第387話ピュイちゃんの練習、みんなにお星さま

 次の日も、その次の日も、黒服さん達や悪い人達妖精さんの国に来ませんでした。


「おそらくだが、人間がこの石を使うと、かなりの反動があって、すぐには攻撃しに来れないのだろう」


 ってエシェットが言ってたよ。あのね、エシェットがあの分かれちゃう魔力石を使ったら、たくさん魔力を使ったんだって。エシェットはとっても強くて、たくさん魔力を持ってるでしょう。

 だからエシェットは平気なんだけど、お父さん達が使ったら、疲れちゃったり倒れちゃったり、具合が悪くなっちゃうんだって。


「これは我だから使える石だな。ルトブルも平気だろう。が、人間は使わない方がいい石だ」


 だからお父さん達石に近づきませんでした。エシェットがずっと調べてます。


 エシェットが調べてるとき、僕達は近くでみんなでピュイちゃんを応援してました。

 エシェットが魔力石に魔力を流すと、ピュイちゃんが消せない結界ができるから、ピュイちゃんはそれを消す練習したの。


『ふぬぬぬぬなのぉ~』


「ふにゅにゅにゅにゅにゅ~」


「ふぬぅ~」


「ユーキの応援は相変わらずだね、あれじゃあ逆に力が入らないと思うんだけど」


「本人たちが気にしてないから良いんじゃないか」


 お兄ちゃん達はいつも僕達と一緒にいてくれます。お父さん達もお母さん達も、みんなとっても忙しいから。でも僕達が応援してるといつも笑うんだよ。僕達一生懸命応援してるのに。


『ふぬぬぬぬ~…なのぅ』


 あっ、ピュイちゃんが下にフラフラって落ちちゃった。大変!! みんなでピュイちゃんの所に行って、すぐにディルにピュイちゃん元気にしてもらいます。僕あんまり頑張らないでってピュイちゃんに言いました。ピュイちゃん練習してると、何回もフラフラ落ちちゃったんだ。頑張り過ぎで疲れちゃうの。


 でもピュイちゃん、絶対に結界消すって、ずっと練習してるんだよ。だからお母さんが練習は1回に3回までってお約束しました。朝3回、お昼に3回、夜に3回。お約束守らないとピュイちゃんの大好きなお菓子あげないって。それからピュイちゃんだけお家に帰しちゃうって言いました。

 ピュイちゃんそれはダメって。お約束守って3回だけ練習してます。うん、ピュイちゃんが具合が悪くなるのはダメダメだもんね。

 

 でも、今まで3回練習だとフラフラしないで元気だったのに、何で今はフラフラしちゃったのかな。僕達数えるの間違えちゃった?


「ピュイちゃん、だいじょぶ? ふらふらなおっちゃ?」


『大丈夫なの。最後の練習だったから、がんばったなのぉ』


「だめでしゅよ、ふらふらはだめでしゅ」


 僕はピュイちゃんのこと怒ります。みんなフラフラ具合悪くなるのはダメダメ。


『ごめんなさいなの』


 ピュイちゃんが僕のお肩に飛んできて、お顔すりすりしてきました。

 今日の練習は終わりです。これから僕達の遊ぶ時間。夜だから妖精さん達は帰っちゃったけど、少しだけ遊んでからおやすみなさいします。

 

 みんなでシマシマ妖精さんに直してもらったおもちゃで遊んでたら、お父さんとお母さん、ハロルド達が帰ってきました。オリバーさん達と交代で、お父さん達がお休みの時間です。これからご飯食べるって、サルバドールさんとシャーナも僕達のお泊りにお部屋に来て、みんなで一緒にご飯を食べます。


 お父さん達がご飯食べ終わったとき、妖精の王様がお部屋に来ました。


「ユーキ。約束したものを持って来たよ。お星さまの石だ」


「ありがとでしゅう!!」


 僕は妖精の王様の所に行って、王様にぎゅうぅぅぅって抱きつきました。


「今から配るよ。ここに居ない者達は、後でお父さんに届けてもらいなさい」


「はいでしゅ!!」


「妖精王様申し訳ありません。お疲れのところユーキが我がままを」


 お父さんが妖精の王様にお辞儀します。


「家族思い、仲間思いの、とても心の優しい子だ。私の妖精達と一緒で、自慢の子だろう? 人数分用意した。これは私からの今できるせめてものお礼だ。私の、私達の妖精の国のために力を貸してもらっているのだ」


 妖精の王様がお父さんに袋を渡しました。僕はお父さんからその袋を貰って中を見てみます。綺麗なお星さまの石がたくさん入ってました。


「とうしゃん、かあしゃん、にいしゃんもならんで!」


 お父さん達には僕が渡すんだもん。お父さんがサルバドールさんからって言いました。


「いや、先ずは家族から。せっかくユーキがお願いして用意してもらったんだ。まずは其方がそれを貰わなければいけない」


 サルバドールさんがそう言って、お父さんがお辞儀して僕の前に立ちました。僕はお父さんのお首にお星さまのネックレスかけてあげます。うんうん。うん? う~ん。

 僕はお首をこてんってします。それから袋の中をゴソゴソ。それで別のお星さまの石を出しました。


 お父さんから最初僕が掛けたネックレスを取ってもらって、僕が新しく出したネックレスをかけてあげます。うんうん。こっちの方が良い。


「ハハッ、凄い満足な顔してるな」


「え? アレ何か違う? 僕同じに見えるんだけど」


「良いじゃない、本人は満足してるのよ。ユーキちゃんには何か違いがあるんでしょう」


 お父さんお母さん、お兄ちゃん達が終わって、次はハロルド。ハロルドは…これで良いや。他の色のお星さまの色は、他の人達の色だもん。ハロルドは残りのやつ。うん、これこれ。


「おい、心の声が漏れてるぞ」


「う?」


 みんなにお星さま配って、みんなお揃い。えへへへへ、嬉しいなぁ。妖精の王様ありがとう。


 残りのお星さまはお父さんが後でみんなの所に持って行ってくれます。妖精の王様にもう1回ありがとうして、妖精の王様もおやすみなさいだからって、自分のお部屋に帰りました。僕達もおやすみのお時間です。


 サルバドールさん達におやすみなさいして、みんなお泊りのお部屋に戻って、僕は歯磨きしてベッドに入ります。今日もジョシュアお兄ちゃんの方はディル達が集まってるからぎゅうぎゅうです。


「なぁユーキ、俺ネックレスはとっても嬉しんだけど、このぎゅうぎゅうもなんとかならないか? みんなに少しユーキ達の方に行ってもらうとか」


「オレ達こっちで良いぞ」


「うん、ボクもこっちで良い」


『僕もこっちで良いよ』


「何でだよ!!」


 みんなそっちが良いって。僕の所も、シルフィーとピュイちゃんとぷにちゃんがいるからいっぱいだよ。


「ふふ、ユーキ、それはいっぱいって言わないよ」


 何か今日はとっても楽しいなぁ。このまま黒服さんも悪い人達も来ないで、みんなニコニコが良いのになぁ。それで妖精さん達にお酒攻撃教えてあげるの。ね、それが良いよ。


 僕がいろいろ考えてたら、ピュイちゃんがもごもご何か言ってたけど、何て言ってるか分かんなかったんだ。でも僕と同じで何か考えてるみたい。明日起きたら聞いてみよう。

 そんな事思ってたらいつの間か僕寝ちゃってました。


      *********


 もっと頑張らなくちゃなの。でも…ほんとはもっと練習したいけど、頑張りすぎるとユーキのお母さんが、ピュイちゃんだけお家に帰しちゃうて言ったなの。だから我慢だけど、もっと頑張らないとなの。


 あの変な結界とっても強いけど、みんなのために、ユーキのために、ピュイちゃん頑張って消すなの。もう少し練習したら消えると思うなの。


 だからユーキ、ピュイちゃんが結界消したら、たくさんなでなでしてなの。そしたらピュイちゃんとってもとってもニコニコなの。ユーキのなでなで大好きなの。とっても幸せなの。

 ね、ユーキ、明日お約束しようなの。

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