第381話いろんな色の分かれる石

 エシェットが行っちゃってちょっとして、バタバタってお父さん達がお部屋に入って来ました。サルバドールさん達もみんなもお城に戻ってきたみたいです。それからお外に居た妖精さんや魔獣も自分のお家に帰ったってお兄ちゃんが。


「あいつは何をするつもりなんだ。捕まえてくれるのはありがたいが、絶対に結界には近づくなと言っていたぞ。それから早く城に戻れと」


 お母さんがさっき僕が魔力あげた事お話します。僕達も一緒にお話。


「いちが、とってもピカピカで、ガタガタ!」


「なぁ、エシェットいっぱいって、全然止めなかったもんな」


「妖精王にもたくさん結界張らしてたし」


「どんな攻撃して捕まえるのかな?」


「…後で話し合いだな」


 お父さんが木のお椅子に座って、アシェルがみんなのお茶を用意します。僕はお父さんのお膝に座って、そしたら…。


 どっがあぁぁぁぁぁぁっ!!!


 今までお部屋の中にいると小さい音しか聞こえなかったのに、いつものエシェットの攻撃の時の音と、同じくらいの音がしました。

 それからガタガタガタ!! お部屋がものすごく揺れ始めてアシェルがご用意したコップが倒れたり、木のテーブルから落ちちゃったり。


「きゃあぁぁぁぁぁぁ!!」


 僕はお父さんにしがみ付きました。お父さんが僕をぎゅってしてくれて、ディル達も僕にくっ付いたり、マシロのお毛々に隠れたり。

 何回も音がしてガタガタが止まらなくて、僕はお目々を瞑って我慢します。


 音もガタガタが止まるのもとっても長かったよ。止まってからお目々をそっと開けたら、お部屋の中がぐちゃぐちゃになってました。ぼくのおもちゃの箱も倒れちゃって中のおもちゃが出ちゃってるし、お洋服をしまってある箱も倒れちゃってて、お母さん達のお洋服が飛び出してました。

 テーブルから落ちちゃったコップとお皿が何個か割れちゃってて、アメリアが急いでお片付けします。


「ユーキ様、片付けが終わるまで、その場から動かないでください」


「とうしゃん、いまのなにかなぁ? わるいちとのこうげき?」


「今のは…」


「今のはエシェットの攻撃だぞ」


 マシロが僕の方に歩いて来て、僕のお顔すりすりしてくれます。


『エシェットの攻撃? 凄い攻撃なんだね』


『エシェットはとっても強いなのぉ!』


『ぷゆゆゆゆん!!』


「僕見てみたかったって」 


 さっきの凄い音とガタガタ、エシェットの攻撃だったんだって。僕達がいつも見てる攻撃は凄い攻撃で、お城とか守って戦ってくれてるときの攻撃は、とっても凄い攻撃。ルトブルと戦ってた時のがそれよりも強い攻撃。今のはお城守ってた時や、ルトブルと戦ってた時の真ん中位だって。…ん? どのくらい?


 何かねマシロやルトブルが調べてくれたら、ここからちょっとだけ離れた所にエシェット達いるみたい。離れた所…。

 僕くろにゃんが魔法使えるようになったのって聞きました。だってくろにゃんお家に帰れないって言ってたでしょう。離れた所って言ったから、魔法が使えるようになったのかなって思ったんだ。


 そしたらお家には帰れないんだって。くろにゃん達が行った所は、まだ妖精の王様が守ってる所だから、そこくらいまでは行けるけどお家には帰れないんだって。そっかぁ?


「ちゃんと話が分かっているか? まぁいい。ウイリアムこの様子だと上手く行ったようだぞ」


「本当か!?」


 アシェルとアメリアのお片付けが終わってすぐ、マシロがエシェット達が帰って来たって言いました。マシロがそう言った途端、くろにゃんがお部屋に現れて、お父さんにお城の前に来いって。僕も来てって言いました。


「ユーキもか。危ないだろう」


「大丈夫だ。奴はもう魔法は使えんし、ユーキを奴に会わせる事はしない。ただ石の確認をしてもらいたいと。さぁ」


 くろにゃんが影を広げました。マシロもルトブルも大丈夫ってお父さんに。お父さんはブツブツ言いながら僕を抱っこして影の上に立ちます。すぐにお城の前まで行きました。


 お城の前にはエシェットが居てジュード達がいません。聞いたらジュード達は妖精の王様に悪い人を入れておくお部屋を用意してもらって、もうそのお部屋に行っちゃったんだって。


「我らもユーキに石を見てもらったら行くぞ」


「何でユーキなんだ」


「おそらく我よりもユーキの方が石を見る能力が高い。我らは1度見ているからな。オリビアの親の屋敷で」


 うん、僕ばぁばのお手伝いしました。悪い石と大丈夫な石分けたもんね。悪い石は真っ黒。

 エシェットが僕の前に来て石を見せてくれます。石にはエシェットが結界を張ってありました。


 石は僕のお手々だとちょっと大きくて、でもお父さん達のお手々だとちょうど位の大きさです。それからとってもつるつるしてて、時々石を見てる僕やお父さんエシェットのお顔が石に映るの。


「どうだユーキ。ユーキにはこの石がどんな色の石に見える?」


「へんないちでしゅ。バラバラ」


「バラバラ?」


 あのね、変な色に光るんだよ。綺麗な色じゃなくてダメな石の色なんだけど、黒色に光ったり、紫に光ったり、赤色、とっても濃い青色、それから黒色と赤色が混ざったみたいな色。後はオレンジ色でしょう、茶色に緑に。うん、たくさん!


 僕がそう言ったらお父さんが本当かって。お父さんやお母さんは濃い青色に見えるんだって。ハロルド達も。他の色は見えないんだって。

 エシェットはね、黒色と濃い青色と赤色です。マシロはオレンジと赤色と黒で、ディル達も違う色。僕が1番いろんな色に見えるんだ。


「やはりユーキが1番分かるな」


「エシェット、お前はこの石を見たことがあるか?」


「いや、我も始めてだ。マシロ、ルトブル、お前達はどうだ?」


エシェット達がお話してるとき、僕はもう1回石を見ました。いろんな色に見える変な石だけど、何か他にもなんか変なの。何か分かんないけど変なんだ。


 今は濃い青色に光ってて、次は赤色、その次が濃い赤色で、どんどん変わる石の色。ん? 僕はもっと近づいて石を見ます。濃い赤色から黒色に変わるとき、2個の色が一瞬だけわかれた?

 黒色に変わった石。次は濃い茶色に変わり始めて…。

 あっ!! ほら今ちょっとだけ石が2個に見えた!! 次の色に変わるまでじぃっと石を見ます。僕が一生懸命石を見てたらディル達が気付いて僕の方に飛んできました。


「ユーキどうしたんだ?」


「えと、いちが2つになるでしゅ」


「え? だって1個だよ」


「うんと、いろがかわるとき、2ちゅになるでしゅ」


『本当?』


 みんなも一緒に石を見ます。

茶色から緑に変わり始めて、ほら!! 今石が2個に分かれたよ。あっ、次は3個に分かれた!

 みんなにほらって言ったけど、みんな分かんないみたいです。何でみんな分かんないの? ちゃんと見て。色が変わるときだよ。


 僕が見てみてって騒いでたら、お父さん達がお話してるから、騒いでないでもうお部屋に戻りなさいって言ってきました。僕はお父さん達に石のことお話します。お話したらお父さん達ビックリしたお顔して、お父さん達ももう1回石を見ました。


 お父さん達が見てる時も、色が変わるとき2個になったり3個になったり、とっても忙しいです。


「ダメだ、私には1個にしか見えない」


 サルバドールさんは1個にしか見えないって。


「俺もだ。兄貴は?」


「私も1個だ」


「ふむ、言われてみれば何か違和感はあるが、石が増えるようには見えんな」


 誰も石が分かれて見えないって。


「ほんと! ほんとにわかれるでしゅ!!」


 ほんとに分かれてるもん。僕たくさん石見えるもん!


「分かっている。ユーキは嘘などつかん。それにユーキ、良く気づいたな。偉いぞ」


 エシェットが僕の頭なでなでしてくれました。それから僕が石が分かれるって気づいたから、これからお父さん達とお話するときちょっとだけ楽ちんになったって。


「ユーキありがとう」


 ありがとうって言ってくれました。えへへへへ。


 みんなでお城の中に入って、お父さん達はこれからお話し合いです。それで僕達もお部屋に戻って石のお話し合いしたんだ。

 あの変な石がどんな悪い石か分かったら、悪い人達や黒服さんのこと捕まえてお仕置きできるかな?

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