第399話みんなお元気、僕はちょっとおやすみなさい。

 パアァァァ!!


 急に僕のお胸の中が、とってもあったかくなりました。それだけじゃなくて、どんどんあったかいのがお体から出て行って、でもあったかいのは消えません。

 あっ、これ魔力流してるときとおんなじだ! 魔力さんが僕に魔力貸してくれたんだ!


 僕は妖精の王様を見ました。王様とってもビックリしたお顔してます。僕はニコニコ。だって魔力さんが魔力貸してくれたんだよ。

 よ~し!! 僕たくさん魔力あげるからね。妖精の王様、元気になって、マシロ達と一緒にアブラムのことやっつけて!

 僕は王様に魔力を流し始めました。


 僕が妖精の王様に魔力を流し始めてちょっとして、僕気づきました。僕と王様ね、キラキラのシャボン玉みたいな綺麗な中に入ってたんだ。マシロやエシェット達の結界に似てるけど、とってもキラキラです。


「おうしゃま、けっかいでしゅうか? きれいでしゅう。ぼくがんばるでしゅ!!」


「私では…いやそれよりも、ユーキ、私はもう大丈夫だから、もう私に魔力を流すのを止めなさい」


「ん?」


 王様のお体見たらボロボロもお怪我してたところも、もう全部治ってました。僕まだ全然魔力流してないよ? ちょっとだけ流しただけ。もっとたくさんあげられるよ?


「いや、もう大丈夫だ。ありがとう。これでまた戦える。だからユーキは…」


 ほんとにもういらないの? う~ん、あっ、じゃあまだまだ魔力あげられるから、ディルの所に行こう。それでディルに魔力あげて、ピュイちゃんのこと早くお元気にしてもらおう!


「えとおしゃま、ぼくディルのとこいくでしゅ。しょれでピュイちゃんおげんきにちてもらうでしゅ!」


 僕はディルの方に走り始めました。王様が僕のこと呼ぶお声がして振り向いたら、僕の所だけまだキラキラの結界がありました。妖精の王様がそのまま結界張っておいてくれたみたい。僕は妖精の王様にお手々を振って、ディル達の方に走ります。


「ディル!!」


「ユーキ、それなんだ!?」


「う?」


 僕がディルの所に行ったら、ディルが僕のこと不思議なお顔して見てきました。


「何でオレとピュイだけ、キラキラの中に居るんだ!? これユーキの…」


 良く見たらキラキラの中にディルとピュイちゃんと僕しかいません。お母さん達がお外から何か僕達に言ってるけど、聞こえませんでした。


「ディル! ぼくまりょくあげられるでしゅ! ピュイちゃんなおちて!」


「お、おお」


 妖精の王様みたいに、どんどんディルに魔力をあげます。ディルがピカァッ!! って光って、ピュイちゃんのことを緑色の光りが包みます。


 僕がたくさんディルに魔力あげてたら、ディルがさっきの妖精の王様みたいにすぐに、もう大丈夫って言いました。もう魔力いらないって。

ディルも? 僕いつもよりみんなに魔力あげてないと思うんだけど、みんなすぐにもう大丈夫って。


 でも僕のお胸の中魔力いっぱい。それにどんどん溢れてきます。う~んどうしようかな?そうだ! 今マシロとルトブルはどうしてるかな? アブラムと戦ってる?

 僕はキラキラの中からマシロ達を探します。


 僕達からちょっと離れたところ、ルトブルがアブラムと戦ってて、マシロは僕の方に慌てて走って来てました。うん! 僕すぐにマシロに魔力あげるよ。だからアブラムなんかやっつけちゃえ!


「主! 聞こえるか!」


「マシロこれは何なの? ユーキちゃんとディルの周りに」


「これは主が無意識に張っている結界だ。我らが張る結界とは比べ物にならない、まったく別のもの。主が認めた者しか、あの結界の中には入れない。前のように意識がなくなっている状態ではないが、主の意思で魔力の放出が止まらなくなってしまっているのだ!」


「そんな、ユーキちゃん大丈夫なの?」


「このままでは不味い。なんとか主を止めなければ!!」


 走って来たマシロがお母さんと何かお話してます。それ見てたら、ディルが僕のこと呼びました。

 ディルの前に寝てるピュイちゃんのお目々、さっきまでなんかとろって感じだったけど、キラキラになってて、それからお体が少しだけ動いたの。

 あと少しでピュイちゃん元気になるってディルが。良かったぁ。早くピュイちゃん元気になってね。


 よし、次は早くマシロに魔力をあげて、その後はルトブルだね。僕はマシロの方を見ました。見たらね、とっても不思議な事が起こったんだ。


 今まで僕の前にはディルとピュイちゃんが居たのに、いつの間にかディル達は、妖精の王様が張ってくれた結界からでてて、マシロが結界に入ってたの。僕はマシロに抱きつきます。


「マシロ! ぼくまりょくひとりであげられたでしゅ! まりょくさんおてつだいちてくれたでしゅ!」


「ああ、そうだな」


「ぼく、まだまだまりょくあげられるの。だからマシロにもルトブルにも、あげるでしゅよ」


「いや、主、我はまだまだ魔力がいっぱいだからいらないのだ。それからルトブルも。だから主は、魔力にありがとうをして、魔力を出すのをやめてくれ」


 え~!! 僕マシロに魔力あげたかったのに。ほら、まだまだ魔力あるから大丈夫だよ。マシロもルトブルも、ずっと戦ってるでしょう? たくさん魔力使ってるはずでしょう?

 

 僕がマシロにそう言ったら、今僕が妖精の王様とディルに魔力をあげたとき、魔力がマシロ達の方にも流れてたんだって。だからその魔力で元気になったから大丈夫なんだって。

 ほんと? ほんとに大丈夫? う~ん、僕とっても心配です。


「主、我らがアブラム達をたおすのに、また魔力を使う。倒したあと、また魔力を貰うかもしれないから、魔力は取っておいてくれないか」


 あっ、そっか。まだアブラムと戦うんだもんね。他にも悪い人達居るし。全員やっつけてお疲れになってたら、僕の魔力まだいるかも。うん、じゃあ、僕魔力流すの止めるよ。

 僕が止めるって言ったら、マシロがホッとしたお顔をしました。


 僕は魔力さんに、魔力さん、魔力ありがとございます。また後で魔力貸してくださいって、心の中で思いました。でも…。

 あれ? 魔力がまだ、どんどん僕の中から溢れてきます。どうしたのかな魔力さん。もう魔力大丈夫だよ。マシロも大丈夫だって。だから魔力出さなくて良いんだよ。


 魔力さんにそう言うけど、魔力が止まりません。僕何回も魔力さんに言います。マシロがホッとしたお顔から、また慌ててるお顔に変わって、どうしたって聞いてきました。


「マシロ、まりょくさん、ぼくのおはなち、きいてくれないの」


「やはりか…」


 マシロがぼそって何か言ったけど、良く聞こえません。


「マシロ、なんていっちゃの?」


「いや、我も一緒に魔力にお願いしてみると言ったのだ」


 マシロが僕のこと、しっぽで包みます。それから一緒に魔力さんにもう大丈夫だよ、魔力ありがとう、もう止まってってお願いしました。少しして、


「マシロ…なんかぁ、ふりゃふりゃしゅるでしゅう」


「主!?」


「ねみゅい、でしゅう…」


 僕お願いしてたら、何か眠くなってきちゃいました。


「主、ダメだ! 起きろ!」


 僕はマシロのもふもふのおしっぽの中にもそもそ潜って、お膝抱えて丸くなって寝る準備。マシロのお声がだんだん聞こえなくなります。


 僕、ちゃんとできたよね。妖精の王様にもディルにも、マシロとルトブルにも、ちゃんと魔力あげられたよね。うん、もう大丈夫なはず。僕ちょっとだけ寝るね。それで起きたらまたマシロ達のお手伝いするからね。

 

 起きたらマシロ達、きっとアブラム達やっつけちゃってるはず。ディルにまた魔力をあげてみんな元気にしてもらって、そしたらシマシマ妖精さん達とまた遊ぼう。

 あっ、それからリュカ先生とみんなでお酒攻撃の練習しないと。ふへへ、妖精の王様ビックリするかな。


 うん、楽しい事いっぱい。だから少しおやすみなさい。

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