第19話 ウルトラマンパワードついて
ウルトラマンの海外展開は今も続いていまして、最近ではあのマーベルコミックでの連載が決定しましたね。どうなるのかは非常に楽しみですが、実はウルトラマンはすでに海外でも花開いていました。
それがウルトラマンパワードとウルトラマングレートです。
実は、先に海外で放送されたのはグレートなのですが、まぁ僕が見た順番ということで。
さて、パワードはアメリカで制作された初代ウルトラマンのオマージュ作品とでもいえばいいでしょうか。登場する怪獣、宇宙人が初代のそれに準じているのも面白いですが、アメリカナイズされ、リデザインされた姿は結構かっこいいのも多いんですよね。
ウルトラマンのデザインも初代をもとにしつつ、細マッチョ、青い目とどこか「外国人」らしさが見て取れますが、実際は色々とあったみたいですね。
どことなく生物っぽさも感じられるデザイン、エラとでもいいんでしょうか、マスクのデザインも有機的。カラータイマーの周囲には細かいランプがあるなどの違いもあります。
ですが、それよりもパワード最大の見せ場はやはり「スペシウム光線」でしょう。第一話、真夜中の暗闇で神秘的に輝き、エネルギーを溜めるパワード。ゆっくりと、スペシウム光線の構えを取り、迫力の一撃!
いやぁ、このシーンはマジでかっこいいですよ!
あと、パワードは当初、初代ウルトラマンそのものを出す予定で進んでいたという話もありますが、そこらへんの話は僕はよくわかんないですね。
デザインを決めるときに至ってはウルトラマンに「変形」する車とかがあったようですし、結構難航してたのでしょうか。
さてさて、こんなパワードですが全体的な評価は微妙です。一エピソードを見れば評価の高い部分もあるのですが、所謂商業的には不振に終わったようですね。製作費などはアメリカが持っていたので、そのあたりの権利もあっち側にあって……などという世知辛い事情がありました。
また日本側としても不満はあったようで、デザインされた各種の怪獣に対しては「こうじゃねぇよ!」的な感想もあったとか。特にパワードバルタンは結構、複雑な感情があったとか。
とはいえですが、さすがは映像大国アメリカ。特撮スーツの技術はやはり格段に上だったようで、生物的な特徴もさることながら細かな演出は円谷スタッフも認めていたようです。
ウルトラマンパワードは先にも述べた通り初代ウルトラマンのパロディ、オマージュの強い作品でしてバルタン星人などを含めレッドキングやダダ、ジャミラなどの名だたる怪獣、宇宙人が登場します。
放送話数の関係で出てこないキャラもいますが、そこは仕方ないでしょう。
また展開も大きく違う点もあり、特にジャミラは「宇宙飛行士が怪獣になる」という要素は同じでもオリジナルのように人間に復讐するために戻ってきたのではなく、一人残した娘に会いたいという思いで帰還します。
ですが、パワードジャミラは人間としての心が徐々に蝕まわれて、最後はジャミラを利用しようとした軍人たちに怒り等々完全な怪獣となってしまうのです。
ですが、彼の娘の必至の説得により、ジャミラは感情を取り戻し、ウルトラマンに懇願するのです。人間の心が残っているうちに、殺してくれと。
事件ののち、ジャミラの娘はいずれ自分も宇宙飛行士になり、父がなぜ怪獣となったのかを調べるという決意をするのです。
これはぜひとも見てほしいエピソードです。オリジナルにあった悲劇的な話ではなく、どこか救いのあるお話になっています。
その他ですと、ダダ星人でしょうか。オリジナルではどこか間抜けたダダですが、パワードだと一転、SFホラーに変わるんですよね。
というか、宇宙人ですらないです。パワードに出てくるダダはなんと「電子生命体」であり、とある科学者が作り出してしまったコンピューターウィルスなんです。
ダダは徐々に暴走をはじめ、現実世界で活動する為のユニットを作り出し、人々を襲い始めます。
そしてついにウルトラマンと対峙し、巨大化して戦うのですが……なぜかこのシーンだけ、下手すると歴代ウルトラマンの中でも相当「迫力」がないんですよね……まぁこれに関しては大きな事情もあるようですが、まぁ見てください……ちょっとあ然とします。
パワードに関しては造形やエピソードの評価はあるんですがいかんせん、戦闘シーンが地味、遅い、なでるだけ、みたいな評価もあります。
というのもどーやらアメリカの児童向け番組では暴力規制があったとかなんとか。でも、これ、実際はよくわかんないんですよね。パワーレンジャーとかもありましたり、なんならむこうのアニメでも殴る、蹴るはふつうにあるので、まぁ配給場所の規制なんでしょうかね? 僕もいまいちその部分は興味ないので、特に調べてないですが。
そうそう、忘れてはならないのがウルトラマンパワードに変身する主人公。
彼を演じるのはなんと、あの、ケインコスギなんですよ! カクレンジャーのブラックでも有名ですが、なんとウルトラマンもやっていたんですねぇ。
彼が演じるのはカイという名の青年です。原典であるハヤタのようなキャラクターではなくどっちかと言えばおとなしいタイプの青年ですが、いざとなれば体を張って怪獣と戦う根性もありました。
また時折、ウルトラマンとも対話するなどもあります。
パワードにおいてはウルトラマンと変身者は明確に分離していて、憑依一体化するというわけではないんですね。パワードもカイのプライバシーには絶対に踏み込まないという条件で一体化していますし、なんと最終回では分離して単独で戦います。
その時の最後の敵はもちろん、ゼットンです。
商業的には不振に終わり、続編なども消え去ったパワード。
アメリカでの再起を図ったウルトラマンは出だしから躓いてしまった形になりましたが、残した影響は大きかったこともあります。
当初日本ではビデオでの展開でしたが、80以降のテレビ放送で当時のバンダイなどが結構働きかけたらしいです。
とはいえ、やはりシリーズ復活には長い年月がかかりました。
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