドロスの身体は無数のポリゴンと化して消滅した。
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