第379話ピュイちゃんたくさんなでなで。元気になって!

「ぐっ、ゴホゴホっ!!」


「ガハッ!!」


 皆がその場に座り込む中、オード老人が孫のビジターを連れてこちらにやってくる。


「やはり反動が凄いですな。私の用意した薬を飲んで、また少し休むことです」


「分かっている。お前の方の成果はどうだ」


「私の方もまだと言ったところですが、それでも情報は集まってきております。さぁ、戻りますぞ」


「ああ」


 俺はなんとか立ち上がると、私達が今寝床にしている場所へとつながる闇の道を作る。その中に次々と歩いて行く手下達。オード老人が私に先に行けと言うので、先に道へと歩き始めた。


「オードじい、何であんな奴の言う事を、いつまで続けるつもりなんだ。俺ならもう」


「もう少し待つんじゃ。お前はワシにとって大切な孫。もし実験が失敗してしまえば2度と今の生活に戻れなくなる。その役目をあの者達にやらせておるのじゃ。だからもう少し待て」


「…じいがそう言うなら。でも俺はいつでも戦えるからね」


「それもちゃんと分かっておる」


      *********


 音が聞こえなくなって少しして、お父さん達が帰ってきました。でもハロルド達は帰って来なくて、今はお父さんとオリバーさん達、それからサルバドールさん達がお休みする時間なんだって。お父さん達のお休みが終わったら、今度はハロルド達とアンドレアスさん達がお休みするの。


 エシェットがお部屋に入って来て、でもピュイちゃんがいません。僕慌ててエシェットの所に行きます。ピュイちゃんハロルド達の所に残ってるって思ったの。ピュイちゃん小さいから、ちゃんとお休みしないとダメだよ!


「エシェット、ピュイちゃんどこでしゅか? おやしゅみしゅるでしゅ!」


「ピュイなら我の洋服の中だ。ユーキ、ピュイのことをたくさんなでなでしてやってくれ」


 お洋服の中? なでなでいっぱい? 僕たくさんなでなでしてあげるよ。

 僕はエシェットのお洋服を見ます。あっ、そういえばお胸のところ膨らんでる。そこにピュイちゃんいるの?


 僕はピュイちゃんを呼びました。ちょっとだけお胸の所が動いたけど、そのまま止まっちゃって、僕はもう1回ピュイちゃんを呼びます。

 またちょっとだけ動いてとまっちゃって、どうしたのピュイちゃん。どこか痛いの? お怪我しちゃった? すぐにディルに治してもらうから出てきて。


 エシェットがピュイちゃんにお話します。それから僕達にも。ピュイちゃんね、一生懸命僕達のために、黒服さん達をエシェット達に倒してもらおうと思って、頑張って力を使ったんだって。

 黒服さん達は変な結界をお体に張ってて、それがなくならないとエシェット達攻撃できません。だからとってもピュイちゃん頑張ったの。


 ピュイちゃん悪い人達の結界消してくれるでしょう? でも今ここに居る黒服さん達の結界消せなかったんだって。何回も何回も頑張って消そうとして、でもやっぱりダメで。だからエシェット達黒服さん達倒せませんでした。


「帰って来る最中、ずっと泣いていたのだ。結界を消せなくてごめんなさいと。ピュイのせいではないと言ったのだが。大体小さいピュイの力を借りなければ戦えない我らがいけないのだ」


 エシェットが僕達に聞いてきます。結界を消せなかったピュイが悪いかって、怒るかって。


 僕怒ったりしないよ。僕ピュイちゃんみたいに凄い魔法使えないもん。僕は魔力あげたり時々大きい水の魔法使うだけ。ピュイちゃんは危ないところに行って、頑張って戦ってくれるんだもん。


「僕なんて周りを明るくするくらいだよ。後は闇をなくしたり。ディルなんか怪我を直す以外ポンコツだよ」


「何だよリュカ、ポンコツって。でもそうだぞ、ピュイはオレに出来ない魔法使えて凄いぞ。だからそのピュイができないんだから、気にしなくて良いんだぞ」


「そうそう、それからエシェットの言った通り、1番強いエシェットが倒せないのが問題なんだから」


 みんながそうだそうだって。それを聞いてたお洋服の中にいたピュイちゃんが、もぞもぞ動き始めました。それでピュッ!! お洋服からお顔が見えたと思ったら、凄い勢いでピュイちゃんが僕の方に飛んできて。


『ごめんなさいなのぉ!!』


 ピュイちゃんお涙ぽろぽろです。僕はピュイちゃんのことギュウゥゥゥって抱きしめて、それからみんなが順番にピュイちゃんの頭をなでなでしてくれます。その後にエシェットの方に飛んで行って、何で1番強いのに倒せないのって怒ります。


 それでエシェットとみんなのケンカが始まっちゃって、お母さんに静かにしなさいって怒られてました。

 僕はピュイちゃん抱きしめたまま、マシロベッドの方に。サルバドールさんとシャーナが2人がお泊りするお部屋に行って、オリバーさん達もお泊りのお部屋に行きます。


 お父さんがアメリアはサルバドールさんのお部屋にご飯を持って行って、お父さんがアシェルにご飯食べるぞって、お母さんにご用意してもらって食べます。

 ご飯食べ終わった後は、アシェルはお隣のお部屋に戻っておやすみなさい、お父さんもベッドにごろん。僕もそのお隣にピュイちゃん抱っこしたままごろんします。


「ユーキちゃん、お父さんをゆっくりさせてあげて。ユーキちゃんはマシロベッドに戻りましょう?」


 僕お父さんの近くが良いなぁ。だってずっと離れてたから。少しだけで良いからお父さんの近くにいたい。そう思いながらだらだら起きたら、お父さんが僕の方見て、一緒に寝てても良いって。


「ユーキの元気な顔見ながら寝た方が、疲れが取れるからな」


 お父さんが寝たまま僕のこと抱きしめてくれます。僕とお父さんの間に入ったピュイちゃんが、少ししたら寝ちゃいました。それでも僕ずっとなでなで。

 それからお父さんが寝て、ぼくもいつの間にか一緒に寝ちゃってました。


 起きたらお父さんはお仕事。ハロルド達はさっき帰って来て、ここでご飯食べて、お泊りのお部屋に寝に行ったって、マシロが教えてくれました。僕ぜんぜん気づかなかったよ。


 僕が起きて少ししてピュイちゃんが起きました。僕はまたピュイちゃんのこと抱っこしてなでなでします。それからお母さんがおやつ出してくれて。おやつ食べたらピュイちゃんちょっとだけ元気になったよ。みんなのクッキー貰ったら、もっと元気になるって、ディル達のおやつ取ってました。


 ピュイちゃんのおやつのお皿にはお菓子のお山が。ピュイちゃん全部食べちゃったんだよ。それでお腹出してごろごろして、お腹がパンパンになってました。


『美味しかったなのぉ、ピュイちゃん元気になったなのぉ。ピュイちゃん食べ過ぎで飛べないなのぉ』


「飛べないって、まぁ、あれだけオレ達のおやつ食べればな」


『僕の1番大きなクッキー持って行っちゃったもんね』


 ゴロゴロのピュイちゃんは、そのままゴロゴロ転がって、マシロベッドの所まで移動して、そのまままた寝ちゃいました。

 マシロが疲れてるんだろうって。寝かせておけって。僕達はピュイちゃんが起きないように静かに遊びます。


 少ししてお兄ちゃん達がお部屋から出て行きました。お父さん達のお手伝いだって。お兄ちゃん達が行っちゃったから、僕夜のご飯の準備のお手伝い、とっても頑張ったんだよ。1回お椀落としちゃって、ガラガラガッシャンって大きな音がして、慌ててピュイちゃんの方を見ます。良かったピュイちゃん起きませんでした。

 ピュイちゃん、起きたらもっと元気になってると良いな。


      *********


 ピュイちゃん、次はもっと頑張るの! 絶対に結界なくすなの! だって大好きなユーキに悪い事するかもしれない人達は、エシェット達にお仕置きやっつけてもらわなくちゃなの!

 ユーキ怒らないで、ピュイちゃんのこといっぱいなでなでしてくれたなの。ピュイちゃんまたなでなでしてもらいたいから頑張るの! そうだ頑張ったらまたみんなのお菓子もまた貰うなの。


大好きなユーキ、待っててねなの!!

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