第347話お誕生日の魔法と雪だるまの準備

 ふわぁって全部の火が綺麗に消えます。


「マシロ、エシェット、きえちゃ!!」


「ああ、主、全部消えたぞ。良かったな」


「全部消えて良かったが、これをどうにかしないとな」


 エシェットのあげてるお手々の上、風がびゅうびゅうクルクル回ってます。これ、使わなかった僕の風の魔法だって。これからお空にそれを投げて、お家を壊さないようにしてくれるって言いました。


「が、空に投げたとしても、かなりの風がここにも吹くだろうからな。マシロ、ルトブル、結界を張れ。我は屋根の上からこれを放ってくる」


 エシェットがジャンプしてすぐ、マシロとルトブルがお家の周り全部に結界を張りました。エシェットはそれを見てから、またジャンプしてお空に風の魔法飛ばします。


 ビュウゥゥゥゥゥッ!!


 凄い音がして、結界張ってない所の木がグラグラ揺れて、あっ、あの木折れちゃった。後でキミルに直してもらわなきゃ。

 なかなか風が止まりません。あ~あ、あっちの木も折れちゃった。魔力ちょっと、ちょっとだけ入れ過ぎちゃっただけだよ?


「やっぱり、そう簡単に、魔法は上手くならないな」


「あなた、ユーキちゃんは2歳…違ったわ、まだ3歳なのよ。魔法使ってること自体おかしいのだから」


「これからも練習にはマシロ達の結界が必要か」


 お父さん達が僕の後ろでお話してます。でも僕はじぃじ達に僕の魔法見てもらえて嬉しいです。ん? じぃじ達? あっ!! お母さんのじぃじとばぁば!!


 僕はディアンジェロじぃじとケイラばぁばの方に走ります。この前、じぃじ達に魔法見せるの忘れて帰って来ちゃったから、今度遊びに行く時まで、見せられないと思ってたけど、今、僕の魔法ちゃんと見てくれたかな?


「じぃじ、ばぁば! ぼくのまほうみちゃ!?」


 2人に所に行ったら2人ともニコニコで、じぃじが僕のこと抱っこしてくれます。


「おお、ちゃんと見たぞ。凄いなユーキ。もう魔法が使えるのか。しかもこんなに凄い魔法だなんて。とっても驚いたぞ」


「そうね、凄いわね。ばぁばもびっくりしちゃったわ」


「えと、ぼく、おみじゅのまほうがいちばんじょうじゅなの」


 僕はお水の魔法のことお話します。お水の魔法はそのままバシャってなったり、雨みたいになったり、川みたいになったり。いろいろなお水の魔法のこと。

 僕が1番好きなのは川の魔法。でもあれはやっちゃダメって言われたから、雨の魔法ならお家で練習してるから、じぃじ達に見せても大丈夫だよね?


 僕のお話聞いてたじぃじが、お父さんの方見ます。お父さんピシッてまっすぐ立って、何か困ったお顔してるの。お母さんが僕達の方にきて、僕の頭なでなでします。


「全部消えて良かったわね。でも、雨の魔法はパーティーが終わってからにしましょう? じぃじ達は今日お泊まりして明日もユーキちゃんと遊んでくれるわ」


 ふぉ!? お泊り? じぃじ達のお顔見たら、うんってじぃじが頷きました。僕のお誕生日のパーティー、今日は夜までずっとパーティーだから、みんなお泊りなんだって。お家に帰っちゃうのは、オリバーさん達と、王様じぃじです。

 オリバーさん達は夜は街を守るお仕事があるから帰らないとダメ。王様じぃじは…よく分かんないけど帰らないとダメなんだって。


 お泊まりのお話してるとき、王様じぃじとサルバドールさんが喧嘩してました。王様じぃじは帰りたくないって言って、でもサルバドールさんはダメだって。それからこれ以上帰りたくないってって言ったら、誰かにその事言うって。

 そしたら王様じぃじがしゅってして、静かになっちゃいました。


「大丈夫ですよ父上、私が父上の分も楽しんで帰りますから」


「………あ奴ももう少し遅く帰ってくれば」


「どちらにしろ、国王がいないなんて、もし知られたら大変な事になりますよ。今だって特別なのですから」


 お話してたらやっと風が止まりました。結界を消して、周りをよく見たら、いろいろボロボロです。ケーキを食べる前にキミルに木とかお花、それから草とか直して貰います。

 

 キミルが小さなお声で、少し少し、ちょっとちょっと、ってブツブツ言ってて、僕がどうしたのって聞いたら、この前の森の時みたいに、やり過ぎないように気をつけてるんだって。


 キミルがポワッじゃなくて、ピカって光りました。


「おお~!!」


 僕達みんなで拍手です。いつもはババババって木とかお花が生えるでしょう? 今日は一回でズバッて全部が生えました。でもこの前みたいにたくさん生えてません。ちょうど良いくらい?


「なんか力弱くしたら、今度は1回で全部生えちゃった」


 キミルがニコニコして戻って来たから、ありがとうしてケーキのところに行こうとしました。そしたらお父さん達が変なお顔してます。早くケーキ食べよ。僕のお誕生日のケーキ。


 お父さん達はなんかこそこそお話してるから、アメリアが僕の分のいちごが1番たくさんのところをお皿に乗っけてくれて、ディル達とお母さんとばぁばの分もお皿に乗ってけくれます。


「かあしゃん、とうしゃんたち、なんでこそこそおはなし?」


「良いのよ放って置いて。キミルちゃんと喧嘩しないのも珍しいし、気にしなくていいからお母さん達とケーキ食べましょう」


 僕達がケーキ食べて、おかわりのケーキとってもらってる時、やっとお父さん達がこそこそお話終わって、ケーキを食べに来ました。早く食べないと残ってるケーキ、全部くろにゃんにしまってもらっちゃうよ。


 ケーキ食べながらお父さんに聞いてみました。いつまでお誕生日のパーティーかなって。もしかしたらケーキ食べたら終わり? 僕もう少しパーティーが良いです。だって初めてのお誕生日だもん。


「パーティーは夜のご飯が終わって、みんなでゆっくりしたら終わりだぞ。夜までここでたくさん遊んで、食べて、それからプレゼント見て、ユーキがやりたい事たくさんやって良いんだ」


 ふわぁ!? 夜のゆっくりまで!? お誕生日のパーティー凄い! 僕ケーキ食べながら足バタバタします。

 ご飯とかケーキとか、お外に出しっぱなしだと、パサパサになったり硬くなったり、まずくなっちゃいます。でもそうならないように、街のお店で特別な布を売ってるんだって。


 お店の人が、シュプちゃん達みたいなスライムさんにお手伝いしてもらって、布にスライムさんにネバネバのお水をつけてもらいます。そのあと、その布でカバーを作って、そのカバーをご飯とかに被せると、パサパサとか硬くならないんだって。


 みんながケーキ食べて今はお腹がいっぱい。アシェルがスライムさんのカバーをご飯やケーキに被せます。これで大丈夫。夜もまたご飯が食べられます。

 ジョシュアお兄ちゃんとハロルド達は、カバーを少し開けて、そこからまだご飯とって食べてました。


 ケーキ食べ終わったから、さっきの煙の石の続きです。お母さんが少しみんなから離れて遊びなさいって。お母さん達は今お茶飲んでゆっくりしてるから、煙のもくもくダメダメです。


 僕達は花壇のそばに行って、煙の石をみんなで1つずつ並べました。みんなで一緒に石踏んだり叩いたりしようって。ふへへへへ、僕は1番大きい石です。


「みんないいでしゅか?」


 せーの! 僕は石を思い切り踏みました。ディル達も叩いて煙を出します。僕の石は…もくもくもく!! 

 僕ビックリです。煙は僕もマシロもディル達もどんどん包んで行っちゃいます。それでディル達が見えなくなって、僕のお体には煙がたくさんくっついてて、お顔だけ出てるの。


 ちょっとして、ディル達がみんな煙の中から出てきました。みんなお体に煙くっつい、お顔にも煙がくっついてて、みんな雪だるまさんみたいです。

 そうだ! 僕もお顔に煙つけて、雪だるまさんごっこしよう! 


 お顔にどんどん煙をつけていきます。ほっぺにつけて、お鼻につけて、おでこにつけて、ちゃんと全部つけないとね。

 ディル達に見てもらって、どこが少ないとかついてないとか教えてもらいます。お体ももう少し付けたほうが良いよって、みんながつけてくれました。


 僕が終わったらディル達を確認。1人ずつ見ていきます。どんどん見て行って最後はシュプちゃんとスライムさん。

 シュプちゃん達はお体につけた後に、煙のボール作って頭の上に乗せました。ほんとの雪だるまさんみたい。


 そうだ! しまってもらってた雪だるまさんも出してもらって、みんなで並ぼう!


「モリオン、ゆきだるましゃんだちて。みんなでならぶの」


「いいよぉ」


「ならば、もう少し周りを涼しくしてやろう。雪が溶けないようにな」


 エシェットが魔法で僕達の周りを涼しくしてくれます。うん! これで準備は完璧です。

 モリオンが雪だるまさん出して並べてくれました。僕達も横に並んで、お父さん達を呼びました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る