第592話お邪魔魔法モコモコ!! もやもや!!

 お体の中がポカポカ、それからふわふわ。これさっきと同じだよ。えっと精霊の石さんが僕のお体に入った時と一緒。あとはあの今はなくなっちゃったけど、モヤモヤの塊から出てくる時に、僕のお身体を光らせて、明るくしてくれたでしょう。その時とお体の感じが一緒です。


 さっき霧の精霊お兄さんにいっぱい力をあげて、ちょっとだけ疲れてフラフラになっちゃった精霊の石さん。もしかしてお元気になったのかな? 何か僕とお話ししたいの? 僕そんな気がするんだけど。


 僕が自分のお胸を見ていたら、リュカ達が叫んで。


『危ない!!』


『右からくるよ!!』


「ぐっ!!」


 霧の精霊お兄さんがスピードに飛ばされちゃいました。だから誰もハロルドを守ってくれる人がいなくなっちゃって、少しずつスピードと2人の黒服が、ハロルドと僕達の方に近づいてきて。残りの黒服達は飛ばされたお兄さんの方に行きます。


『ハロルド、立って!!』


『逃げるなのぉ!!』


『マシロ! ハロルド助けて!!』


『お前らなんか、向こうに行け!!』


 みんなでハロルドに逃げてって言って、ハロルドは少しだけお体を起こしたけど、でも座ったり立ったりできなくて。マシロ、ちょっとだけ結界開けて! それでディルにハロルドのお怪我治してもらうから。早くしないとハロルドがやられちゃうよ!! 僕は一生懸命マシロに叫びます。

 でもそのうちに、スピード達はハロルドの目の前に来ちゃって。僕達は結界ギリギリでハロルドを呼びます。そしてスピードがお手々を上げて。


 僕もいつでも魔法が使えたら良いのに。そうしたら、ハロルドお助けできるのに。僕がこう、お手々を出したらハロルドが守れる、みんなが守れる魔法が出たら良いのに。


「全く、ビリダス様の手を煩わせて。お前達さえいなければ、もう精霊の石を回収して、次の計画に移っていたのに」


 何かハロルドを守る魔法ない!? お願い魔力さん! ハロルドを守りたいの! えと、マシロの結界を壊さないで、魔法だけやりたいの。ちょっとだけで良いんだ。 ハロルドを助けて!!


 そう思った時でした。今までで1番お胸がポカポカして。それからやっぱりお体の中の精霊の石さんが、僕にお話ししてきた気がしました。


『………』


「おてて、まえにだしゅでしゅか?」


『………』


「おめめ、かくしゅでしゅか? おかおも? おじゃままほうでしゅか?」


『………』


「マシロのけっかい、だいじょぶでしゅか?」


『ユーキ、こんな時に誰とお話ししてるの!?』


 お顔を上げたら、みんなが僕を変なお顔で見てました。あれ? 今僕精霊の石さんと、みんなみたいに普通にお話ししてた? みんなお話し聞いてない? 僕がみんなに精霊の石さんの事を聞こうとしたら、シュプちゃんが叫びます。


『あっ!! ハロルドが!! 危ない!!』


 スポーツがお手々に、ブレイデルみたいな黒い丸を作ってて、それをハロルドにぶつけようとしてました。ハロルドは僕達の方を見て、それから小さなお声で、すまないって言ったよ。


 その時また、精霊の石さんが僕にお話ししてきて。早くお手々出してって。僕は急いで、お手々を出します。それから大きなお声で叫びました。


「モコモコおじゃままほうでしゅう!! モコモコ~!!」


 そうしたら僕のお手々の前にポンポンポンって、わたぼこみたいなモコモコの小さな塊ができて、それがハロルドの前にもたくさん出たんだよ。あとあと、スピードのお顔と2人の黒服のお顔に、そのモコモコがくっ付いて。スピード達が慌てます。


「な、なんだこれは!? くそっ!!」


「何だ!? いくら取ろうとしても取れないぞ!?」


「取れたとしても、すぐにくっ付いてくる!?」


 スピード達、みんな一生懸命モコモコを取ろうとするんだけど、全然取れなくて。それであんまりバタバタ取ろうとするから、だんだんとハロルドから離れていきます。

 

 精霊の石さんが言ってたおじゃま魔法は、モコモコ霧のお邪魔魔法? 僕は急いで霧の精霊お兄さんの方を見ます。さっき飛ばされたちゃったお兄さんも、今は立ってるけど、いっぱいの黒服達が周りにいて。僕はもう1回、霧のモコモコお邪魔魔法をやってみます。


「おじゃままほ! モコモコ~!!」


 そしたら、今度は霧の精霊お兄さんの所にいる黒服達のお顔に、モコモコがくっ付いて、黒服達はそれを取ろうとして暴れて、お兄さんから離れました。


「にょ? モコモコじゃない、べちゅのまほでしゅか? つぎはもやもや?」


『………』


『ねぇ、ユーキ、本当に誰とお話ししてるの?』


「まっててでしゅ。マシロおてつだいでしゅ。こんどは、もやもやおじゃままほうでしゅ!! おじゃままほう、もやもや~!!」


 今度はマシロ達の方に、別のお邪魔魔法をやってみました。そうしたら、今度はブレイデル達とビリダスを、お兄さんが出す霧みたいなものが、もやもや~って包んで。


「何だ!?」

 

 ビリダスのとってもビックリしてるお顔が見えたけど、でもすぐにもやもやで見えなくなります。ブレイデル達は何も言わなかったけど、やっぱり見えなくなりました。


「できたでしゅ!!」


 黒服達の攻撃が止まって、マシロ達が僕達の所に戻ってきました。それで急いで結界を開いて、ディルだけ外に出てハロルドのお怪我を治してもらいます。アーティスト達はやっとモコモコがとれて、ビリダスの方へ行きました。


「マシロ! おじゃままほ、できたでしゅ! えと、けっかいもだいじょぶで、みんなのおじゃまできるでしゅ!!」


『いや、主。確かにお邪魔魔法だが…』


 あっ、精霊の石さんの事は内緒だから、小さなお声でお話ししなくちゃ。僕は小さなお声でマシロ達にお話しです。


「えと、せいれいのいちしゃんに、おしえてもらったでしゅ!」


『精霊の石?』


『やはりこの感覚は、私の精霊の石が、君にこの魔法をやらせたのか?』

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る