第388話ピュイちゃんと大切なお約束

「なぜ勝手に行動した!!」


「も、申し訳ございません」


「ようやくこちらが落ち着いたと思ったら、お前たちのせいでこれからの計画に支障が出たらどうするつもりだ」


俺は冒険者を魔法で吹き飛ばす。そんな俺にオード老人が近づいてきた


「アブラム様、あちらに石が渡ったとなれば」


「分かっている。どちらにしろ、そろそろ仕掛ける時期だった」


「体調に問題はございませんか?」


「ああ、今までで1番良いし、石も馴染んでいる」


「それは結構」


 そう、やっと来たのだ。奴に復讐するときが、あのガキに復讐するときが。この時を俺がどれだけ待っていたことか。あのガキ共を私が支配するときが。もしダメでも殺してしまえばいいだけの事。力は惜しいが俺が勝ったとなれば、それだけの力を俺が手に入れたという事。それほどの力、この世界中を探してどれだけ俺に勝てる奴が居るか。


 そしてこの計画が上手く行けば、またあの方々が戻って来るはずだ。そうなれば俺達のあの方の望む世界がすぐそこまで来るという事。きっとあの方も私の力を見て、すぐに動き出してくださるはずだ。


「皆を集めろ!!」


「ハッ!!」


 部下に皆を集めるように言い、オード老人に石の調子を確認してもらう。その様子を見つめるオード老人の孫のビジター。彼は今回の計画には参加させないことになっている。オード老人が俺の仕事を見せたいと、これからのために後ろの方に下がって、見学させたいと連れてきたのだ。


 本来なら我々の仲間になったのだから、今回の計画にも参加させたかったが、オード老人には魔力石のことでかなり世話になっているため、今回はオード老人のいう事を聞き、参加させないことにした。


「アブラム様のおっしゃった通り、やはり今が1番良い状態ですな。これならば問題ないでしょう」


「そうか。ではお前達は計画通りに、もし石に何かあればすぐに対処できるよう、あの場所へ下がっていろ」


「畏まりました。くれぐれも無理なされませんよう」


 オード老人達が下がって行く。それと交代に部下たちが集まって来た。

 待っていろ、すぐにお前達の所へ。そしてすべてを手にし、あの方の元へ!!


「ねぇじぃ、どのくらいもつかな?」


「どうじゃろうな。どちらにしろあの者達は、ビジターお主が上に立てるよう、そしてあの方にお前の存在をしっかりと見てもらうための実験体。この計画が済めばもう用済みじゃが、もし生き残れたのならば、次の実験に使おう」


「そうだね。楽しみだなぁ」


      *********


「…ごじゃいましゅ、すぅ」


「ユーキ起きて、もうご飯の準備出来てるよ」


「早くしないと俺が食べちゃうぞ」


 一生懸命お目々擦るけど、勝手にお目々が閉じちゃいます。いっぱい寝たのに眠いの。

お母さんがふらふらの僕にお洋服着せてくれて、そのまま木のお椅子の所に連れて行ってくれて座らせてくれました。それで僕が寝ちゃって後ろに倒れないように、マシロが後ろから支えてくれます。


 もそもそ朝のご飯を食べてたら、ピュイちゃんが僕のお隣りでご飯食べながらお話してきました。


『ユーキ、ピュイちゃん、ユーキにお願いがあるなの』


「もぎゅ…もぎゅ、おねがい…」


『うんと、お約束なの』


「うん…」


「ピュイ、主はまだ半分以上寝ている状態だ。ご飯を食べ終わって妖精達が遊びに来る頃には、少しはしっかりするはずだ。それからお願いした方が良い」


『分かったなの。ピュイちゃん後でお願いなの』


 ん? 今何かお話してた? 


 もそもそやっと朝のご飯食べ終わって、もう1回お顔洗って、ふう、やっとお目々が覚めました。ちょっとまだ眠いけど。

 エシェットがいつの間にか帰ってきてて、僕が眠いのはこの前たくさん魔力をあげたからだって。それでたくさん寝たから今魔力がもとに戻ったんだって。まだちょっと眠いのは寝すぎたからだって。


 それでね、僕の魔力がもとに戻って、この前エシェットが悪い人を捕まえるのに、妖精の王様がたくさん魔力を使ったから、これからまた石に魔力をあげに行くぞって言われました。


 まだ妖精さん達遊びに来てないから、早く魔力あげて戻ってくれば大丈夫だよね。もし来ちゃったら待っててねって、アメリアにお願いして石の所に行きます。アメリアはお部屋に残って、みんなのご飯作ってるの。オリバーさん達がお休みに戻って来てて、もうすぐおきるんだって。


 マシロ達やディル達とお部屋からでて、石の所に行きます。その途中でピュイちゃんがお話してきました。


『ユーキ朝の続きなの。お願いがあるなの』


 ん? 朝の続き? 何だっけ? 僕ピュイちゃんと何かお話してた? 僕が考えてたらマシロがピュイちゃんに、もう1回初めからお話しろって言いました。


『だから言ったであろう。主は半分以上寝ていると。初めから話した方が良い』


『分かったなの! あのねユーキ…』


 ピュイちゃん僕にお願いがあるんだって。それでお約束してほしいんだって。


 ピュイちゃん毎日、あの変な結界消す練習してるでしょう。それでね、もう少しで結界消せるかもしれなくて。今日も練習頑張って、明日も練習頑張るから、もし結界を消せたら、僕にたくさんなでなでしてほしいって言いました。それをお約束してほしいんだって。


 え~、お約束しなくても、僕たくさんなでなでしてあげるよ。いつでもどこでもいっぱい。ねぇ、みんな、って言ったら、マシロがそれも良いけど、お約束の方が良いって言いました。


「主のいつものなでなでもピュイや我、他の皆大好きだが、ピュイの約束のなでなでは、いつものなでなでと違うのだ。ピュイだけのためのなでなでなのだ。分かるか?」


 なでなではなでなででしょう? 


「ピュイは結界を頑張って消したピュイだけのために…。いや、こう言った方が分かるか…」


 デザートにケーキ食べるでしょ。とっても美味しいケーキ。それにはいつもイチゴが1つ乗ってます。

 でも僕がお手伝い頑張った時とか、お母さんがケーキのイチゴを3つにしてくれるの。頑張った子にご褒美。いつもの美味しいケーキが、スペシャルなケーキに変わります。


 それとおんなじなんだって。いつも僕のなでなでは、みんな気持ちよくて好きって言ってくれます。

それでピュイちゃんは今、変な結界を消すの頑張ってます。とっても頑張ってるから、結界が消えたらケーキとおんなじで、スペシャルななでなでしてほしいんだって。


『ぎゅって抱きしめて、たくさんなでなでで、ずっとなでなでが良いなの。すぐに終わっちゃうなでなでじゃないなの』


「そういえばユーキ、ボク達が頑張った時、たくさんなでなでして抱きしめてくれるよね」


「うん、たくさんなでなでしてくれる」


『うん、それがスペシャルなでなで』


 僕のなでなで違うみたいです。僕気づかなかったよ。


そっかぁ、ピュイちゃんスペシャルなでなでが良いんだね。うん! 僕ぎゅって抱きしめて、いっぱい、い~っぱいなでなでしてあげるよ。


『ユーキ、お約束なの』


「うん! やくしょく!」


 お約束のしるし。ピュイちゃんのこと抱きしめます。

 お約束の後、ピュイちゃんニコニコで、ずっと僕の周りを飛んでました。


 石のお部屋に着いて、すぐに魔力を流します。ルトブルがお手伝いしてくれて、今日も石がガタガタするまで魔力を流しました。

僕、たくさん魔力を流したから、明日の朝もネムネムってエシェットに聞いたら、今日は僕の魔力がいっぱいで、半分も流してないから、明日起きる時は今日みたいに眠くならないって。


「昨日はユーキの魔力が半分よりも少なくなっていたからな。それでも皆よりは魔力があるが」


 僕が魔力を流して、妖精の王様が今日もとってもお元気になって、お部屋に戻るとき、お父さん達はこれからお仕事だから、途中でバイバイしました。

 それからお部屋に戻ったら、オリバーさん達がご飯食べ終わってて、また自分のお部屋に戻っちゃってて、妖精さん達はまだ来てませんよってアメリアが。


 だから妖精さん達が来るまで、ピュイちゃんが朝の練習するって言いました。僕達はピュイちゃんの応援です。

 みんなでエシェットからちょっと離れて並んで、ピュイちゃんが石を持ってるエシェットのお手々の周りを飛んで練習の準備します。それでピュイちゃんが練習始めようとしたときでした。

 マシロやエシェット、ルトブルやジュードが、ガバッ!! ってお顔を上げました。

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