シリーズを語ろう

第10話 ウルトラマンについて

 さて、なにやら面倒な話になりそうですが、ここでがらりと話題を変えていきましょう。

 ウルトラマンというシリーズについて、ぐーたらと語ってみようと思うのです。

 これは今一度、自分を見つめなおすためでもあります。


***


 さて、初代ウルトラマンですが、すでに述べた通り、彼が僕が生まれて初めて知ることになるヒーローです。仮面ライダーでもスーパー戦隊でも、アンパンマンでもなく、僕はウルトラマンという存在をヒーローとして初めて認識しました。

 放送当時にしても、ウルトラマンは恐らく画期的なヒーローだったのではないでしょうか。


 とは言いつつも、巨大ヒーローという点ではマグマ大使が同時期にやっていましたけどね。

 ともあれウルトラマンがウルトラシリーズ、そして巨大ヒーローの流れを作ったのは間違いないことでしょう。


 ウルトラマンは無敵のヒーローですが、弱点もあります。それは地球での活動時間ですね。明確に三分間になったのはのちの作品からというわけですが、このタイムリミットがなんだかんだとハラハラさせるわけです。

 それがこの2020年になってもなお続いていると考えると本当に革命的な作品だったというわけですね。


 この初代ウルトラマンにおいては、「ウルトラマン」個人のキャラクターは明確にこれと決まっていたわけではなさそうで、やはり物語の主人公はハヤタ隊員なわけですよね。

 とはいえ、ハヤタとの問答、ガヴァドン回での子供たちへの語り掛け、そして最終回でのゾフィーとの対話を見るに今の初代ウルトラマンのキャラの原型はあると思います。


 そんなウルトラマンに変身するハヤタは誠実で、有能、立場としては副リーダーっぽいポジションにいました。このあたり、メディアによって説明変わりますが。

 彼の所属する科学特捜隊も非常に有能な部隊です。言ってしまえばなんですが、ウルトラマンに登場する防衛チームは役立たず、すぐに戦闘機が撃墜されるといった認識を多く持たれています。まぁ実際、それは正しいといえる部分もあるのですが、この科学特捜隊は意外なことに単独での怪獣撃破も多いんですよね。


 特に今でもイデ隊員の発明はちょっとおかしいレベルです。マルス133、スパーク8、確かバリアも発明してた記憶があります。特にマルス133やスパーク8は怪獣を撃破する性能を持っています。

 のちの作品、ウルトラマンメビウスにおいてイデ隊員の発明はオーバーテクノロジー扱いを受けているとかなんとか。PSゲーム「スーパーヒーロー作戦」でも彼の発明するマシンがやたら高性能だったと思います。


 さて、この初代ウルトラマンは初めての作品という立ち位置ながら結構突っ込んだストーリーもありまして、ウルトラマンがいるなら防衛隊は必要ないんじゃないかとかどうせウルトラマンが助けてくれるさという問題提起がなされていたり、当時の世情も反映しているのでしょうけど、元人間であるジャミラをめぐる問題とか……他にも調べれば色々出てくるでしょう。


 たまに問題というか揶揄されるバルタン星人の回もですが、どうやら公式もこのあたりは理解をしているようで、手を変え品を変えバルタン星人の立ち位置は大きく変更していたりします。


 しかし、ウルトラマンの基本フォーマットは変わりません。凶悪な怪獣や邪悪な宇宙人から地球を守る。このストーリーラインは一貫していました。全くぶれることもなく、手堅くまとまった作品なのではないでしょうか。


 近年は当たり前になってきた主人公が思い悩むという描写は殆どなく、むしろその立場は前述したイデ隊員が多く割合を占めていたと思います。

 ハヤタ=ウルトラマンは全編通して主義がぶれない。自分のやることを理解していて、その立場に使命感も責任感もあるという感じでしたね。


 そんなウルトラマンですが作中ではまさしく無敵。苦戦することもありますが、数々の必殺技を駆使して、時には体術をもってあらゆる強敵を打倒してきました。

 というかですね、技の殆どが必殺技というかスペシウム光線が通用しないなら別の技、それも駄目ならまた別の技と多彩な技があります。


 意外とスペシウムが決め手にはならない敵が多いんですよね。

 とある書籍だとウルトラスラッシュ(八つ裂き光輪)が最強技だったりします。

 言っちゃなんですがこの時点でのウルトラマンは作劇におけるデウスエクスマキナと言いますか、問題解決のための舞台装置な部分も大きいんです。


 まさしくウルトラマンがいればいいんだ状態ですね。とはいえ、メタなことつつけばそもそもウルトラマンは作品の顔であり、活躍させなきゃならないという理由もあります。

 番組のメインで、顔の存在を活躍させないって言うのはまぁまずありえない話ですからね。

 ですがその部分にちゃんと突っ込む、説明する回もあるので決して無敵のヒーローだけが活躍する作品ではありませんでした。


 ウルトラマンが地球にやってきたのはベムラーという怪獣を墓場まで連行する際に、脱走したベムラーを追ってやってきた。その時に事故でハヤタ隊員と一体化したという流れは有名ですね。

 その後も、ベムラーを倒した彼は地球にとどまります。実はこのあたり、なぜウルトラマンは地球にとどまったのかという点は今でも明確に答えはないと思います。

 一応、「ウルトラシリーズ」というまとまりができた頃になるとそれらしい理由は出てくるのですが「ウルトラマン」という作品単体では理由は特に語られないんですよね。


 メフィラス星人の回では彼らのような侵略宇宙人を「宇宙の掟」を破る無法者であり、それを諫めるためにいるみたいなことを言っていた記憶があります。

 なんにせよ、彼は地球にとどまり、結果的にあらゆる危機から地球を救ってくれたわけですね。


 しかし、無敵の超人ウルトラマンも最終回にて、最強の敵ゼットンの前に敗れ去ります。

 あわや地球一貫の終わりかと思われた中、地球人は自分たちの力でゼットンを撃退しました。

 死亡したウルトラマンは仲間であるゾフィーによって救われ、ハヤタもゾフィーの持ってきた「命」によって復活を遂げ、ウルトラマンと分離する。


 だが、ハヤタにはウルトラマンと融合した以降の記憶はなくなっていた……果たして、ウルトラマン本編におけるハヤタの言動やハヤタのものだったのかウルトラマンのものだったのか? この部分は様々な外伝作品で色んな描かれ方をしているのです。

 そして科学特捜隊のムラマツキャップは「地球は地球人の手で守らなくてはいけない」という言葉で締めくくります。


 この地球は地球人の手でという言葉はその後のウルトラシリーズにおいても重要なテーマになっていきます。

 ですが、途中からあまり意識をされなくなったといってもいいでしょう。

 ちょっと残念な部分ではありますが……。

 昨今のウルトラマンではやはり「ウルトラマン」が多いに活躍をするんです。それは全然良いことです。先にも述べましたが、番組の顔ですからね。


 ですが、やはり面倒くさい僕は防衛チームも活躍して、持ちつ持たれつな関係が一番いいんじゃないかって考えちゃうんですよね。

 まぁこの部分は「おもちゃが売れない」という大人の事情も出てくるそうなので、とやかくいうのはやめましょう。

 番組を作るのは善意だけじゃ無理ですからね。


 こうして当時3歳だった僕が出会ったウルトラマンは、3歳の子供が見るには小難しい部分もありましたが、それを超える楽しさがありました。

 それは初めての出会いという幻想もあるのかもしれません。

 確実に思い出補正もあります。

 ですが、ウルトラマンは、永遠のヒーローなんです。

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