第401話また神様に会いました

「だれでしゅか?」


「あれ? 忘れちゃった?」


「お前はバカか? 前に会ったときは声だけだっただろう。人の姿で会うのは初めてなんだから、分からなくて当たり前だ」


 僕のすぐ後ろから、今度は全然知らないお声が聞こえました。僕は横見て下見て、自分のお体見て。僕誰かに抱っこされてる? お顔だけ後ろ向いて、誰が居るのか確認します。

 

僕のこと抱っこしながら座ってたのはお父さんみたいな人で、おでこのところしわしわで、なんか怒ってるみたい。僕は急いでおじさんの抱っこから下りました。

 何で怒ってるの? それにどうして僕のこと抱っこしてたの? マシロは? かあしゃんは?


「だれでしゅか? マシロやかあしゃんどこでしゅか?」


「僕のこと、ううん、僕の声覚えてないかな? 君を別の世界に送って、わんちゃん、マシ

ロをプレゼントしてあげた神様だよ」


 別の世界、マシロプレゼント、神様…。う~ん、なんだっけ? …あっ!! 僕思い出しました。そうだこのお声、神様のお声だ。僕に頑張ったよって言ってくれて、それから僕にマシロをプレゼントしてくれた神様。この前はお声しか聞こえなかったけど、今日はちゃんとお顔が見えるんだね。


「かみしゃま、こんにちわでしゅ!!」


「うん、こんにちは」


「えと、どちてぼくここいるでしゅか?」


「え~とね、ユーキ君、自分が何してたか覚えてる?」


 僕ね、キラキラの中に居た事は覚えてるって言いました。とっても綺麗なキラキラ。僕がそう言ったらお兄ちゃんの神様がお話してくれました。

 僕、妖精の王様のためにたくさん魔力使って、今妖精の王様はとってもお元気になったって。それからディルにも僕の魔力をあげて、それで今ディルはピュイちゃんをお元気にしてくれてます。あと、その次に僕はマシロとルトブルを元気にしてあげようとして。


 あっ! そうだ! 僕思い出しました。僕がマシロのことお元気にしてあげようと思ったら、マシロはもうお元気で、アブラム達倒したらまた、僕の魔力を貰うかもしれないから、今はもう大丈夫って言って。

 

 だから僕魔力さんにありがとうして、魔力止めようとしたんだけど、なかなか魔力とまらなくて、僕途中で眠くなっちゃったんだ。うん! 全部思い出しました。


 それで僕そのまま寝ちゃったみたいです。でも僕マシロのおしっぽにくるまって寝たよね。どうしてここにいるのかな? 僕はもう1回周りを見ました。この場所覚えてるよ。僕が初めて神様のお声聞いた、真っ白なお部屋だよね。


「今ユーキがあそこに居ると、魔力が止まらなくなっちゃうから、僕がここに連れてきたんだよ」


 僕ね、魔力が溢れるの止まってないのに、みんなにたくさん魔力あげたから疲れちゃって、そのまま寝ちゃったんだって。

 それで僕が寝ちゃった後、エシェット達が僕達の所に来てくれて、エシェットが魔力さん止めてくれようとしたの。


 でも、エシェット頑張って魔力さん止めてくれようとしたんだけど、やっぱり止められなかったんだって。それでねエシェットはみんなと一緒に、アブラム達悪い人達をやっつけないといけないから、僕の魔力を神様に止めろってお願いしました。

 神様は魔力止められるんだけど、でもあそこに居ると、神様も魔力を止めるの大変だから、ここに僕を連れてきてくれたんだって。


 僕、自分のお体見ます。うん、お胸がポカポカ。まだ魔力が溢れてるみたい。これから神様が魔力さんを止めてくれるって。


「君の魔力を止めて、君が元気になれる魔法をかけてあげるよ。そんないろんな事してるうちに、エシェット達があの人間達を倒してくれるだろうから、そうしたら帰してあげるからね」


「しゅぐかえれるでしゅか?」


「そうだね。たぶんすぐに帰れるよ。だからユーキは、早く魔力止めて、元気になろうね。それでここからエシェット達のこと応援してよう」


「おうえん、はいでしゅ!!」


「良い返事だ。じゃあ早速魔力を止めようか」


 神様がパンってお手々を叩きました。そしたら神様のお隣りに、お母さんみたいに綺麗な女の人がしゅって現れて、僕ちょっとビックリです。


「初めましてユーキちゃん。私の名前はアシュリーよ。よろしくね」


「はじめまちて」


 僕はお兄ちゃん神様の方を向きます。そしたら神様何? ってお顔して僕を見ました。だって僕神様のお名前知らないよ。そう言ったら言ってなかったっけって。

 アシュリさんがバシってお兄ちゃん神様の頭を叩きました。


「名前も言っていないの? まったく何してるのよ! 私がユーキちゃんを治したら、厳しくアレの話をしますからね。ルーカスもいるしちょうどいいわ!」


 ぷんぷんしながら僕の方に歩いてくアシュリーさん。お兄ちゃん神様と、おでこしわしわのおじさんのお名前を教えてくれました。


 お兄ちゃん神様のお名前はルディー。それからおじさんはルーカスさんです。みんな神様なんだって。他にも神様たくさんいるけど、今ここに来れるのは3人の神様だけみたいです。

 僕が何でルーカスさんは、おでこしわしわで怒ってるのって聞いたら、アシュリーさんもルディーも、大きなお声で笑いました。


 ルーカスさん、怒ってるんじゃないんだって。あっ、でも今は怒ってるって。さっき僕が起きたときは、怒ってるお顔してたけど、心配のお顔で。僕よく分かんなくなっちゃいました。何で怒ってるのに、怒ってないの?

 考えてたら、アシュリーさんが後で教えてくれるって言いました。


 僕のことを抱っこするアシュリーさん。ルディーとルーカスさんは2人でお話始めました。お話? ルーカスさんがルディーさんのこと怒ってるみたいだけど。

 それを見ながらアシュリーさんが僕のおでこと自分のおでこくっ付けます。少ししてお胸が今までで1番ポカポカになって、僕心配になってアシュリーさんに聞きます。魔力止まらないって?


「大丈夫よ。止めるために、今いらない魔力を出してるところなの。すぐにポカポカはなくなるわ」


 僕静かに待ちます。そしたらね、だんだんとポカポカが消えてきました。いらない魔力がなくなって、大切な魔力さんがお休みしてくれたって。

 あれ? 僕気が付きませんでした。アシュリーさんの右のお手々。白い小さな光の玉が浮いてます。僕のポカポカが少なくなると、もっとキラキラ光るんだよ。それで全部のポカポカがなくなったら、光りの玉は、今度はバチバチ光りました。


「さぁ、これで魔力さんはお休みしてくれたわ。次はユーキの体を元気にしてあげるわね。でもその前に」


 アシュリーさんは僕からちょっと離れて立ちます。


「このいらない魔力をどうにかしましょう。こんな事態になったのは、半分以上あいつのせいだものね。うん、そうしましょう」


 最後の方はアシュリーさんがブツブツ言ったから、何て言ったか聞こえなかったけど、でも変なニヤッとしたお顔に変わったアシュリーさん。お手々を上げて、思いっきり白い光の玉を投げました。


 ビュウゥゥゥッ!!


 凄い勢いで玉が飛んでいって、ルディーのお顔にバシィィィッ!! それからルディーのお顔がボンっ!! 爆発しました。

 僕ビックリです。ルディーのお顔の周り煙がモクモク。それでそのままルディーが倒れました。すぐにルディーの所に行こうとしたけど、アシュリーさんが、大丈夫だからほっといて良いわよって、僕のこと止めます。

 ほんと? ほんとに大丈夫?


「ゲホゲホ、ゲホゲホ」


 倒れたルディーがお咳して、お顔をお手々でパタパタ。


「ちょっとアシュリー、いきなり酷くない?」


 そう言って、ムクって起き上がって、もっといっぱいお手々でパタパタ。その後お洋服でゴシゴシお顔を拭きます。


「最初のお仕置きにしては、軽い方じゃない?」


「軽いほうって、僕だって痛いものは痛いんだよ」

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