第403話みんなで応援とコケ頭?

「今日はみんなにお願いがあるのよ。これからユーキと一緒に、応援をしてあげて欲しいの」


 アシュリーさんがみんなにお話してくれます。今マシロやエシェット達、それから妖精の王様達が、アブラムや他の悪い人達と頑張って戦ってくれてること。僕はお体元気にしたばっかりだから、今マシロ達の所に帰れなくて、近くで応援できない事。だからみんなでここで僕と一緒にマシロ達頑張れって応援してほしい事。

みんなお話聞いてプンプンです。


『そんな悪い人達がいるの!』


『みんなの事虐めちゃいけないんだよ!』


『ちゃんとやっつけてもらわなくちゃ!』


『それから後でアシュリーにお仕置きしてもらおうよ!!』


『僕達みんな、ユーキと一緒に応援するよ!!』


 みんな僕の周りに、さっきみたいに集まってこようとして、ルーカスさんにコラって、ちょっとだけ怒られちゃいました。

 それで静かに僕の周りに来てお座りして、どうやって応援するか教えてって。僕はみんなにありがとうして、応援の事教えます。


 マシロ達のお名前教えて、何て言えば良いとか、お手々はどうやって動かせば良いとか。それを教えたら、ほんとの応援する前にちょっと練習です。

 

 僕のお隣りと後ろ、みんな綺麗に並びます。


「いいでしゅか? いくでしゅよ。マシロがんばれでしゅう!!」


『『『マシロ頑張れ~』』』


「エシェットとルトブルがんばれでしゅう!!」


『『『エシェット、ルトブル頑張れ~』』』


 うん、みんなとっても上手。ちゃんとお手々を上げて、大きなお声でみんなを応援。良し後もう1回練習したら、次はほんとの応援しよう。

  

 僕達がも1回応援の練習始めたとき、フワッてルディーが現れました。僕もみんなも応援の練習止めてルディーのことジィ~って見つめます。

 だって、ルディー変なんだもん。いなくなる前よりももっと変。お毛々がキノコさんから三角になってたの。チリチリの三角。


 ぼくチリチリの三角も、この前の冒険で見ました。洞窟にね、あったよ。色は茶色とか緑とかいろいろだけど、三角でちりちりモコモコしてるの。お父さんがコケって教えてくれました。コケにはいろんな形のコケがあるけど、冒険した洞窟は、三角のコケが多かったです。モグラさん魔獣がもしゃもしゃ食べてました。


 でもルディーお毛々直しに行かなかった? 何でコケお毛々にしちゃったの?


「ルディー、コケのおけけにちたでしゅか? おもちろいねぇ」


「ブッ!!」


 ん? 誰今の? 僕は後ろ見ます。後ろに立ってるのはルーカスさんとアシュリーさんだけ。アシュリーさんはとっても笑ってて、ルーカスさんはお顔をお手々で押さえてました。今のブッはアシュリーさん?


「ちょっと、笑い事じゃないんだけど。直そうと思っていろいろやってたら、こんなになっちゃったんだけど。アシュリーのせいなんだから。それにルーカス笑いすぎだよ」


 ルディーがそう言ったから、僕はルーカスさんの所に。笑い過ぎって言った? どのくらい笑ってるの? 下からルーカスさんのお顔見ます。うさぎさん達も集まって来て一緒に見ました。

 そしたらすぐにピシって立っちゃったルーカスさん。いつものおでこしわしわのお顔のままです。あれぇ? 笑ってないよ?


「ユーキ、応援するんじゃなかったのか? もう練習は大丈夫だろう。早くマシロ達を応援してやれ」


 あっ、そうっだった! 僕達練習の途中だった。でもルーカスさんがもう大丈夫って言ったから、うん、みんなでほんとの応援しよう!

 すぐにさっきみたいに並びます。そんな僕達の前を歩いて、またどこかに行っちゃうルディー。今度はどんなお毛々にしてくるのかな、楽しみだね。


「みんな、おうえん、しぇーの! マシロがんばれ! エシェットがんばれでしゅ!! みんながんばれでしゅ!!」


『マシロ頑張れ~!!』


『エシェット頑張れ!!』


『みんな頑張れ!!』


 何回も頑張れって応援します。僕のお声、マシロ達聞こえるかな? ここはマシロ達の所から、どのくらい遠い所なのかな? ちゃんとお声聞こえると良いなぁ。


 たくさんみんなで応援して、僕ちょっとお休み。ルーカスさんがちゃんとお休みしないと、また具合が悪くなって、早く帰れなくなっちゃうぞって。だからお休みです。お休みしてるときは、あんまり動かないなら、みんなと一緒に遊んでて良いって。

 だから僕はルーカスさんに抱っこしてって、お願いしようと思いました。


「あの、だっこいいでしゅか?」


「何故だ?」


 だってルーカスさんはお父さんみたい。僕お父さんの抱っこが良いです。でもずっとお父さんに抱っこしてもらってない。あのね僕ちょっと寂しいです。

 僕がもじもじしてたら、アシュリーさんがルーカスさんに、抱っこしなさいよって、一緒にお願いしてくれました。


 ルーカスさんは少し考えた後、ちょっとだけニコッて笑って座って、僕にお膝に乗って良いって。僕はタタタッて走ってお膝に乗っかりました。お膝抱っこ。うん、やっぱりお父さんにそっくり。


 僕がお座りしたら、うさぎさん達が集まって来て、みんなでお歌うたったり、アシュリーさんがどっかから持って来てくれたボールを僕が投げて、みんながそれを競争で取りに行ったり。

 あと、ルーカスさんもどっかからたくさんお花出してくれて、みんなでお花の蜜をなめたり、お花で冠作ったり、いろんな事して遊びました。

 あっ、最初うさぎさん達にあった時、僕が抱きしめたうさぎさんとルーリアはずっと僕のお膝に座ってました。


 それでお休みが終わったら、また応援して、そのあとお休みして、僕応援とっても頑張ったよ。

 3回応援したら、ルーカスさんがもう応援大丈夫って言いました。マシロやっつけた?って聞いたら、ニコッて笑って、僕の頭をなでなで。そしたら僕急に眠くなってきちゃったんだ。


「頑張り過ぎだ。少し休め」


      **********


『ユーキ寝ちゃったぁ』


「私が寝かせたんだ。少し頑張り過ぎだ。せっかくここには休みに来ているのに」


『起きたらまた遊べる?』


「どうだろうな? 向こうが終わればユーキはすぐに家に帰る」


 私がそう言えば魔獣達は皆、私に文句を言い始めた。私の周りでワーワーと。ユーキが起きたらどうすると言えば、小さな声でブツブツと。そして私達の周りに座り、皆も一緒に眠り始めた。


『僕もっと一緒に居たいなぁ』


『ボクも』


 最初にユーキが抱っこしたうさぎとルーリアがそんな事を言い始めた。何だ起きていたのかと2匹を見ると、ユーキの膝の上に乗ったまま、ユーキの手をぺろぺろ舐めている。


「ダメよ、一緒には行けないの。あなた達はここで生活しているのだから」


 アシュリーが静かに近づいてくる。アシュリーの言葉にしゅんとなる2匹。アシュリーが2匹に分かりやすいように説明する。ユーキが生活する世界とここは全く違うものだ。今回は緊急だったとはいえ、本来ならユーキはもっと後にここに来るはずだった。大体もう少し大きくなったら、教会で声だけで会話する予定だったのだ。

 それをあのバカがまた失敗しそうになって…。


「ね、だから一緒には行けないの」


『う~ん、でもぉ~』


『バイバイ寂しいなぁ』


 今度はユーキの手に、すりすり顔をこすりつける2匹。本当にユーキと離れたくないのだろう。今までに見たことがない程にしゅんとしてしまっている。

 

 そんな2匹を静かに見つめるアシュリー。そして何かを言おうとしたときだった。能天気な声を発しながらルディーが戻って来た。


「アシュリー、どうしてくれるの! 今度はギザギザになったんだけど!」


 ルディーの髪の毛は絵でかいたような星のようなギザギザの髪型に変わっていた。

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