第501話ばいばいリリース! フィオレートは…フィオレートもばいばい!

 次の日の朝早く、僕はいつもよりも早く起きて、眠くてちょっとよたよたしちゃうけど、リリースの所に行きました。

 昨日の夜、僕達が寝るちょっと前に、休憩のお部屋に戻って来たお父さんとお母さん。フィオレートとリリースは明日の朝早くに帰っちゃうから、夜のうちにさようならしなさいって言ったんだ。


 でも僕、ちゃんと帰る前にさようならしたかったから、マシロやルトブルに、今日の朝絶対に起こしてってお約束して、朝起こしてもらいました。でも眠くて。だからちょっとよたよたなの。


 リリースの居る小屋に着いたら、リリースはもう帰る準備万端。朝のご飯も食べ終わってて、フィオレートが乗る所以外に、大きなカバンを2個背負ってました。それからちょっと小さいカバンが4つ。荷物いっぱいです。


 くろにゃんでじぃじのお家に帰るって、お父さんに教えてもらってたから。僕くろにゃんに荷物しまってもらえばってリリースに言いました。そしたらこれは他の人が持っちゃいけない荷物なんだって。大切な荷物だから、リリースしか持っちゃダメみたい。


 ふ~ん? そんなに大切な荷物なら、やっぱりくろにゃんに持ってもらえば良いのにね。だってくろにゃんは、そのまま絶対に壊さないで、荷物を運んでくれるんだよ。モリオンも。今度運んでもらうと良いよ。


 荷物はもう良いや。僕達はリリースに最後のお願いをします。またリリース先生してねって。それから僕達が冒険に行くときは、また一緒に冒険しようねって。昨日もお約束しにリリースの所に行ったけど、もう1回ね。

 

『仕事がないときなら、必ず遊びに来るわ。それで一緒に冒険をして、それからちゃんと先生もしてあげるわ。ふふ。昨日からそればかりね。もうこれで3回目よ』


 3回目? 昨日僕達お約束して1回でしょう。2回目は? 聞いたら僕達の寝言で約束したって。


 昨日? えっとお外が明るくなったその後も、帰りの準備をしてたフィオレート。リリースはちゃんと寝て、明るくなってからフィオレートの帰る準備のお手伝いをしました。それで僕が寝てるお部屋の窓の前を通ったとき。エシェットがリリースのことを呼び留めたんだって。


 それでその時、何のお話したか分からないけど、エシェット達がお話してたら、僕やディル達みんな、寝言言ってたんだって。またキックの仕方教えてとか、リリース先生絶対だよとか。後、冒険に行くからねとか。


 これが2回目だって。う~ん、でも僕達分かりません。僕達寝ながらお願いしてた?


『ピュイはもっと凄かったな。寝ながら足だけ動かしてキックして。リリースにまた教えて欲しいなのって、叫んでたな』


『ピュイちゃん、寝てたなの?』


 ピュイちゃんも分からないって。


 そんなお話してたら、ついにフィオレートとリリースが帰る時間になりました。フィオレートがお母さんを抱きしめて、なかなか離れなかったからお母さんに怒られてたよ。それからお母さんを抱きしめるのが終わったら、次は僕の番でした。


 僕のこともなかなか放してくれないフィオレート。僕はバシバシお体を叩いて、やっと離してくれました。それでまたお母さんに怒られたのに。フィオレートはディル達にも同じ事したんだ。

 まとめてぎゅっと抱きしめたフィオレート。あんまりギュッてしたから、ディル達が苦しいってもがきました。


「お兄様!! いい加減にしてください!!」


 お母さんが怒りながらフィオレートに近づきます。それで目の前に行った時、フィオレートがジュシャッ!って横に飛びました。僕ビックリ。一緒にディル達が飛んじゃったと思って慌てちゃったよ。でも、みんなバラバラに、フィオレートからちょっと離れた所を飛んでたり、お座りしてフィオレートを見てました。


「飛ばされたときに、オレ達のこと離したんだぞ」


「だから僕達大丈夫だったの。ところで何でフィオレート飛んだの?」


 リュカが怒りながら周りを見ます。僕達も一緒に周りを見て。そしたら、蹴る格好をしてるリリースが。あんまりフィオレートがみんなにご迷惑かけるから、リリースが蹴って、フィオレートを止めてくれたみたいです。


『まったくあなたときたら。皆が迷惑しているでしょう。それに早く帰らないといけないのだから。ほら行くわよ!!』


 イテテテって言いながら立ち上がるフィオレート。それからあの気持ち悪いニコニコお顔になって、リリースの方に寄って行って、リリースのことを抱きしめました。


「ああ、さすがリリースですね。君の蹴りはいつも美しくとても攻撃的だ。私はこの痛みが大好きだよ」


『あら、そう? なら後でいくらでも蹴ってあげるから、はやく背に乗りなさい』


 フィオレートがリリースの背中に乗ります。


「かあしゃん」


「なぁに? ユーキちゃん」


「リリースのこうげき、ぼくもみんなもしゅき。でもいたいのはちょっとぉ。フィオレートは、ぼくたちがたたいても、いたいのしゅき?」


「…次に会う時は、お兄様に注意しておかないと。ユーキちゃん、お兄様の今の言葉は忘れましょうね」


 最初の方は聞こえなかったし、何かお母さんフィオレートのこと睨んだ? ん?


「さぁ、本当にお別れですね」


『またね、あなた達』


「お義兄さん、気を付けて」


「お兄様、何かあったら、すぐに連絡をよこしてください」


「ああ。オリビア、他の皆も次会う時まで元気で」


 フィオレート達がくろにゃんの影に沈み始めます。僕は大きな声でサヨナラです。


「しゃよなら!! バイバイですしゅ!!」


 フィオレート達が消えて、僕達はお家の中に。あ~あ、帰っちゃった。ちょっとしょんぼりです。次はいつ会えるのかなぁ。

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