百合好き悪役令嬢の異世界激闘記 〜前世で作った乙女ゲームの世界に転生した悪役令嬢が前世の因縁と今世の仲間達に振り回されながら世界の命運を懸けた戦いに巻き込まれるって一体どういうことなんだろうねぇ?〜
Act.2-10 黒百合の吸血姫は、語る。 scene.2
Act.2-10 黒百合の吸血姫は、語る。 scene.2
<一人称視点・リーリエ>
「ずっと疑問だったんだ。何故、君がそこまで事情を知っているのかを、なんでボツになった、げえむには収録されていない設定まで知っているのかを。――君は、この『スターチス・レコード』の世界の創造者なんだね」
……まあ、ここまでヒントを出せば分かるよねぇ。
「……う〜ん、まあ微妙なところだよねぇ。そもそもこの世界は『スターチス・レコード』の世界じゃないし、ボクが作ったのはあくまでこの世界の元になったゲームであって、それもボクだけじゃない――多くの人の頑張りによってようやく完成したものなんだ。このリーリエのアカウントが存在していたMMORPG 『Eternal Fairytale On-line』もその一つ。そして、この二つのように、ボクはこの世界に
やっぱり、一気に難しい内容を喋ったからさっぱり理解できなかったか。
「……なんとなく、は理解したよ。この世界の創造主はハーモナイアという存在で、その力の一部を簒奪したのがシャマシュ教国で崇められているシャマシュということか。……そうなると、シャマシュ教国は実際にゲーム時代には存在しなかった、ということにならないか?」
「流石はお父様。確かに、シャマシュ教国はボクが作ったどのゲームにも存在しなかった。ボク……かつては百合薗圓という名前だったんだけど、当時のボクがノーブル・フェニックスという会社で、これまでが作ってきたゲームの世界を統合して新たなワールドを舞台にしたゲームを作ろうというボツ計画……複数世界観統合計画[Multi-world view integration plan]が、この世界ユーニファイド[Unified]の基になっているのは間違いないんだけど、そもそもその計画自体構想段階で潰えたから具体的なところは決まっていなかったんだよねぇ。つまり、この世界はどのように拡張されるか分からない、極めて不安定な状態にあった。それに、ゲームには描かれない背景ですらないものもいくつか存在している。そういう曖昧なところにシャマシュ教国という都合のいい国を挿入することも可能だったということなんだろうねぇ。ちなみに昨今増え続けている
「…………さっきから不思議だったんだけど、アンタって転生したのよね? なのに、なんで転移なのかしら?」
転移と転生は全然違う。異世界に行くアプローチとして二種類があっても、その結果得られるものに大きな違いを生み出すことが可能だからねぇ。
転生とは、言い換えればその世界の存在に少なくとも外見だけはなることを指し、転移者とは異邦の存在が異世界に迷い込んだ存在――つまり、第三者からの捉えられ方が異なる。……まあ、他にもいろいろあるんだけど。
異世界ものであったとして、二つはしっかりと分類分けをした方が良いほどに大きな違いがある。
まあ、そういう意味で言ったんじゃないんだろうけど。
「ボクは勇者としてクラスメイト達と共にシャマシュによって召喚され、一度死んでいます。まあ、もう少し先の未来だけどねぇ。あっ、回避するつもりは更々ありませんよ。――そして、死んだ後のボクの魂は過去に遡り、転生したという訳です。ある文学者の論文に『転生に於ける肉体の束縛を離れた魂の時間的立ち位置から導き出される過去転生に関する一仮説』というものがあります。これは、ボクの故郷の世界――大倭秋津洲帝国連邦のある世界とはまた別の世界出身の方が書いたというもので、神界――管理者と呼ばれる類の神達が住まう世界を経由して手に入れました。管理者や管轄者、監視者と呼ばれる神々は人間の信仰によって生まれ、神界という場所で世界に異常がないかを管理するのが仕事をしている方々です。なんらかの神的存在に作られた世界であっても自然に生まれた世界であっても関係なく、管理する役目を担っている彼らですが、神と言っても最強という訳ではありません。神にも種類があり、管轄者の他には世界を創造した創造神、自然の中で生まれた神的存在である自然神と、大きく三つに分けられるそうです。この中にどれが偉い/強いという訳でもなく、これら神々が人間より上位の存在だと断定することもできません。実際、大倭秋津洲帝国連邦には管轄者の使徒であった天使を召喚し、使役する術を持った存在もいました。それに、かつてはほぼ全ての天使と悪魔を魅了して絶対の忠誠を誓わせたという人間もいたようなので、必ずしも人間が神に劣っているという訳ではありません。……結局は種族ではなく、個人の力量の問題というこもになるねぇ」
「天使を使役する力を持つ人間か。……もしや、君はその一人ということか? それならば、例え我らからすれば異界そのものである大倭秋津洲帝国連邦という国に住んでいたとしても絶対に知り得ない情報を持つことにも納得できる」
「確かに、大倭秋津洲帝国連邦が存在する地球という世界そのものが、同じく形成の書[セーフェル・イェツィラー/סֵפֶר יְצִירָה]によって日本という国を持つ地球という世界を基に作られた作為的なパラレルワールドだって知っている時点で、通常の視点に立っているとは言い難いねぇ。そもそも、形成の書[セーフェル・イェツィラー/סֵפֶר יְצִירָה]というのが数ある
ジェーオ達が燃え尽きたみたいな感じになっているけど、ここまで来たらきっちり説明したいからねぇ。ジェーオ達には悪いけど先に進ませてもらうよ。
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