第402話キノコのルディー、それから動物さんいっぱい
ゴシゴシお顔拭いたルディー。頭の所のモクモクもなくなって、さっきまでのルディーじゃありませんでした。
お顔がほとんど黒く汚れちゃってて、髪の毛がサラサラじゃなくて、チリチリでボンってなってます。えっと、僕見た事あるよ。この前見たばっかりのはず。
う~んって考える僕。その間にルディーとアシュリーさんがケンカを始めて、ルーカスさんがいやいやそうなお顔で2人を見てます。
う~ん、何だっけ。この前見たばっかりで、形がボンって感じのやつ。冒険したときに見たよね。
………あっ!! 思い出した!!
「にてるでしゅう!!」
僕がそう叫んだら、みんなが僕の方を向きました。ルーカスさんがどうしたんだって。
「キノコでしゅ! ぼうけんで、ぼくとっちゃの。おおきなキノコ。とってもおいちかったでしゅ! それで、キノコのかたち、ルディーのおけけ、しょっくりでしゅ!!」
ルーカスさんとアシュリーさんがルディーを見ました。それから慌ててルディーがどこかから鏡を出して、自分のお顔を見ました。
「あらいやね、本当にキノコそっくりね。ふふふふふっ」
「確かにキノコだな」
「わぁ、ナニコレ!!」
いっきにお部屋の中が煩くなりました。アシュリーさんはアハハハハってずっと笑ってて、笑うのが止まらなくなっちゃったみたい。ルーカスさんはおでこがしわしわのまま、ルディーのお毛々を見つめます。
ルディーは、またまたどっかから、今度はブラシを出して、お毛々をサッサ。でもチリチリのお毛々はぜんぜん直りません。
面白い。お毛々がキノコの上の部分で、お顔の黒いところが下の部分。ディル達が見たら、ディル達も面白いって、飛び回ったり、走り回ったりするよね。でもディル達いません。残念。
僕はルーカスさんを見ました。こんなに面白いのに、どうしてルーカスさんはしわしわおでこのまま、ぜんぜん笑わないのかな?
僕はルーカスさんに近づいて聞いてみます。
「えと、ルディーのおけけも、おかおも、おもちろいでしゅ。おもちろくないでしゅか?」
「アハハハハハ!!」
そうしたらアシュリーさんが、もっと笑い始めました。それから今度はルディーも。
「違うのよユーキ。これでもルーカスは笑ってるのよ。怖いお顔してるけど、これは笑ってるお顔よ。アハハハ」
笑ってる? ほんと? 魔力さんをお休みさせてくれる前も、アシュリーさんそんな事言ってたけど、ほんとに怒ってないの? 笑ってるの?
「ほらみろ、やっぱりルーカスの顔は怖いんだよ。もう少し表情を柔らかくしろって言ってるじゃん。だから小さい子に泣かれるんだよ」
ルディーがそう言った途端、ガツンってルーカスさんがルディーの頭を叩きました。
「余計なお世話だと言っている」
ルーカスさんが僕の方を見ます。
「私はこれでも今、かなり笑っていたのだぞ。私はなかなか表情が変わらないんだ。別に怒っていないから、私のことを怖がらなくて良いんだぞ」
そう言って、僕の頭をなでなでしてくれます。あっ! 今ルーカスさん笑ってた。おでこしわしわのまんまだけど、笑ってるみたいだった。
僕、ニコニコで僕の頭をなでなでしてくれるお父さんのこと思い出しました。僕、早くお父さんに会いたいなぁ。お母さんにもお兄ちゃんにも。それからマシロにエシェットに、ディル達に。
僕思い出したら、寂しくなっちゃって、少しだけしょぼんです。今度はアシュリーさんが笑うのを止めて、頭をなでなでしてくれました。
「しょんぼりしないで。すぐに帰れるわ。さぁユーキ、今度は元気になる魔法をかけてあげるわね。それが終わったら私のお友達を紹介してあげるわ。その子達と、エシェット達の応援しましょうね。ルーカス、ユーキを抱っこしてあげて。あなたが抱っこした方が、落ち着くでしょうから」
「ああ」
「僕はこの髪の毛を直してくるよ。ついでに顔も洗ってくる」
ルーカスさんが僕を抱っこしてくれて、ルディーはすぅ~って消えちゃいました。
アシュリーさんが僕のお手々を握って、アシュリーさんのお体が光り始めます。アシュリーさんの元気になる魔法はディルよりも、もっともっと強いから、すぐに元気になれるって。ディル強くなったのに、それよりも強いんだって。凄いねぇ。
少ししてアシュリーさんがニコって笑って、お手々を離します。もう終わりだって。ほんとにすぐに、僕のお体お元気になっちゃいました。
僕はルーカスに抱っこありがとうして、下に下ろしてもらって、ギュってルーカスさんに抱きつきます。あっ、またニコッてなった。おでこはしわしわだけど…。
僕はあっちに走って、向こうの方も走って、うん、いつもみたい。さっきまでは少しお体が重い感じがしたけど、今はいつもみたいにシャアァァァって走れます。
たくさん走った僕は、ルーカスさんの所に戻ってまた抱きついて、その格好のまんまアシュリーさんにありがとうしました。
みんなニコニコです。
僕が元気になっても、帰って来ないルディー。お毛々が直らないのかな? アシュリーさんがルディーは放っておきましょうって、それよりも次よって言いました。
これからアシュリーさんがさっき言ってた、アシュリーさんのお友達に会います。
アシュリーさんの前にキラキラの丸がでて、モリオンの黒い丸に似てます。それでその中から、ぴょんぴょん、いっぱいのうさぎさんと、パタパタ、小さな青い小鳥さんがいっぱい出てきました。それからルーリアにワンワンににゃんにゃんに、お部屋の中、動物さんでいっぱいになっちゃったの。
「しゅごいでしゅう!!」
「全員私のお友達よ」
「ふわわわ!? みんなおともだちでしゅか!? ぼくもおともだちいっぱい! でもアシュリーしゃんはもっといっぱいでしゅ!!」
僕はルーカスさんのお手々を繋いだまま、うさぎさん達の所に行こうとしました。でも…。光りの丸の中から出てきたいっぱいの動物さんと魔獣が、ダアァァァッ!! って僕の方に突撃してきて、僕は動物さん達に埋もれちゃいます。
「た、たしゅけてでしゅう!!」
動物さん達に潜っちゃって、もぞもぞしか動けなくて、ぜんぜん立てません。良く見たら僕のお顔の前に居るうさぎさんやルーリアも、他の子が乗っかっちゃってて動けないみたい。
僕はなんとかお手々を出して、その子達のことを抱きしめます。他にも埋もれてるけど、目の前の子しか抱っこできません。
その時僕のお体が、フワッて浮きました。それで僕の周りから、わぁ~ってお声がいっぱい聞こえて、ばらばらうさぎさん達が落ちました。僕はうさぎさんとルーリアを抱っこしたままブラブラ。
「まったくお前達は何をやってるんだ」
僕が後ろ向いたら、僕のお洋服をルーカスさんが掴んでて、僕はブラブラしてたの。
ルーカスさんがうさぎさん達に並んで座れって言ったら、みんながしゅばばって、僕達の前に並んで座ります。それでルーカスさんがみんなのことを怒りました。
「全員でいっぺんに来たらユーキがつぶれるに決まってるだろう。怪我したらどうするんだ!」
みんな怒られてしょぼんってしちゃいました。
もう1回最初から。うさぎさん達はうさぎさん達。ルーリア達はルーリア達。みんなおんなじ子が集まって、順番に僕にご挨拶してくれます。あのね、うさぎさん達も、他の子達も、みんなお話できるんだよ。アシュリーさんとお友達だから、みんなお話できるんだって。
みんなのご挨拶が終わったら、今度は僕の番です。
「ユーキでしゅ! えっと、ちょっとまえに、3しゃいになりまちた!! よろちくでしゅ!!」
「「「ユーキ、よろしくね!!」」」
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