第590話変わった黒服達と消えちゃったモヤモヤの塊

 すぐにマシロ達が戦い始めて、僕達はしっかり弱い黒服達を見張って。ビリダスが弱い黒服とお話しします。でも弱い黒服は何も言いませんでした。


「ブレイデル、私の話しが分かるか?」


 あの弱くて煩い黒服の名前はブレイデルだって。


「分かるのなら返事をしろ」


 ブレイデルも周りにいる黒服も、ボケっと前を見たまんま。その時ビリダスがブレイデのお顔をバシッ!!って叩きました。僕達はビックリです。みんなでお顔をすりすりしちゃったよ。

 ブレイデルが倒れて、地面で体をうねうね動かして。何でうねうね? 気持ち悪い。それから体の周りのモヤモヤ出ていた物がもう少し多くなって、フワってブレイデルの体が浮きました。それでフラフラ〜ってビリダスの前に戻ったよ。


「良いか、お前達は俺の人形だ。これからは俺の命令だけに従い、従わない場合はただすぐに消えるだけの存在だ」


「………」


「説明しても分からんか。良し、まずはアレからやらせよう」


 ビリダスがモヤモヤの塊の方を指差して、そっちに行けって言ったら、ブレイデルは浮かんだままスゥって、モヤモヤの塊の方に行って、他の変わっちゃった黒服達もそれに着いていきます。1番後ろからビリダスもついて行ったよ。


「お前達の最初の仕事だ。精霊の石を守っている霧を払い、結界を破るんだ。そして精霊の石を手に入れろ」


 ブレイデル達が何も言わないまま、モヤモヤの塊の周りに並びます。それでぐるっとモヤモヤの塊を囲んだら、今度は両方のお手々を上げて。そうしたらお手々から黒いモヤモヤがいっぱい出てきて、モヤモヤの塊にどんどん入っていったんだ。

 

 モリオンがあれは闇の力だって。今あのモヤモヤの塊に闇の力を入れて強くしてるみたいです。さっきまでと全然違うって。さっきまではちょっとずつしか、黒服達は力を入れられなかったけど、今はブワッて感じで、力が入っていってるんだって。


 ブレイデル達が闇の力を入れ始めてすぐでした。モヤモヤの塊が膨らんで、でもすぐに小さくなり始めたんだ。どんどん小さくなっていくモヤモヤの塊。僕はすぐにマシロに伝えます。マシロはスピードと戦ってて後ろを見てたから。


「ましろ、モヤモヤちいしゃくなってるでしゅ!」


『分かった!! やはりか…。アンドレアス! ハロルド! 急げ!』


 マシロがそう言ったら、アンドレアスが一気に4人の黒服を吹き飛ばして、ハロルドも3人の黒服を剣で飛ばしました。霧の精霊お兄さんは霧で攻撃。霧で黒服達をぐるぐる巻きにして、黒服と黒服をぶつけて、そのまま黒服は倒れました。


 すぐに僕はモヤモヤの塊の方を見ます。マシロにお話ししてる間に、モヤモヤの塊は半分くらい小さくなっちゃってました。


「ここまできてこの感じ…。やはり既にここにアレはないのか。奴もこちらを気にしているが、来る様子はないしな。しかし一応という事もある。おい、一気に潰してしまえ!!」


 ビリダスがそう言ったら、ブレイデル達のお手々から出ているモヤモヤが、もっと強くなりました。それでモヤモヤの塊から出てた、バチバチカミナリみたいなものも強くなって。今よりももっともっと早く小さくなり始めたんだ。そして…。


「マシロ! なくなるでしゅう!!」


 僕がそう言ったら、パチンッ!! モヤモヤの塊が全部消えちゃいました。もう何もありません。


「ふん。やはりここにあったのは偽物だったか。誰が本物の精霊の石を持っているのか…」


 ビリダスが霧の精霊さんを見て、それからマシロ、アンドレアス、ハロルドを見て、最後に僕達を見てきたよ。それからブレイデル達を連れてこっちに歩いてきて途中で止まりました。アーティスト達も攻撃を止めてビリダスの方へ集まります。マシロ達は僕達の前に集まりました。


「どうやってあそこから精霊の石を持ち出したか知らんが、やはりその子供の力を借りたか?」


『どうだろうな。お前達には関係ない事だ』


「関係ない? 俺達にはあの精霊の石が必要なんでな。誰が持っているか知らんが、素直に渡せば、見逃してやっても良いぞ。今回はそっちの子供に用はないのでな」


『用はない? こっちこそお前達などに用はない。石はなかったのだ。さっさとここから消えたらどうだ? そして我々はさっさと帰る』


「俺がそれを許すとでも? ふん、言うことを聞いて石を渡し、そのガキと家へ帰れば良いものを。スピードお前達はあっちの人間と精霊の相手を。エルフとフェンリルの方はこれにやらせる」


「かしこまりました。行くぞ」


「「「はっ!」」」


『ハロルド、霧の精霊、気をつけろ奴は強いぞ』


「ああ、だろうな、お前が苦戦してたくらいだからな」


『何としても倒す、そして彼らを守る』


 マシロとアンドレアスが前に出てすぐでした。目の前に、剣を振り上げてるスピードがいたんだ。僕もみんなもビックリ。ビックリしてただスピードを見ちゃってました。そうしたら横から霧の攻撃がきて、スピードがそれを避けてちょっと向こうの方に。


『ボケっとするな!』


「分かってるよ!!」


 マシロ達の方にブレイデル達と変わっちゃった黒服達が、ハロルド達の方に残りの黒服達がいっぺんに来て、一気に周りが煩くなりました。

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