第589話変わった?煩い黒服達

 それは主達に見せられる物ではなく、ハロルドが目を瞑れと主達に言ってくれて良かった。苦しんでたいた黒服達の体を、いきなり闇の力が包み込み、耳、鼻、目などから血が噴き出した。


 それから体の周りの闇の力が、一気に周りに広がり。慌ててもう1重、主達の結界に結界を重ねた。それでも通り過ぎた感覚はあったのだろう。何々?と目は開けていないものの、周りをキョロキョロとしていたが。


「マシロ、あれは不味いぞ」


 アンドレアスの言葉に、我も同じ事を思い。ここまでは何とか奴等と戦ってこれていたが、おそらくこれで向こうの元の精霊の石があった場所の事は、もう石がないとバレてしまうだろう。そしてその後はすぐに全員が我等を襲ってくる。その前に少しでも、黒服の人数を減らさなければ。


      *********


『何が起こってるのかな?』


『目開けちゃダメなのぉ!』


 僕達の周りを何かが通り過ぎて行ってから、もっと周りの叫び声が大きくなりました。それからアンドレアスがマシロに早く止めに行けって言ってるお声や、マシロが分かってるって言ってるお声。ハロルドはずっと僕達にお目々を開けるなって言ってて。僕達はお約束。まだお目々を開けていません。


「ぐがあぁぁぁっ!!」


「あがががががっ!!」


 そしてまた何かが通りすぎて。そうしたら今までいっぱい聞こえていた苦しそうな叫び声が止まって、周りがし~んって静かになりました。それから近くで聞こえていたハロルドが戦ってる音も聞こえなくなったし、他の戦ってる音も聞こえなくなったよ。僕はちょっと心配になって、ハロルドを呼びます。


「ハロルド、いいでしゅか?」


「………」


 ハロルドがお返事してくれません。僕はルーリアさん達をギュッと抱きしめて、もう1回呼んでみます。


「ハロルド! おめめあけていいでしゅか!!」


「ハッ!! あ、ああ、もう良いぞ。ここまできたらもう大丈夫だろう。さっきのは見せられなかったが。きっと後はもう変わらないな。良い加減ずっと目を瞑らせているのも、すぐに動けなくて危ないしな」


 ハロルドは良いぞって言った後にブツブツ。何て言ったか分かんなかったけど、でも良いって言われたから僕はそっとお目々を開けて。それですぐに気づいたんだ。僕達の近くにあった木がなくなってたの。それにちょっと向こうの木もなくなってたし。


 あとあと、ハロルドは戦っていませんでした。ハロルドだけじゃなくて、マシロもアンドレアスも、それから霧の精霊お兄さんも、みんな戦っていなかったよ。それで僕達の方に戻って来たの。黒服達はどこかな?って、僕は周りをキョロキョロ。


「くろふくいないでしゅ?」


『ユーキ、ユーキ! 黒服達が向こうに居るよ。ほら』


 ホプリンが言った方を見たら、さっき騒いでた弱い黒服の方にみんなが集まっていたんだけど、でもさっきとちょっと違っていました。えと、透明の結界みたいなのが張ってあって、それからビリダスがその前に、両方のお手々を出して、ちょっとフルフル震えていました。それに黒い服が色々な所が切れてて、血が出てたし、髪の毛もボサボサです。


「どうしたのかなでしゅ?」


『何であんなにボロボロになってるのかな?』


『ちょっと待って、上から見てみるよ』


 リュカ達が結界スレスレまで上に飛んで、向こうをお首を伸ばして見てみます。周りの黒服が邪魔だなぁ、退いてくれないかなぁとか、色々言いながら、ちょっと横にずれて見てみたり、本当に結界スレスレまで行って、首を横に曲げながら見てみたり。


『あっ、見えた!!』


 モリオンがそう言いました。うん、僕達も見えたよ。ちょうどモリオン達が見えた時、黒服の何人かがちょっとだけ横にズレたから、僕達の所からも見えたの。リュカ達がブツブツ文句言いながら戻ってきました。それからすぐにハロルドに質問です。


『マシロあれ何? あれってさっきまで1番煩かった黒服でしょう? どうしてあんなにバチバチしてるの』


『それにお目々が真っ黒なのぉ』


『顔の色もちょっと黒い』


『我にも分からん。が、あれも我等の知らない魔力石の力だろう。また変な物を生み出したか。全く余計な物ばかり作り出しおって。自分達の命をかけるなど』


 えっと煩かった弱い黒服は今、体全部から黒いモヤモヤが出ていて、それからカミナリみたいなのがバチバチ出てるんだ。それからお目々が全部が真っ黒で、お顔も黒くて具合が悪そうなお顔しています。他の苦しんでた人達も同じなんだ。


「ビリダス様、大丈夫ですか?」


「ああ、ここまでくれば大丈夫だ」


「違います、私が心配しているのはビリダス様です。すぐに怪我を治します」


「まだ後でで良い。まずはこいつらが動けるか確認しなければ。お前は奴らの方へ。お前とお前は…」


 ビリダスがアーティストに何かお話ししていて、その間にマシロ達も小さな声でお話し。


「マシロ、あれは不味いぞ。おそらくあれは確実に破られる」


『だろうな。だがここまで良くもったほうか。破られるまでに後もう少し、人数を減らすぞ。ハロルド、気をつけろよ』


「ああ」


 ちょうどマシロ達がお話が終わったら、ビリダス達もお話しが終わって、スピード達がまたこっちに来ました。マシロが僕の方を向いてニッて笑った後、すぐに元の場所に戻ります。

 僕達はマシロ達に頑張れって言った後、変わった弱い黒服達を観察です。だってマシロ分かんないって言ったもんね。だから何かあったら、すぐにマシロにお伝えするの。


『良く見ておかないと』


『何か分かったら、すぐにマシロ達に伝えるんだからね』


『でも結界から出ないように気をつけて』


 じっと変わった弱い黒服達を見る僕達。ビリダスはお話しが終わった後、また両方のお手々を前に出して、そうしたら結界みたいな物がスッて消えました。


「さて、どれだけ使えるか。こっちが攻撃される可能性もあるが…」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る