第584話やはりユーキが…(ウイリアム視点)
「実はな、また反応がおきてな」
「反応…? まさか!?」
「そうだ。あの剣がまた反応したのだ」
剣が反応した? オルガノ殿の家に代々伝わっているあの伝説の剣が!? ユーキが私の屋敷へ来て間もない頃、今回も関わっていると思われる黒服達の組織に攫われ。その時は沢山の人々に力を貸していただき、何とか無事に救い出すことができたのだが。
事件が解決して、オルガノ殿の屋敷へ招待された時にそれは起こった。ユーキはオルガノ殿の息子、ジョンと一緒にいたのだが。たまたまそこに、代々伝わる伝説の剣が飾ってあり。
変化が起きたのは、ユーキ達がその剣を見ている時だった。激しく屋敷が揺れ、すぐに私達はユーキ達の元へ駆けつけ、無事を確認しホッとしたのも束の間、オルガノ殿の驚きの声にそちらを見れば。
伝説の剣が浮かび上がり、光を放っていたのだ。皆、驚きに動けずにいると、ユーキの泣き声でハッとし。すると伝説の剣の光は収まり床に突き刺さって、その動きを止めた。
そのあと私はオルガノ殿から、この伝説にまつわる話しを聞いたのだが。この世界に、この伝説の剣を使わなくてはいけない、大きな出来事が起きようとしている。またその時、この伝説の剣を扱える選ばれた者が近くにいた場合、この伝説の剣は目覚める。
そう言った話しをオルガノ殿から聞いた。伝説の剣が変化を起こし、その時伝説の剣の近くにいたのは、ジョン、メイド。そしてユーキだ。
オルガノ殿はおそらくユーキに反応したのではないかと。心当たりはないかと言われ、ユーキのさまざまな規格外の事を思い、ハッとしたのだが、
いつも屋敷にいるジョンやメイドが、その時だけ反応するのもと、そう言った事からも、オルガノ殿はユーキが伝説の剣の持ち主に選ばれたのだはないか。そう心配してくださった。
その時はここだけの話しと、すぐに話しを切り上げたが。それからも定期的に、オルガノ殿からは、伝説の剣について報告をもらっていた。そしてあの時以来、伝説の剣に変化は見られないと、ついこの間も報告をいただいたばかりだったのだが。
「1度、剣の反応は治ったのだが、反応がかなり強かったのでな。どうにも気になり、確かめるだけでもと、何も起きていないならば問題ない。そう思ったのだが」
一応剣を持ちながら、私の所へ確認しに行こう。そう考えたオルガノ殿は、すぐに準備を始め、そして最後に伝説の剣を準備したのだが。
準備をしている時に、それはまた起きた。伝説の剣がまた光だし、強くなっていた反応が、さらに強くなったそうだ。
触っても平気なのか、分からないまま触れば、光はそのままだったが剣自体は動かすことができ。
どうやって剣を持って行くか。かなり困ったらしいが、いくつか入れ物を選んでいる間に、オルガノ殿がこの箱に手を触れた瞬間、伝説の剣は静かになったようで。ではこの箱でと、どうも用意した入れ物の中で1番シンプルな物だったようだが、その箱に入れて来た。
「開けるぞ」
オルガノ殿がそう言い蓋を開けると、そこには確かにあの伝説の剣が。
「…これは!?」
「見ての通りだ。来るまでに何度か確かめながら来たが、ここへ近づくにつれて、光りが強くなったのだ」
箱の中には、あの日見た時以上の光を放っている、伝説の剣が入っていた。そして続けるオルガノ殿。
「ここへ来るまで、私はまだ、もしかしたらこの剣はジョンを選んだのではないか、とそう思っていた。一応私の屋敷に伝わるもので、いつも近くにいるのはジョンだったからな。だが」
私は思わず手で顔を覆ってしまった。
「私もあまりこう言う事を言いたくはなし、確信があるわけではないが。それでもやはり、こう考えてしまう」
「………」
「ここへ来るまでに光りが強まった事、今ここで何かが起きている事。またこの場にユーキ君がいない事。…この剣はユーキ君を選んだのではないかと」
何で、何でこんな事に。確かにまだ本当にユーキが選ばれたとは限らない。しかし…。ここまで色々な事が重なっていると。
「それで…、今、ここで何が起きている」
私は深く深呼吸をすると、まだ色々思うことはあるが、オルガノ殿に今起きている事を説明した。そして…。
『帰って来たか。と、それでお前はどうしてここに居る? ここへは里の者が許した者しか来られないはずだが?』
私は今、エシェットの所へ来ている。あの伝説の剣を持って。
『大丈夫だ、ちょうど屋敷に来ていたエルフに話し、長に話しをしてもらい、ついでに『これ』も長に見てもらったら、ここへ来る許可をもらえた』
『そうか、ならば問題ないが。それで、その剣は何だ?』
あの後全て話した私に、すぐにユーキの近くに剣を持って行った方が良いとオルガノ殿に言われ、たまたまその時来ていたエルフに話しをすると、すぐに彼らはエルフの里の長に連絡をとってくれた。
その時話しがスムーズに進めばと、伝説の剣を持っていってもらい、剣を見た長は、私だけならと来る事を許可してくれたのだ。
『その剣がそうか?』
「ああ。ここへ着いてさらに光りが強くなった」
『ふむ…。貸してみろ』
エシェットが剣を持ち軽く振ってみると、すぐに私に返してくる。
『我では使えんな。我の魔力とこの剣の力は、どうにも相性が悪い。さて、詳しく話しを聞きたい所だが…』
急に黙るエシェット。エシェットは伝説の剣と、自分が持って来ていた剣を見比べ。
『そう言えば、試していなかったな』
そう言った。
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