百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜
Act.5-13 第一回異界のバトルロイヤル 一日目 scene.1 下
Act.5-13 第一回異界のバトルロイヤル 一日目 scene.1 下
<一人称視点・ローザ=ラピスラズリ>
「……一位はヒゲ殿下か。ちょっと意外だねぇ……まさか、最初にユニークシリーズを獲得するのが王弟殿下なんてねぇ。てっきり、クソ陛下かクソ殿下か、アクア辺りが取ると思っていたんだけどねぇ」
ランキングを確認して、ユニークシリーズが獲得されたのを確認したボクは、図書館のボスの間の扉を開いた。
ここに来るまで三時間弱……いや、だって一番ボスの部屋から遠いところに転送されるとは思わないじゃん。しかも、ギミック満載の、魔法省の特務研究室も真っ青の図書館だよ? 他の図書館に転送されたメンバー(ディラン、スザンナ、ホネスト)に見つからないように「千羽鬼殺流・廉貞」を駆使しまくったからねぇ……。
流石に一日目は手を出さないようにしようと思ってねぇ……あわよくば、三日目の二倍ポイントを狙いたいんだけど、絶対に初っ端に人数を減らして点数差を無くそうって考える人も出てくるだろうからねぇ……そこに固執するつもりはないけど、やっぱりできるだけ三日目にプレイヤーキルを本格的に開始したいからねぇ。というか、一日目に終わっちゃったら三日間にした意味がないじゃないか。
図書館の中は複数の書見台が置かれた円形状の図書館のような場所だった。
そして、その中心にはボクが設置した通り、一体のヌルの姿がある。
「モンスターなホンダナー」……という駄洒落みたいな魔物は『World Sphere on-line』のボスモンスターを基にしていて、元となったボスモンスターは【運営達の悪巫山戯】が複数種類用意されていた図書館群に設置されていた。
当時、上位クランの中でも【運営達の悪巫山戯】を数多く保有する大型新人……というか、非常識な女子中学生を筆頭とする人外に片足を突っ込んだ者達が組んだエンジョイ勢という名の人外魔境と、『Eternal Fairytale On-line』時代からの古参の知り合いで、あざと可愛いキャラで姫プレイをしていた結果、親衛隊が結成されてしまった高校の国語教員が顧問を務めるネトゲ好きの高校生達が集まった「電脳遊戯部」のメンバーが作ったクランと三つ巴で争っていたっけ? まあ、他にもクランはあったし、三つのギルドは共にランキング入りしていたんだけど、ボクの【白百合の独奏】が一位で、それ以外は十位以内に入る範囲だったからねぇ……まあ、それでも上位陣なのは間違いないんだけどさ。
「モンスターなホンダナー」は、ボク達三クランが競い合った末に、ボクが秒殺したボスモンスターで、太い腕が生えた動く本棚という形をしている。ヌル・モンスターなホンダナーはそれを真っ黒に塗り潰したイメージ。
ヌル・モンスターなホンダナーは「モンスターなホンダナー」と同じく本の魔法、伸し掛かり、突進、噛み付き、腕による薙ぎ払い、本を投げつけるなどの攻撃手段を持つ。
その中の本の魔法は発動前に本を奪えば書見台に乗せて魔法を発動して攻撃することができるものの、本の魔法はいずれも強力で、運が悪ければ天井から隕石が降ってくる。
ボクはヌル・モンスターなホンダナーが本を掲げて魔法を発動しようとした瞬間を狙って「ダーク・アロー」と呼ばれる闇の矢を放つ闇魔法で本を撃ち落とした。
「ダーク・バインド。ダーク・ラッシュ」
更に対象の影から黒い手が出現し、その手が敵を掴み動きを止める闇魔法でヌル・モンスターなホンダナーを捕らえ、無数の闇の手でラッシュ攻撃を仕掛ける闇魔法で攻撃する。
「ダーク・フレイム。ダーク・ブラスト」
間髪を入れずに闇の炎を放つ闇魔法と、手から圧縮した闇を放射する闇魔法を発動してヌル・モンスターなホンダナーのHPを削る。
ヌル・モンスターなホンダナーから蒸気のようなものが噴き出すが、相変わらずヌル・モンスターなホンダナーは動けない。
「ダーク・スラスト。ダーク・ヴォルテクス。ダーク・バースト。ブラックホール!」
そして、闇の斬撃を飛ばして攻撃する闇魔法、闇の渦で攻撃する闇魔法、闇の爆発に巻き込む闇魔法などを発動し、ブラックホールでトドメを刺した。
念のためHPを削っておいたけど、必要無かったかもしれないねぇ……ヌル・モンスターなホンダナーはブラックホールに吸い込まれて一瞬で消滅してしまった。
ブラックホールに吸い込まれ、真空となった空間に勢いよく空気が流れ込んでいく。
ヌル・モンスターなホンダナーが居た場所にはいつのまにか宝箱が現れていた。
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【ユニークシリーズ】(『World Sphere on-line』)
単独でかつボスを初回戦闘で撃破し、ダンジョンを攻略した者に贈られる攻略者の為だけの唯一無二の固有装備。
一ダンジョンに一つしか存在しない。
譲渡は可能だが、譲渡した場合は装備に施されたあらゆる強化が消去されて初期の状態に戻る。
『司書長の帽子』
【HP+5】
【MP+60】
【STR+5】
【VIT+5】
【AGI+5】
【DEX+5】
【INT+60】
スキル:【情報閲覧】、【破壊成長】
『司書長のロングコート』
【HP+5】
【MP+150】
【STR+5】
【VIT+5】
【AGI+5】
【DEX+60】
【INT+190】
スキル:【超高速魔力回復】、【破壊成長】
『司書長のブーツ』
【HP+5】
【MP+60】
【STR+5】
【VIT+5】
【AGI+90】
【DEX+5】
【INT+230】
スキル:【命を魔力に】、【破壊成長】
『神界図書館のルービックキューブ』
【HP+0】
【MP+390】
【STR+300】
【VIT+0】
【AGI+0】
【DEX+0】
【INT+200】
スキル:【
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そのまま統合アイテムストレージに。まあ、使ってなかったユニークシリーズだからねぇ。
それじゃあ、次のエリアに行こうかな? ……そうだねぇ、ユニーク潰しはできるだけしておきたいけど、ヒゲ殿下がどこにいたか分からないからねぇ……どこにいるのかも分からないけど。ボスを倒してもらえるポイントは三日目も据え置きだから純粋な早いものが勝ちになるからねぇ……余計な駆け引きがないから本当にスピード勝負だし。
とりあえず……そうだねぇ、溶岩島に行ってみようかな? なんか面白いことが起こりそうな色が見えるからねぇ。
◆
<三人称全知視点>
ローザが
「――お父様、お覚悟を」
「すまないな、プリムヴェール。例え、相手が娘であったとしても手加減をする気はない。――持てる全ての力で掛かってこい! 私も全力を尽くさせてもらう!!」
『
一方、プリムヴェールはエルフとしての魔法の才能こそ、エルフの中では平均以下の
ミスルトウはプリムヴェールを娘ではなく、対等な存在――好敵手と見た上で勝利を目指そうとしていた。
一方、プリムヴェールには【
プリムヴェールはローザと出会い、沢山のものを受け取った。そのプリムヴェールはまだその恩を返せないままでいる。
プリムヴェールがその恩を返す方法として思いついたのは強くなってローザの力になることだった。規格外過ぎるローザの力になれるほど強くなることは到底無理かもしれないが、プリムヴェールは自分にそれくらいしか取り柄がないことを理解していたのである。
そのために、まずはあの日越えられなかった父という壁を越える必要があった。
――あの時はローザに父の命運を託した。恐怖に震え、父を止めるという自分のやらなくてはならないことをローザに丸投げしてしまった。
このままでは、ローザの力になるなど夢のまた夢だ。
そんな弱い自分から生まれ変わるために、そしてローザに恩を返し、その上で対等な――友として並び立つために、ローザから教え受けたものを含めたプリムヴェールの今の全力を尽くして戦うべく、『銀光降星のエスパダ・ロペラ』を構える。
「――
先に攻撃を仕掛けたのはミスルトウだった。
「エアロジャベリン・トライアド! 纏武装!!」
プリムヴェールは真空の線の延長線上から素早く移動し、武装闘気を纏わせた風の槍を同時に三つ生成した。
「ストームメイル。ストームブリンガー。ストームジャベリン。ダブル・エアロスラッシュ。ストームフォース」
ミスルトウは十八番の
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