第593話もっとお邪魔魔法

『精霊の石が力を貸した? 確かにこの感じはそれの気もするが』


『確かだ。私が間違うはずがないだろう。だが、私以外の者に力を貸すなど』


『でもあのモヤモヤの塊から出てくる時とか、ユーキが歩きやすいように明るくしてくれたよね』


『だよな。ユーキの言うこと聞いてくれるよな。でもオレ、さっきのは分からなかったぞ。ユーキ、1人で話してて、何だ?って思った』


 みんなさっき、僕は精霊の石さんとお話ししてたの、ぜんぜん分からなかったって。う~ん、僕も分かったような、分かんないような。でもなんとなくモコモコのお邪魔魔法使ってとか、もやもやのお邪魔霧魔法使ってとか。精霊の石さんがそう言ってる感じがしたの。


 ん? それよりもディル、こっちに来たけどハロルドお怪我治った? 僕は急いでハロルドを見ます。だっていつの間にかディルが僕のお隣にいて、一緒にお話ししてたんだ。


「いやぁ、助かったぜ」


 ハロルドがモコモコの霧の中から立ち上がりました。それでねお肩とか頭とかにモコモコ霧が乗ってたけど、お手々でシュッシュッてしたらすぐに取れたよ。スピード達はなかなか取れなかったのに、なんでハロルドのはすぐに取れるのかな? 精霊の石さんはちゃんと悪い人がわかってるから、それでハロルドはすぐに取れるのかな?


 いつもはすぐにお怪我を治しちゃうディル。今はお外の結界ですぐに治せないけど、何回もやって、完璧に治したぞって。


『治したし、少しだけど元気になる魔法もやったぞ!』


「ありがとうな、ディル」


「ディル、ありがとでしゅう!!」


「それにしても、ユーキはこんな魔法まで使えるようになったのか」


『じっくり話しを聞きたいが、向こうもそろそろまた仕掛けてきそうだな』


 ハロルドのお怪我が治ってニコニコの僕。でも黒服達を見たら、向こうのモコモコお邪魔霧も、もやもやお邪魔霧も少ししか残ってなくて、みんながこっちを睨んでたよ。


 う~ん、さっきみたいに、またお邪魔できるかな? 僕はまた両方のお手々を前に出して、お邪魔霧を出そうとしました。でもマシロが待って。

 うんとね、さっきは黒服を止めたのと、逃げるから良かったけど。でも今出しちゃうと、マシロ達も黒服達がどこにいるか分からなくなっちゃうかも。それからもやもやで、何処から攻撃してくるか、分からなくなっちゃうかもしれないから、今はダメダメなんだって。


『黒服達の体半分とか、先ほどのモコモコのように顔だけ隠せれば良いが。…来るぞ! 主、なるべく大人しくしていてくれ。おそらく誰が精霊の石を持っているかも、奴は気づいたはずだ。ハロルド、頼んだぞ!』


「任せろ!!」


 マシロ達はブレイデル達と、ハロルド達はスピード達と、また戦い始めます。僕はお手々を引っ込めて考えました。お顔とお体半分だけお邪魔霧魔法? 精霊の石さんに聞いてみようかな? もしかしたら精霊の石さん、他に魔法できるかも。


「えと、おかおだけ、おじゃままほ、できましゅか? マシロはみえて、わるいひとたちはみえなくなる、おじゃままほでしゅ。みんなみえなくなるのはダメダメでしゅ」


『………』


「できるでしゅか? しゅごい!!」


『またお話ししてるの?』


『ピュイちゃん分からないなのぉ』


『ボクも』


 僕も分かんない。でも今のは絶対、できるって言ったはず。僕はお手々を前に出しました。最初はマシロ達の方。だって向こうのブレイデル達はとっても強くなっちゃって、なかなかマシロ達の攻撃が当たらなくなっちゃったから。マシロ達がちゃんと攻撃ができて、それからブレイデル達がマシロ達を見えないようにお邪魔するんだ。


「えと、おかおだけ、もやもやおじゃまこうげきでしゅ!! もやもや~!!」


 僕が叫んだら、ちゃんとビリダスとブレイデル達のお顔の所に、もやもやお邪魔霧が出ました。


「くそっ! またか!」


 やっぱり精霊の石さんが言った通りです。うん、今度はお体半分もやもやにしてみよう!


「こんどは、おからだはんぶん、もやもやでしゅ!! もやもや~!!」


 次もちゃんと、黒服達のお体半分より上を、もやもやお邪魔霧が包みました。


「できたでしゅう!!」


『わぁ、本当にできるんだ! 今だよマシロ攻撃して!!』


『早く攻撃するなのぉ!!』


『ユーキ、次はハロルド!』


「うん!!」


 マシロ達の攻撃がブレイデル達に当たるのを見てから、今度はハロルドと霧の精霊お兄さんのお手伝いです。お手々を前に出して、最初はスピードから。


「もやもやおじゃまこうげき! もやもや~!!」


 あっ!! 失敗しちゃった! もやもやは出たのに、スピードがシュッ!!って、避けちゃったの。強くなったのはブレイデル達。ビリダスも強いけど、でも1番早く動くのはスピードです。だからもやもやお邪魔霧を避けちゃったんだ。


『ねぇねぇ、あいつはモコモコお邪魔攻撃の方が良いんじゃない? モコモコの方がしっかり顔に付くしさ。早く動くあいつにはそっちの方が良いかも。ブレイデル達は色々な場所に攻撃してくるから、なるべく見えなくなる範囲が多い方が良いと思うんだけど』


『スピードは早く動いて、1ヶ所攻撃だもんね。だからしっかり付いてる方が良いね』


 ん? 範囲? 1ヶ所?


『それぞれ戦い方が違うって事だよ。取り敢えずあいつにはモコモコ攻撃をしてみよう!』


「うん!! モコモコおじゃまこうげきでしゅ! モコモコ~!!」


 リュカ達にモコモコお邪魔攻撃が良いって言われたから、すぐに僕はモコモコお邪魔攻撃をしました。

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