第13話 平成セブンについて②

 さて、前回でちょっと暴言じみたこと言いますが、平成セブンシリーズそのものは僕、嫌いじゃないんです。

 ものすごく回りくどいのは確かなんですが、やりたいこともわかりますしね。

 偏見というか先入観なく見るべき作品だなぁとは思っています。

 ただあえてうやむやにしていたノンマルト問題を引っ張り出して、出てきた内容が「やっぱり地球人は侵略者だったかも?」ではちょっと焼き回し感が強いんです。

 結局、ノンマルト側の言動は胡散臭いもので、やっぱこいつら嘘つきじゃね? ってなりますし。

 そもそもオメガファイルという地球人の罪を宇宙に公開して、なんか、なるんですか? ってところもあって、僕はそこらへん気になります。

 公開した後、地球はどうなるの? みたいなことは結局描かれないし。

 宇宙の掟を破った地球人類は、じゃあ他の侵略者もしくは宇宙を平定する何かによって滅ぼされても文句は言えない?


 そんなもやもやを抱えたままエヴォリューション五部作というのが始まります。

 で、これわざと何でしょうね。ストーリーをあえてバラバラに出してきているんです。確か一巻目は第四話にあたる部分だったかな?

 なので唐突にネオパンドンという怪獣と戦うセブン、実は壊滅していた地球防衛軍、実働部隊が少ないウルトラ警備隊という構図なんです。

 それは良いんですが、この五部作ではセブンは掟を破ったので同胞たちから罰として幽閉されているんです。それが第四話の次に出る一話から三話で、その回ではセブンはずっと幽閉されたシーンしかないんですね。

 ですが、色々とあって再びカザモリという青年と融合し、地球で活動を開始する……という形式になっています。


 ですがエヴォリューション五部作の本質はそこではありません。どうやらこの作品、もともとはセブンを出す予定はなかったと聞いています。セブンなき地球をどうするのかという主題もあったのでしょう。

 ストーリーではかつて不幸が重なり結果的に地球人が加害者となってしまったペガッサ星人たちが登場します。彼らは母星が荒廃しており、その代わりとして人工のペガッサシティという巨大な宇宙船で暮らしていたんですが、事故により地球と衝突してしまうことが判明。


 ペガッサ側はこの事実を地球に伝えある要求をします。それは地球ちょっとどいてくださいというもの。ようは地球を今ある場所から移動させ、シティにぶつからないようにしてほしいいうものだったんですが、無理です。できません。なので地球はペガッサシティを爆破するという行動に出てしまうんです。

 ですが地球側もペガッサ星人側にシティから避難してほしいと言っていたんですが、なぜかペガッサ星人側はそれを無視しちゃうんですよね。


 そんなことがあってこのエヴォリューション五部作ではその生き残りが登場します。それも復讐派と穏健派に分かれて。

 復讐派は当然かつての同胞の仇を、穏健派はそんなことよりも今の地球での暮らしを……両者ともに正論ではあるんです。

 その間に立つセブンの選択とは! ここは純粋に面白い話でした。


 続いて植物人間なる存在が登場します。作中では女性ですが、彼女はその通り、植物から進化した存在なんです。そして「アカシックレコード」という存在も語られ、そこには人類はいずれ滅び、新たに地球の支配者になるのは植物人間であるということが語られるんですね。

 このアカシックレコードですか石板みたいなもので、そこに継承文字のようなものが刻まれて、線が伸びているもの。それがまぁ繁栄するかどうかってやつなんですが、人類を表す部分は途中で途切れているんです。


 そのほかにも新人類ということで超能力を持つ子供たちが出てきますが……彼らは特に意味ないですねはい。

 ただし彼らのせいで殉職する隊員が出てきます。なのに、この新人類、のちのストーリーでは一切語られないんです。そりゃないですよ。


 人類は地球の盟主足りえるのか?

 話はその方向へと進むんですが……あれ? ノンマルトの言ってたことってやっぱ嘘じゃね? となるんですよね。

 その星の歴史、繁栄が記されているというアカシックレコードなるものが出てきてそこには滅びるとはいえ人類が刻まれている。なら、オメガファイルの公開の意味って、なに?

 1999でやってきたあのストーリー、なに?


 ただまぁ裏を返せばやはり人類は地球人であり、ノンマルトは悪質な侵略者であったということなのかもしれません。この時点では。

 なんとこのアカシックレコード。改ざんできることが判明するんです。どうやるのかは不明ですが、とにかく繁栄するかどうかって線を消したり、もしくは増やしたりもできるようで、本編ラストにおいて実は人類は滅びず、植物人間たちと共存することでさらなる繁栄を約束されているという話になるんです。

 ですが、カザモリ=セブンはアカシックレコードが改ざんできる事実を知っている。もしかしたら真実だと思っていた人類の繁栄も実は誰かが改ざんしたあのなのでは?


***


 さて、駆け足で語った平成セブン。

 実はまだ語れてないところは多いんです。例えばセブンに出てきたナースという龍のような円盤ロボット怪獣そっくりの奴とか某声優さんが敵宇宙人として出演とか、地球防衛軍の幹部が涙ながらに語る人類の罪への思いとか。

 ですがこれらは単独で語るにはあまりにも情報量が濃すぎるんです。そのほかにも「あれ? ウルトラ警備隊がちょっかいかけたから被害拡大してね?」とかありますし。さらっと民間人が死ぬので。


 僕個人の感想だけを申し上げれば平成セブンは確かにセブンという作品の続編、後継者ではあるのだと思います。強いメッセージ性、勧善懲悪にはなりえないストーリー、宇宙人たちが存在する中での地球人の選択……ですが、ウルトラマンとしてみる場合「うーん?」ってなる部分も多いのは確かです。

 しかし、しつこいようですが、SFという作品としてみた場合、平成セブンは大きく一つにまとまってはいるんじゃないでしょうか。


 それに僕はこのシリーズ、面倒くさい、なんか違うといいつつも好きなんです。それはセブンの魅力というものが強いってのも大きいでしょうけど、やっぱり引き込まれる部分というのがあるんですね。

 それらは要素の一つに過ぎないのかもしれないけど、ウルトラマンという作品はそういう味付けもできるぐらい幅広く、無限の可能性が含まれているのだと。

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