第378話エシェット達の戦い、ピュイちゃんの力
ウイリアム達の所に着き話をしようとした時、結界の中にアンドレアスとハロルドが入って来た。そしてアンドレアスが我の方に歩いてくると、我に攻撃してくれないかと言ってきた。それもかなりの力で。
「お前の力でも倒せないようならば、他の方法を考えなければ」
相変わらず奴らに全然攻撃が当たらないらしい。
「全力で吹き飛ばすか」
我がそう言えば、すぐに訂正を入れるアンドレアス。最強の結界が張ってあるとはいえ、もしもの事がないとも言えない。そこそこの力にしてくれと。
そんなことは分かっている。ユーキ達が中に居るのに、全力を出すわけなかろう。冗談が通じない男だ。
我はウイリアムの近く、サルバドールの隣に立っているシャーナに声をかける。前の城での時のように、今回も2人の力を合わせようと思ったのだ。我が奴らを消す勢いで魔法を放ち、すぐその後、シャーナが間髪入れずに魔法を放つ。
シャーナは最初嫌な顔をしたが、サルバドールに言われ、しぶしぶ我の話に乗って来た。
「アンドレアス、すぐに外に出るぞ。我らが出たら、他の者も急いで結界の中に連れて行け」
アンドレアスが道を作り、我々はそこを通って奴らの近くに。我らが出た道からハロルド達を中へ通していく。
「我が光りの魔法を打ち上げた場合は、この場所にすぐに迎えに来い。くろにゃんを連れてくるのを忘れたからな」
「分かった」
アンドレアスが道を閉じるのを確認すると、次は我の番だ。
「ピュイ、危ないからお前にも結界を張るぞ。そして我の洋服にしっかり隠れているのだ。お前の力があれば、奴らの使っている変な結界も関係なく、攻撃できるはずだ」
『ピュイちゃんわかったなの!』
ピュイがいればどんな妨害魔法も関係なくなる。奴らがどんな魔法を使っていようが関係ない。
前に、ピュイが生まれて、ユーキが家に戻ってきてから少しして、ある事を試してみた。とても大切なことで、それを試したことによって、他にもピュイにはできる事がある事が分かった。
それはピュイが必要だと思った結界や防御魔法は、消さずに残せるというものだ。
敵の防御、妨害魔法を消せるのは当たり前だが、その時自分達にとって大切な結界、魔法まで消してしまっては意味がない。
最初何でもかんでも消していたピュイだったが、これをこうして、アレをアレしてと、1人でブツブツ言っている間に、突然それができるようになったのだ。
その後も何回か訓練をして、今では完璧に自分の力を操っている。さすが頭の良いグリフォンの変異種といったところか。
頭の上に座っていたピュイに結界を張ってやり、すぐに我の洋服の中に隠れるピュイ。少し進めば奴らの姿が見えてきた。やはり我も見た事のない結界が、奴らの体を包んでいる。それもかなり強力な。あれではアンドレス達が苦労するのも分かる。
「シャーナ。この前のように行くぞ。だが行けると思った場合はそのまま攻撃を続けるが、奴らが変な魔法を使い、不味いと感じた場合すぐに戻る」
「…今の感覚だとどうなの? 私は近づいたら嫌な感じがしてきたわ。さっきまではそうでもなかったけど」
「だから言ったであろう。不味いと感じた場合すぐに戻ると」
「あなたでもそうなのね? じゃあかなり不味いわね」
気づかれずに奴らの近くまで近づき、そのまま攻撃をしたかったが、やはりその途中で奴らに気づかれてしまった。普段なら気づかれないのだが、これも奴らの変な力なのか。それともあの黒服の力が強くなったのか。
我とシャーナは上へと飛び上がった。
「やはり出てきたな、ハハハ、ハハハハハハハッ!! これであの子供がここに居るのは確実だ!!」
俺は全体的に、だがあの黒服のアブラムを集中して攻撃をする。服の中にいるピュイが、『やっちゃえなのぉ!!』と叫んでいるのが聞こえた。応援は大丈夫だから、奴らの厄介な結界を消すことに集中しないか。今頃応援はユーキ達がしてくれている。
我の攻撃の後に、すぐにシャーナも攻撃を始めた。どっが~ん!! どっが~んっ!! これは…シャーナも少し会わなかったうちに力が強くなったようだ。それに使い方も上手くなっている。
私とシャーナの攻撃で煙が上がり、辺り一面何も見えなくなった。
「ピュイ、奴らの結界を消せた感じはしたか?」
『…』
「ピュイ?」
洋服の中でもぞもぞするピュイ。黙っているという事はダメだったか?
「ピュイ、我は怒ったりしないぞ。もちろんシャーナもだ。ユーキだって、ウイリアムだって誰も怒ったりしない。だから教えてくれ」
『…ごめんなさいなおぉ。結界は張られてるの分かったけど、消せなかったなのぉ』
小さな小さな声で答えてくるピュイ。我は洋服の上からピュイを撫でてやる。その時。
「シャーナ避けろ!!」
私は左に、シャーナは右にずれると、その間を闇の光線が突き抜けて行った。煙が落ち着いて来て見えたもの。それは何にも被害を受けていない奴らの姿だった。
「シャーナ、もう1度だけ攻撃する! それでだめならすぐに逃げるぞ!!」
そう言い、さっきよりも強い魔法を放つ。その間に今度は奴らも攻撃を仕掛けてきた。闇魔法に火魔法、いろいろな魔法を使って攻撃してきたのだが、その中に分からない魔法が1つ。赤い光線が我らを襲う。おそらくあの変な赤い石から作られる魔法だろう。
あの石を調べられれば…。あの石を身に着けている誰か1人でも捕らえるか、殺して戻れれば良いのだが。奴らが何の抵抗もなくなった、石を渡してくれるのが1番楽なのだがな。まぁそれはありえんし。
いろいろ考えながら攻撃を続ける。そういえばアブラムはモリオンに闇の攻撃を封じられたはずだが、もう復活したのか?そう簡単には復活しない筈なのだが。前程の力ではないが復活している。
最近我の今まで経験したことがない事ばかり起きるな。ユーキがこの世界に来たからなのか。それとも起きているからユーキが送られて来たの
か。
まぁ、我のやる事は変わらないがな。全力でユーキを守る、それだけだ。
シャーナの攻撃が終わり、奴らの攻撃も止まる。やはりダメか…。我は空に向かって2発光魔法を放ったアンドレアスへの合図だ。
「シャーナ行くぞ!! 戻って次の事を考える!」
「…分かったわ」
シャーナも今のうちに、サルバドールの害となる奴らを倒したかったのだろう。前回の城での事もある。悔しそうな表情をしていた。が、我の後ろに付いて戻る。
洋服の中でピュイが何度も『ごめんなのぉ』と謝っている。お前のせいではないというのに。倒せなかった我らがいけないのだ。戻ったらユーキにたくさんなでなでしてもらおう。
奴らも我々を追ってきたが、さすがに我々にはついてこれず、途中で追いかけることを止め、妖精の国から離れて行く。
先程来た場所に着いたと同時に、アンドレアスの道が現れ、我々はその中に急いで飛び込んだ。もし我々が気付かずに、後をつけられていたら大変だからな。
道から出ると、ウイリアム達が待っていた。
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