百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜
Act.2-17 Gateway dragons dungeon!! scene.1
Act.2-17 Gateway dragons dungeon!! scene.1
<一人称視点・ローザ>
ジーノ経由で
ちなみに、ボクはリーリエではなくローザの姿で参加。
ヘイズ=ネコルノミアは灰色の髪を邪魔にならないようにセットした好青年の執事で、童顔のせいで二十八歳だけど男臭さはない。目を細めて笑う癖がある。
毒物を使った暗殺を得意とするけど、ラピスラズリ家に仕える使用人に必要な必要な戦闘術・暗殺術は一通り使えるみたいだ。
ヘレナ=グラナスはヒースの姉でメイド長を務める女性。
喜怒哀楽の表情を滅多に出さない人で、焦げ茶色の髪をきっちりと結い上げている。平民出身でありながらも付け焼き刃とは思わせないほどの完璧なマナーで、女性らしさが滲み出る肉付きの良い身体は同性が見ても思わずうっとりするほど。……ヒースとは似ても似つかないねぇ。ヒースの女性の好みはきっとこの人から来ているのだろう。
弓と火・氷・雷の属性を変化させた矢を使って戦う遠距離戦を得意としているけど、戦闘メイドに必要な戦闘術・暗殺術は一通り使える。
カレン=エレオノーラは癖のある赤茶色の髪を強く結い上げ、銀縁の眼鏡をかけているメイドの女性。
メイドの中でもヘレナに匹敵する教養の高さを誇っている。幻惑魔法を得意とし、敵を混乱の渦中に落とし込み、その中で高い視力を利用して刀で接近戦を仕掛ける戦法を得意としているけど、戦闘メイドに必要な戦闘術・暗殺術は一通り使える。
サリア=ヌエンハルスは少女のような可愛らしい顔をした、蜂蜜色のふわふわとした髪と潤んだブラウンの瞳を持つ少年。最年少の使用人で細腕だけど、ラピスラズリ家に仕えるに相応しい実力は持っており、二本のナイフを使った早業と高い投擲能力を誇る。勿論、ラピスラズリ家に仕える使用人に必要な戦闘術・暗殺術は一通り使える。
ジェイコブ=ジェンデイブはラピスラズリ公爵家の料理人を統括する料理長。橙色の髪を刈り上げた屈強な身体を持つ料理人で清潔感を心掛けているのか心掛けていないのか微妙なんだよねぇ。
高い戦闘力を誇り、爆破魔法を得意とする。……ボクが圓だった頃の仲間の一人で料理統括の立場にいた高遠淳さんにかなり雰囲気が似ているけど、料理の腕は高遠さんの方が上だと思う。
他にもメイドや執事、使用人はいるけどあんまりゾロゾロと居ても意味がないし、これくらいの人間で丁度いいんじゃないかな?
「お忙しい中、お集まり頂きありがとうございます。本日は
「勿論、私のできることはするつもりだよ。それに、その穴はかなり危険なものなのだろう? もし、ドラゴネスト・マウンテン以外の場所でも出現したらこちらも対処をしなければならない。その時に対応していては遅いだろう。大きな被害が出たという話が私の耳に聞こえる前に情報を得られたというのは僥倖だと思う。
面と向かってお礼を言われることってなかなかないんだねぇ(だってぼっちだから)。傍目から見ても分かるほど嬉しそうにしているよ。
「ありがとうございます。……さて、この穴だけど、ボクの予想通りならボクが自称天才ゲームクリエイターさんと共同で出した第四作『不思議のダンジョン;ゲートウェイフロンティア』に出てくる不思議のダンジョンの入り口ってことになるんだよねぇ」
『不思議のダンジョン;ゲートウェイフロンティア』は据え置き型ゲーム機をハードとして採用し、五枚のディスクを使用した濃厚な内容の満足できる内容になっている。……何故か、『スターチス・レコード』の方が人気があるんだけどねぇ。
あらすじは、世界の危機を回避するために青の女神サファイアによって召喚された主人公は、赤の女神ルービィから世界を守るために旅に出ることになる。
その世界には赤の女神ルービィによって時空が歪められ、不思議のダンジョンという入る度に地形が変わるダンジョンが出現するようになり、主人公は仲間達と共に不思議のダンジョンと異世界を交互に探索しながら赤の女神ルービィの棲まう紅玉結晶城を目指すことになる。
その果てで主人公達が辿り着く真実とは……という感じで、最後にどんでん返しが待ち受けているんだけど……最後の真実ってのはちょっと使い古されたものだし、パッケージを見たら「あっ、そういうことか!」って勘が良くなくても気づけちゃうからねぇ……まあ、具体的に言うと青の女神サファイアと赤の女神ルービィの正体は紫の女神アメジスタっていう一柱の女神で、不思議のダンジョンを作り出すことで世界を恐怖で支配し、その光景を楽しんでいたが、次第に刺激が少なくなってきたため勇者として主人公を召喚して新たな刺激を求めたっていうなんともありがちで身勝手な事実なんだけど……。
「第四作というと、この国や隣国フォルトナ王国の元となったという『スターチス・レコード』の一つ前の作品ということだね?」
「まあ、そこでそこそこの売れ行きだったから調子に乗って家庭用ゲームでもう一回面白い作品を作ろうぜ! って話になって張り切り過ぎた結果、一周回って駄作になったのが『スターチス・レコード』っていうことになるねぇ」
まあ、ハードさえ良ければ上手くいったし、作ろうと思えばボク達が当初考えていた形の『スターチス・レコード』も作ることができた……結局リメイクはしないって話になったんだけど。それほど、完成した『スターチス・レコード』のコレジャナイ感は凄まじかったってことだねぇ。
「
「……お嬢様、よくそれだけの情報をきっちり覚えていますね。やはり、自分で作ったものとなると思い入れが強くてきっちり覚えておけるものなのでしょうか?」
「さあ、どうなんだろうねぇ。ボクは元々瞬間完全記憶の特殊能力を持っているから一度見たものは基本的に記憶しておけるから、他の人が覚えているかまでは分からないよ」
質問してきたカレンもこの回答は予想外だったのか、他のメンバーと共に衝撃を受けている。
「……まあ、驚くのも無理はないか。……実はボクの世界ではサヴァン症候群と超能力に関する研究がかなり進められていてねぇ。まあ、これは科学技術が発達する中で、人間がそれに対抗するように独自の進化を重ねていった結果、これまで特殊能力や超能力だって思われていた力を使える存在がある程度の割合で出てくるようになったから、研究機関も本腰を入れて研究しないといけなくなったんだけど。ということで、ボクらの世界では、超味覚、瞬間記憶、絶対音感、完全記憶、
才岳……あの人とはもう二度と会いたくないねぇ。
まあ、異世界に転生した訳だし二度と関わることは……って、これってフラグ!? た、立っちゃダメェ!!
「? ですが、その能力は転生前のものですよね? 前々から気になっていましたが、お嬢様は何故転生前の力を使えるのですか?」
「まあ、ヘレナさんの考えるように普通は魂の器である身体の方に能力は依存する筈なんだけど……。そういえば、そうだねぇ。まあ、ハーモナイアが転生させる際に百合薗圓の能力の一部――具体的に言うと筋力とか持久力みたいな本当に身体依存なものを除いて、聴力とか視力みたいなローザが持っていても不自然ではないものを継承させるように式に仕込んだんだと思っていたけど。当たり前のように今生でも使えたからそういうことだって勝手に認識していたけどねぇ」
まあ、ボクの予想で大凡合っていると思うし、あまり意味のない考察だから放置でいいんじゃないかな? だって重要なのは使えるか使えないかだし。
「今回の件は今後のためにも冒険者ギルドに協力を要請した方がいいと思うけど、その前にドラゴネスト・マウンテンのゲートウェイの調査はしておいた方がいいと思うんだよねぇ。ラルさんを危険度が把握できていない調査の最前線に連れて行くってのは正直ボクも避けたいし」
「……確かに、アタシでは力不足よね」
まあ、口に出さなかったけどそういうことになる。実際に、ラルと【ブライトネス王家の裏の剣】では実力の差に大きな開きがあったし、突発的な危険に対する対応力もそこまで高いとは思えない。極夜の黒狼の女ボスだから並の冒険者よりは強いんだけどねぇ。
「本当はボク一人で調査してきたいところだけど、お父様は反対するでしょう?」
「勿論。私の大切な一人娘を一人で危険な場所に送るつもりはない。――【ブライトネス王家の裏の剣】からも何人か出そう。……ヘイズ、ヘレン、カレン、サリア、頼んだよ」
ああ、今回はこの四人なんだねぇ。同じ人が長期間屋敷の中にいないとカトレヤに不審がられる可能性が高いからかな?
四人の予定を確認してはいないけど、ラピスラズリ公爵家の使用人にとっては普通のこと。ラピスラズリ公爵家に雇われている以上、ラピスラズリ公爵家の人間――というか、カノープスには逆らえないからねぇ。これが貴族屋敷務めの哀しさってところかな? まあ、事前に無理だって伝えておけば任務から外してもらえるし、休みも取れるんだけど。
ということで、ボク、ヘイズ、ヘレン、カレン、サリア、そこに
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