第389話壁の黒いもやもや
「来るぞ!!」
エシェットが叫びました。妖精の王様は僕達に早くお部屋に戻れって言って、パッて消えちゃって、僕はマシロに乗って急いでみんなでお部屋に戻ります。
「くろにゃんお前は我と一緒に来い。ジュードお前達もだ。ルトブルはユーキの側に残れ。良いかモリオン、絶対にユーキの側から離れるんじゃないぞ!」
「うん!!」
「エシェット、あなたがそれだけ言うってことは」
「奴らもとうとう本気を出して来たらしい。良いか絶対にこの部屋から出るんじゃないぞ」
エシェットがお母さんに近づいて小さなお声で何かお話します。でもすぐにお話は終わって、くろにゃんの影の上に立ちました。
「エシェット、みんながんばるでしゅう!!」
エシェットとくろにゃんがニコッて笑って、ジュード達はう~ん、良く分かんないお顔のまま影に消えて行きました。
エシェット達が行っちゃって少しして、お城のお外で大きな音がたくさん聞こえてきて、ルトブルがみんなが戦い始めた音って教えてくれました。今までで1番大きな音です。
僕はマシロの上に乗っかって、モリオンは僕の頭の上、ディル達もみんな同じところに集まって、エシェット達のこと応援します。
お母さんがいつでも避難できるように、みんなで一緒に居ましょうねって。
あとね、僕もう少ししたらもう1回、石に魔力あげに行くんだって。今黒服達が来ちゃったから、妖精の王様今までで1番たくさん魔力使ったの。僕さっき上げたばっかりだから、もう少しお休みしたらあげに行くんだよ。
バアァァァァァァンッ!! ドガアァァァァァァンッ!! 大きな音は、どんどん大きな音になって行きます。
お父さん大丈夫かな? お怪我してないかな? お父さん達もエシェット達もとっても強いけど、僕ちょっと心配です。
「そろそろか。ユーキ魔力を流しに行くぞ。妖精王が戻って来た」
ルトブルがそう言った瞬間、僕達の前に妖精の王様が現れました。僕ちょっとビクッてしちゃったよ。
「廊下にこの部屋と同じ結界を張った。今なら安全に動ける。ユーキすまない。また力を貸してくれ」
「はいでしゅ!!」
妖精の王様が僕にお願いしますして、僕達は急いで石の所に行きました。
さっきガタガタするまで石に魔力流したのに、今は白い光もちょっとしか光ってません。さっきみたいにルトブルにお手伝いしてもらって、また石がガタガタするまで魔力流すんだって。
すぐに石に魔力を流し始めます。妖精さんの国に来てから魔力を流すとき、コップに魔力を溜めなくて良いから、とっても楽ちんです。僕どんどん魔力流しちゃいます。こうバシャシャシャシャって感じ。お水の魔法使ってるときみたい。
ガタガタガタ。石が揺れたからこれで終わり。僕ちょっと疲れちゃって石の前に座っちゃいます。そしたらルトブルが僕に木の実渡してきました。それからディルに僕に元気になる魔法使えって。
「あっ、その木の実キミル知ってる。僕でも出せるか分かんない木の実! どうしてルトブルがもってるの?」
「我もエシェットから渡されたのだ。ユーキその木の実を食べろ。それは魔力が良く回復する、とても珍しい木の実らしい。元気になれるという事だ」
「うん」
木の実は青色と黄色で、とっても小さくて、僕でもひと口で食べられちゃう木の実です。
パクッ! もぐもぐ、もぐもぐ、ごっくん。うん、バナナ味の木の実でした。とっても美味しかったです。
「ユーキありがとう、これでまた皆を守り戦える」
妖精の王様に頑張れって応援して、王様が戦いに消えちゃいます。僕達もまたすぐにお部屋に戻って、さっきみたいにみんなで集まって応援です。大きな音はぜんぜん小さくなってないし、たくさん鳴ってます。時々お城がカタカタ揺れるんだよ。
僕達が応援してるお隣でお母さんとお兄ちゃん達がお話してました。
「母さん、さっきエシェットと何話してたの?」
「珍しくエシェット、真剣な顔してたな」
「ユーキちゃん達をいつ逃がすか話してたのよ」
「それなんだけど、ユーキ今魔力流したわけだし、もう家に戻っても良いんじゃない?」
「俺もそう思うぞ」
「…そうできれば良いのだけど」
ドガアァァァァァァンッ!!
「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!」
「主しっかり掴まれ、お前達もだ!」
今までで1番大きな爆発の音がしました。お城もガタガタ1番揺れてます。みんなでマシロやルトブルにしがみ付いて、お城が揺れなくなるのを待ちます。
やっと揺れなくなって、僕はちょっとだけホッて。
その後すぐにお父さんがお部屋に帰ってきました。僕がお父さんに駆け寄ろうとしたら、お父さんもお母さんも来るなって。それでルトブルに大丈夫かって何か聞いてます。ルトブルがちょっとして頷いて、お父さんがディルを呼びました。
「すまんが治してくれ」
「すぐ治すぞ!」
お父さん達の方からディルのお怪我治してるときの、緑の光りが見えました。お父さんお怪我したの? お父さんの所に行きたいけど、来て良いって言ってくれるまで我慢です。
すぐにディルの緑の光は消えました。お母さんがもう来ても良いって。僕は走ってお父さんの所に。それで抱きつきます。
「とうしゃ! だいじょぶ!?」
「ああ、大丈夫だぞ。すぐに治してもらったからな」
ぎゅうって抱きつく僕。そんな僕の頭をなでなでしてくれるお父さん。もう行かなくちゃって。僕はもぞもぞしながらお父さんから離れました。
「あなた外は」
「今の所エシェット達のおかげで互角といったところだ」
「そう」
「さぁ、私はもう行く。アンソニー、ジョシュア、ユーキ達のことを…」
「部屋から出るなっ!!」
ルトブルが大きなお声で叫びました。僕の所にディル達が急いで集まります。あれ? 僕周りをキョロキョロ。大きな音がぜんぜんしません。
「何だこれは!?」
「何が起きている?」
マシロが唸りながら周りをキョロキョロして、ルトブルもとっても怖いお顔してます。
その時影が広がってエシェット達が帰ってきました。
「モリオン! ユーキを連れて家に帰れ!!」
「わ、分かった!」
モリオンがいつもの黒い丸出します。でも変なの。黒い丸出すんだけどすぐに消えちゃうんだよ。何回もモリオンが黒い丸出します。
モリオンを見てくろにゃんも影を広げました。そしたらくろにゃんの影もすぐに縮んじゃいます。
「何で、何でできないの。この前はできたのに!?」
モリオンが僕の頭の上でじたばたして、ピュイちゃんが、ピュイちゃんの力使ったらできるかもって、モリオンと一緒にう~んって。でもすぐにやっぱり黒い丸消えちゃいます。
「くそっ、何だこの力は!? ルトブルできる限りこの部屋に結界を張れ。マシロはユーキの周りに!」
「主、絶対に我から離れるな。お前達もだぞ!」
マシロにギュってくっ付く僕達。僕のお隣りにお兄ちゃん達が立ってくれます。それから後ろはお母さんで、前はお父さん。エシェット達がその周りに立ちました。
その時またお外で大きな音が聞こえて、でもその後はまた音が止まって。お城の中がしぃ~んてなります。
あれ? 前の方の壁の所、何か黒いのがもやもやしてる。モリオンの闇の魔法みたい。
「マシロ、あしょこ、くろいもやもやでしゅ」
「!! エシェット、前方だ!!」
マシロがそう言ったら、みんなが戦う格好しました。悪い人達がお部屋まで来ちゃったみたいです。でもエシェットやルトブル、妖精の王様が結界張ってくれたから丈夫だよね?
僕は大丈夫って思ってるけど、でももやもやはぜんぜん止まらないで、どんどん広がって、それからどんどん濃くなっていきます。それで壁が全部黒くなっちゃったの。とっても嫌な感じです。
もやもや、もやもや。ブウゥゥゥゥゥウン!!
今度は真ん中のもやもやが集まり始めました。
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