百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を賭けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜
Act.2-18 Gateway dragons dungeon!! scene.2
Act.2-18 Gateway dragons dungeon!! scene.2
<一人称視点・ラナンキュラス>
翌日、ボク、ヘイズ、ヘレン、カレン、サリア、
ちなみに、今回ボクはローザでもリーリエでもアネモネでもない――別のサブアカウントの姿に変身している。
ラナンキュラス――長い緑髪を左右非対称に編み込んだ神祖の龍人の女性で、吟遊詩人系四次元職と暗殺系四次元職、二つのイベント職を取得している。ソリストビルドとオーケストラビルドの中間のようなビルドと手数重視のブレイドダンサービルドを組み合わせ、ジワジワとダメージを蓄積していく戦法という慎重さと、弱ったところを龍人の広範囲スキルで一気に焼き尽くす大胆さを兼ね備える。
装備はクリティカル発生率の高い赤く怪しく輝く刀身の幻想級装備『妖刀・紅月影』と下がミニスカートになっている制作級の軍服型の革鎧『女軍人の
ちなみに、アネモネとラナンキュラス以外のサブアカウントは、マリーゴールドとネメシア。
マリーゴールドは稲穂のような豪奢な髪を持つエルフの神祖の女性で魔法系四次元職を含む四職に就いている。
魔法系特化で、魔法威力と消費MP減少の効果がある幻想級装備の『沙羅双樹の魔杖』、『宵時雨の
ネメシアは天の川のような美しい青髪を靡かせる包容力の高そうな神祖の兎人族のお姉さんっていう雰囲気の女性で武闘家系四次元職の武闘帝、神官系四次元職の施療帝、神職系四次元職の神子、イベント職の聖女の四つの職に就いている。
チャイナドレスのようなボディコンシャスなワンピース(ヘソだし)の、物理攻撃強化に特化した幻想級装備『群青の
「ところで、ローザ様はどうしていつものリーリエ様の姿じゃないの?」
「それはね。みんなに頑張ってもらうためだよ。吟遊帝といえばステータスを上昇させるBUFFとステータスを低下させるDEBUFFの使い手――折角ついてきたのにボクだけ戦っていたら他のみんながつまんないでしょう?」
まあ、ボクはどこかの暗殺者の家系に生まれた穢れを知らないお嬢様じゃないし、【ブライトネス王家の裏の剣】の正体を知っているんだから実力を見ておきたいと思うのは普通だよねぇ。
「ローザ様、私達はローザ様の護衛であって……」
「まあそうだよねぇ。でも、戦わないのに異世界化に伴いどんな感じのシステムに調整されたか予想もつかない不思議のダンジョンに乗り込むって自殺行為だから、ボクと
ボクは割と効率主義なところがあるから、人を使えば早いなら人使いが荒いって言われるくらい人を使うし、自分の方が得意なら誰かの手を借りずに一人で仕事は片付ける。
まあ、適材適所を徹底しているってことだねぇ。みんな努力すれば人並みにできるようになるっていうけど、やっぱり物事には向き不向きがある。
誰かに仕事を丸投げして楽をしたいって訳でも、誰も信用しないで全部自分で仕事をしないと安心できないって訳でもない。
他人だけではなく、自分も駒の一つとして考え、どこで誰に仕事をしてもらえば、あるいはすれば効率がいいか、良い結果が得られるか、それを吟味するのもボクの仕事って訳。そもそも、人海戦術みたいな仕事を一人で抱え込むとか意味不明だからねぇ。
今回のダンジョン探索は、個人プレーよりも団体の力が求められると思う。全方向から来る的をボク一人で対処する……となれば、正直護衛としてついてきたヘレナ達は必要ない。
暗殺系特化の強い人を固めて来たんだったら、その個々の戦闘力を生かしつつ自分も戦えるキャラを選んだ方がいい。それで白羽の矢が立ったのがラナンキュラスということになる。
「……お嬢様、我々は旦那様からお嬢様の護衛を任されたのです。カレンの失言については後できっちり言い聞かせますので、どうか我々をお嬢様に同行させてください」
いや、カレンだけじゃないよねぇ。全員心の中で「私達は護衛であって、あくまでメインで戦うのはお嬢様。【ブライトネス王家の裏の剣】の力をあまりお嬢様に見せて手の内を明かしたくない」って思っていたよねぇ。お姉さん(兼お兄さん)はよぉく知っているよ?
「それじゃあ行こっか」
ボクを先頭にゲートウェイに突入。えっ、普通は最初に護衛が入るものだって? まあ、基本的に不思議のダンジョンは一方通行で潜ったら元の階層には戻れないし、毎回マップが変わる筈だから偵察なんて意味をなさないからねぇ。
それに、総合的に見てもボクが一番強いんだからボクが先に入った方が先に敵を片付けて安全を確保できるし、そっちの方が合理的だよねぇ。人の命に重いも軽いもないんだから、一番合理的な方法を取るべきだとボクは思うんだよ。
◆
〜蒼岩の洞窟 1F〜
半透明の淡い青色の、地球上でも異世界ユーニファイドでも見たことがないような、ついでに成分も全く違う石に彩られた世界――それが、ゲートウェイの先に広がっていた洞窟だった。
ふと視線を下ろすと白い半透明の線が見える。どうやら、異世界化した後もオートマッピング機能は健在のようだ。……これって、ボクだけ?
「お嬢様、さっきから左下の方に白い線みたいなものが見えるのですが、私の目がおかしくなった訳ではありませんよね?」
……あっ、ボクだけじゃなかったっぽい。
ボクの持っている『管理者権限』の発展系じゃなくて、このダンジョン内でのみ適用される独自のシステムってことか。……というか、『不思議のダンジョン;ゲートウェイフロンティア』のダンジョン内システムがそのまま適応されているってことだよねぇ?
「大丈夫、カレンさんの目がおかしくなった訳じゃないから。これは、『不思議のダンジョン;ゲートウェイフロンティア』のダンジョン内システムの一つでオートマッピング機能――ダンジョン内を自動でマッピングしてくれるシステムだよ。不思議のダンジョンは入るために地形が変わってマッピングしても意味がないから、その救済措置ってことになるねぇ。自分の歩いたところが白い線でマッピングされていくし、そこに表示されている青い点で現在自分の位置が分かるようになっているから、それを元に最短ルートで階段を見つけていくというのが攻略の鍵ということになるねぇ」
まあ、それだけでダンジョンが攻略できるほど甘くはないんだけど。
最短距離で行けばそれだけダンジョン内に落ちているアイテムを拾えなくなる。アイテムは多くの場合ダンジョン攻略を優位に進めるものだから沢山持っていた方が効果的だ……ゲーム時代は最大量が設定されていたから無尽蔵にアイテムを持ち歩くことはできなかったけど。
ただ、このアイテムを求め過ぎると今度は探索が長引いて多くのモンスターと遭遇することになる。……まあ、余程のことがない限り階段は簡単に見つからないようになっているから、普通に探索していれば塩梅なんて気にする必要はないんだけどねぇ。
『圓さん、なんか変なものを見つけたよ? なんだろう? 人間の食べ物かな?』
ダンジョンを進んでいくと
「これは、クッキーだねぇ」
『それと、拾った時に変なものが一瞬だけ出たよ』
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ラナンキュラスは
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アレなクッキー……ああ、あれね。いかがわしい感じのクッキー(それなんだよ)、じゃなくて、未鑑定品のクッキー。
早速、シャマシュ教国の鑑定スキルで鑑定すると……。
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しっとりクッキー…しっとりとしたクッキー。満腹度を100%回復します。
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その正体はしっとりクッキーだった。……うん、これ、設定したの覚えているよ。
しかし……この不思議のダンジョンにお腹システムが搭載されていないみたいなんだけど、このクッキーって必要なのかな?
試しにしっとりクッキーを食べてみる。ヘレンが「お嬢様、拾い食いをしてはダメですよ!!」って言っているけど、それなら落ちているお腹回復アイテムは食べちゃダメってことになるじゃないか!! ダンジョン挑戦者に餓死しろとでも言うのかねぇ。
ちなみにクッキーは普通にしっとりとしたクッキーだった。クロテッドクリームを挟んだら美味しそう……って、クロテッドクリームはスコーンに使うクリームだったか。
「……しっとりクッキーだったみたい。まあ、味はなかなかってところだねぇ。とりあえず、他にも色々落ちていると思うから拾ったらすぐにボクに渡すようにしてねぇ。変なものだと爆発とかするからねぇ」
「……爆発って。お嬢様って相当過激なものを自分の作品に登場させていたんですね」
いや、ヘイズよ。お前らの方が相当物騒だと思うぞ。それに、最近の乙女ゲームって結構生きる死ぬっていう感じだし、『不思議のダンジョン;ゲートウェイフロンティア』は結構平和的な内容だと思うけどねぇ……最後を除いては。
「ローザお嬢様、この青い玉はなんでしょうか? マッピングオーブって表示されましたが」
おっ、サリアが当たりを引いたみたいだ。
「ちょっと見せてねぇ」
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マッピングオーブ…青いオーブ。マップを全て埋め、フロアの構造、道具、敵、トラップ、階段と秘密の階段の位置を表示させます。
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「これを使うとこのフロアのマップを全て確認することができるみたいだねぇ。サリアさんはなかなか引きがいいねぇ。ありがとう、これで探索が楽になるよ」
嬉しかったのか顔を赤らめてもじもじとしている……可愛い。オトコノコだけど天使かっていう見た目だからねぇ。
それからボク達は危なげなく階段まで到達して二階に進んだ。
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