第395話みんなは僕が守るもん!!
「おしゃまっ!!」
王様が1人で戦い始めて少しして、今まで偽物の玄関ホールの中でもやもやしてた黒いのが、一気に妖精の王様の方に集まって行って、王様が向こうの壁の方に飛ばされちゃいました。
さっきまで王様、とっても凄かったんだよ。もじゃもじゃさん達を、変な模様の上から吹き飛ばして、アブラムのことも吹き飛ばして。
でもね赤い結界は全然壊せなかったの。だからアブラムももじゃもじゃさん達もずっとお元気でした。
すぐに王様がまた攻撃しようとします。その時にもやもやが王様の方に集まって攻撃したんだ。それで壁に飛ばされて動けない王様の周りをもやもやが囲っちゃったの。
僕もみんなも王様のこと呼ぶけど、王様はとっても苦しそうなお顔して、何にもお話できないみたい。
石に僕の魔力残ってないかな? 石がガタガタするくらいたくさん上げたでしょう。さっきここに来たときみたいに、王様お体治せない? それかマシロとみんなと一緒に王様の所に行って、僕が魔力あげるとか。
僕ちょっとだけマシロのおしっぽからお顔を出しました。そしたらマシロに怒られちゃったよ。
「主! 顔を出すな!!」
「ふえ!? ごめんしゃい!」
マシロとっても怖いお声してます。僕ビクッてしてお顔をおしっぽの中に引っ込めました。
王様は僕にお手々を振って、ゆっくり立ち上がります。それでここに来たときみたいに光って。良かった。まだ石に魔力残ってたみたい。
「させると思うか?」
せっかく王様がお怪我とか、魔力とかもとに戻して元気になろうとしてるのに、アブラムが邪魔します。王様光ったまま、またアブラムと戦い始めました。黒いもやもやが、バアァァァッ! 王様から少し離れました。
『この回復が最後か? これで決着をつけなければ。ユーキを妖精達を守らねば』
王様凄いの。アブラム達と戦いながら、お元気になっちゃったんだよ。さっきよも強い攻撃をする王様。僕はマシロのおしっぽからあんまりお顔出さないように王様を応援します。
少し経った時でした。マシロがね
「やはり間に合わないか」
マシロはそう言いました。その瞬間、妖精の王様が壁に飛ばされて、ぜんぜん動かなくなっちゃって、黒いもやもやが王様のお顔以外、グルグルに包んじゃいます。
アブラム達が変な模様の上にもどったあと、僕達の方に歩いてきました。
マシロが僕達をしっぽで包んだまま、少しずつ後ろに動き初めて、僕達も一緒に後ろに下がって行きます。
「どこへ行くつもりだ。逃げ場はないぞ。あいつらが来るまでにそのガキは俺の物だ!」
さっきまで王様の方に居たアブラムが、いきなり僕達の前に現れました。マシロが急いでアブラムに攻撃します。そのせいで僕達はマシロから離れちゃって。お兄ちゃんが剣を持って、僕達の前に立ちました。
「俺だけ気にしていて良いのか?」
アブラムがそう言ったら今度は僕達の前に、もじゃもじゃさん達が現れました。お兄ちゃんがもじゃもじゃさんの攻撃で、2人で一緒に、後ろの方に行っちゃいます。僕達の前には雷さんが立ってて、僕達の方にお手々を伸ばしてきました。
「主!!」
マシロが急いで戻って来てくれて、雷さんを吹き飛ばしてくれたけど、すぐにアブラムが攻撃してきて、また僕達から離れちゃいました。雷さんが立ち上がって、また僕達の前に。それで僕達の方にお手々を伸ばしてきました。
「に、にげるでしゅ!!」
僕急いで走り始めました。王様もマシロもお兄ちゃんも、僕達守ってくれてるもん。僕捕まっちゃダメダメ。黒いもやもやが少ないところを、あっちにそっちに走ります。でもすぐに雷さんが追いついて来て。
どしゃあぁぁぁ!!
僕、何かにつまづいて転んじゃいました。転んじゃって、帽子からリュカ達が転がり出ちゃて、僕慌ててみんなの事を抱っこします。
足とお手々痛い。見たら血が出てました。でもみんなのこと守らなくちゃ。痛いけど頑張って立ち上がってまた逃げます。
僕たくさん逃げました。たくさん逃げたんだけど…。雷さん、僕に追いついて、僕どこにも逃げられなくなっちゃいました。僕はしゃがんでみんなのことギュっと抱きしめます。少し向こうでマシロが僕のこと呼んで、お兄ちゃんが僕のこと呼ぶお声も聞こえました。
「さぁ、我々と一緒に来るんだ」
僕お目々を瞑ります。
『ピュイちゃん、がんばるなのぉ!! 魔力いっぱい溜めたなのぉっ!!』
いきなりピュイちゃんが大きなお声出しました。僕がお目々開けたら、ピュイちゃんが僕の腕の中からお外に出ちゃいます。
「ピュイちゃん! だめでしゅ! もどっちぇ!!」
「ピュイ! 戻って!!」
「ピュイ、ダメ!」
『ピュイちゃん危ない!』
みんなでピュイちゃんのこと呼んだけど、ピュイちゃんは雷さんから離れないで、周りをぐるぐる飛んで、雷さんが僕の方にお手々を伸ばすのを邪魔します。
「チッ、煩い鳥だ。お前くらい消したところで良いだろう。アブラム様よろしいですね」
「ああ、そんな小さい鳥1匹どうでもいい。そのガキさえ手に入れられればな」
雷さんが、ピュイちゃんのことを、ガシッて掴んじゃったの。
「ピュイちゃん!!」
その時、ピュイちゃんの妖精の王様に貰った、お星さまの石が光り始めました。
『ピュイちゃん、とっても頑張ったもんなの!』
「な、何だ!?」
『ピュイちゃん、たくさん練習したもんなの!』
「様子がおかしい! 早く消せ!! お前も行くんだ!」
お兄ちゃんのことを飛ばして、もじゃもじゃさんも僕達の方に来ようとします。
その間にピュイちゃんのお星さまはどんどん強く光って、僕眩しくてお目々を細くしてピュイちゃんを見ました。
「くそ!! このチビがっ!!」
『ピュイちゃんがマシロや、みんな戦えるようにするんだもんなの! それでユーキのこと守ってもらうのなの!!』
お星さまだけじゃなくて、ピュイちゃんもピカッ!!って光ります。眩しくて偽物の玄関ホールが真っ白になりました。僕は明るすぎてピュイちゃん見れなくて、お目々瞑っちゃいます。
『ピュイちゃん負けないなのおぉ!!』
ピュイちゃんの大きなお声が聞こえて、お目々瞑ってても周りがとっても明るく感じました。雷さんの叫ぶお声が聞こえます。
「目が。目がぁぁぁ!!」
すぐに光りはなくなって来て、僕慌ててピュイちゃんの方を見ました。ピュイちゃんを掴んでた雷さんはしゃがんでお目々を押さえて、うううって唸ってます。その雷さんの前に、まだ少しだけ光ってるピュイちゃんが飛んでました。
ピュイちゃんが僕達の方を見ます。
『ピュイちゃん、できたなの』
そう言って、ニコッて笑って。光りがすぅって消えました。消えてすぐにピュイちゃんが地面に落ちます。
「ピュイちゃん!!」
僕は急いでピュイちゃんの所に行って、ピュイちゃんのことお手々に乗せました。ピュイちゃんぐったりしてて、はぁはぁ息して、ちょっとだけお目々開けて、僕のこと見ました。それで小さなお声で、
「ユーキ、だいじょぶなの…。けっかい、消せたなおぉ…」
そのままガクンってお目々閉じちゃいました。
「ピュイちゃん!! ピュイちゃん!!」
何回もピュイちゃんのお名前呼ぶけど、ぜんぜんピュイちゃん起きてくれません。
「くそがあぁぁぁっ!!」
ビクッてして、前を見たらアブラムが僕達の方に飛んで来てました。それからすぐに僕の目の前が暗くなって、もじゃもじゃさんが僕の前に剣を持って立ってたの。
僕はピュイちゃんとリュカ達を抱きしめて、その場にしゃがみます。それでお目々を瞑りました。もじゃもじゃさんが剣を上にあげたんだ。
大丈夫だよ。みんなのことは僕が守るんだから。剣なんて怖くないもん!! みんな守って、アブラム達やっつけて、パパやエシェット達の所に戻って、それでピュイちゃん、ディルにお元気にしてもらおうね!
「主!!」
「ユーキ!!」
マシロとお兄ちゃんのお声が聞こえました。
痛いかな? 痛くないと良いなぁ。
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