第594話また俺達の邪魔を!!(ビリダス視点)

 何だこの攻撃は? こんな物見たことがないぞ。先程よりもしっかりとした攻撃が俺達を襲った。


 それは突然だった。ブレイデルが上手い具合に俺の指示通りに動き、取り敢えずあの石が使える事が分かり、しかも俺を攻撃してこない事に少し安心し。

 すぐに俺は精霊の石を奪おうと、闇の魔法で囲んだ精霊の石がある場所へ。何も変わっていなければ、そこに精霊の石があるはずで。ブレイデル達に命令すると、ブレイデル達は一気に、闇魔法に力を流し始めた。


 そして半分程、闇の魔法を縮めた時、やはりおかしいと思い。その嫌な感じは、ほとんど確信に変わっていたが、最後まで闇魔法を潰せば。やはりそこには精霊の石はなかった。

 

 どうせ持っている者は限られる。1番可能性が高いのは、やはり精霊の石の持ち主の霧の精霊だろう。

 次は子供と一緒に居るあの闇の精霊だ。確かあの闇の精霊は、魔法で闇の中に色々な物をしまうことができると報告が来ていた。


 あとはエルフが持っているか。フェンリルは持っていないだろう。あれだけ激しく動いているのだ。毛の中に何かを入れられるとしても、今回はないだろう。

 またあの子供達の前で戦っている人間も持っていないはずだ。確かに人間にしては強いが、この中で精霊の石を持たせて戦わせる程では。


 そして…。最後1人、可能性のある人間が。あの子供だ。まいどまいど、俺達の邪魔をしてきた子供。あの子供のせいで何回計画がくるわされ、しかもどれだけこちらに損害が出たか。

 何をやらかすか分からない。それがあの子供だ。もちろん他の一緒に居る奴らも、規格外の者達ばかりだが、あの子供はさらに規格外だ。

 普通にポケットなどに入れて持っているかもしれないし、俺達に分からないような、何らかの方法で持っているか。色々可能性はある。


 どちらにしろ、まずは面倒なフェンリルとエルフを倒さなければ。こいつらを倒してしまえば後は楽だ。ブレイデル達を使い全員でかかれば、霧の精霊と人間など。

 そして倒したあとは、精霊の石が手に入れば良し、子供はエチゾロス様の言う通り無視をして引き上げる。もし誰も持っていなければ、子供を捕まえゆっくり調べれば良い。


 取り敢えず向こうはスピード達に任せ、ブレイデルにフェンリルとエルフを倒すように命令した。ブレイデルの力は、最初の全く使えないブレイデルよりもかなり上がり、攻撃もかなりの威力を出すように。また攻撃しているうちに、さらにその力が増しているようで。

 この計画が終わり次第、奴で色々実験するつもりだが。この様子なら、これからかなり役立てる事ができるだろう。


 少しするとブレイデルが、また新しい魔法を生み出した。闇の力を集めた玉のような物を作り、それを次々と投げた。フェンリル達はそれを避けるのに精一杯のようで、攻撃してこなくなり、また子供や霧の精霊達の方へも攻撃は行き。俺やスピード達の方へも飛んできたが…。


 ついに子供達の前にいた人間が、その攻撃とスピードの攻撃により倒れた。子供達は慌て、何とかして人間を助けようとしていたが。フェンリル達もブレイデルの攻撃で戻る事は出来ず。助けに向かった霧の精霊も、他の部下の攻撃により人間から離れることに。


 人間は立つ事が出来ず、そんな人間にスピードが近づく。予定では人間は最後で良いと思っていたが、まぁ、倒せるならば良いだろう。

 と、その時、子供が何かしているのが見えた。何か言っているのだが、周りの者達は変な表情をしていて。何だ? 何かやる気なのか? 


 そんな中スピードが人間に止めを刺そうとする。そして…。


「モコモコ、おじゃままほでしゅう!! モコモコ~!!」


 は? 何だそのふざけた魔法は。そう思った。モコモコ? お邪魔魔法? どう考えてもふざけているとしか思えない魔法だった。が、それは起き。

 スピード達の顔にモコモコした物が纏わり付き、しかもスピード達はすぐにそれを取ろうとしたのだが、なかなか取る事が出来ず。


 そしてまた次のふざけた攻撃が。今度は俺達の方へと向けられて。


「まっててでしゅ。マシロおてつだいでしゅ。こんどは、もやもやおじゃままほでしゅ!! おじゃままほ、もやもや~!!」


 ブレイデル達と俺の周りに霧のような物が現れ、それが俺達の視界を奪い、また身体に纏わりついてきた。近くにいたブレイデル達でさえ見えなくなり、ただ音で、ブレイデル達が攻撃を止めたのは分かったが。


 それから何とかふざけた攻撃から出た俺達。スピード達が集まってきて、フェンリル達も子供達の所へ。


「ビリダス様、今のは一体?」


「今のふざけた攻撃は霧の攻撃だろう。人間が使うのは初めて見たがな。…おそらく精霊の石を持っているのはあの子供だ。あの攻撃も精霊の石を使ったものだろう。どうやって使っているか知らないが」


「精霊の石を…。もちろん我々も石を使うために奪いにきています。他に集めてもいますが、あのような使い方が?」


「分からん。分からんが、取り敢えず石を持っている者は分かった。が、やはりまずは周りを倒さなければ、子供に近づけん。お前は引き続き奴等の相手を」


「はっ!!」


 すぐに戦闘が再開する。まったく、また面倒な事を。エチゾロス様は今回は捕まえるなと言っていたが、奴等を倒し、子供から石を奪う事ができたら、やはり俺達のためにあの子供を連れ帰り、力を使わせる方が良いのではないか?


 そして戦い始めてまたすぐに、あのふざけた魔法が俺達を襲う。面倒な魔法を!

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