第344話カッコいいお洋服にお着替え

「マシロ、ディル、リュカ、みんなどこでしゅかぁ!!」


 昨日もその前の日も、僕ディル達について行って良いか聞いたらダメって言われて、絶対今日はついて行こうと思って、朝のご飯食べてるときお椅子の下に、うさぎさんのカバン置いておきました。


 でも食べ終わって、急いでおトイレに行って、帰ってきたらもうディル達いませんでした。それにマシロもエシェットもみんな居なくなってて、僕ビックリして、今探してるところです。


「ユーキちゃん、こっちに来て」


 探してたらお母さんに呼ばれて、お母さんの方に走ります。お母さんマシロ達がどこにいるか知ってるかな?


「かあしゃん、マシロいないの。ディルたちも。どこいるかちってましゅか?」


 みんなもうお出かけしちゃった? マシロはお父さんのお仕事のお手伝い? 僕この頃1人なの。ちょっと寂しいです。


「ユーキちゃん、今日はみんなお家にいるわ。ちょっと今お父さんのお手伝いしてるだけよ。すぐに今日はみんなと遊べるから、みんながお手伝いしてる間、ユーキちゃんはお母さんにちょっとついてきて」


 ほんと? みんな居る? お母さんがすぐに遊べるって言ったからほんとうだよね。じゃあ僕お母さんのお手伝いするよ。


 お母さんが僕を連れて行ったのは、お泊まりしてるお部屋でした。何するのかな?

 お母さんはこの前買った、お洋服がたくさん入ってる箱をガサゴソ。それであのカッコいいお洋服出しました。それからハチさんも。


 最初にハチさんのお洋服着て、お尻の部分がちゃんと僕にあってるか確認。この前お母さんカッコいいお洋服ばっかり見てたから、もう1度確認したんだって。

 確認が終わったら、ハチさんのお洋服は終わり、次のお洋服です。


 次はあのカッコいいお洋服。これはこの前お母さんちゃんと見たのに、どうして着るのかな?


「今日はお父さんにお洋服見せるのよ。じぃじとばぁばにも。まだ見せてなかったでしょう。みんなが見たいって言ってるの」


 あっ、そっか。いつもは新しいお洋服買ったら、すぐに見せるもんね。でもこのお洋服はお母さんがすぐに箱にしまっちゃいました。


「ハチさんのお洋服は後で、ディルちゃん達と一緒に着ましょう。あとはこれをこうして…」


 ボタンが多いからちょっと大変。でも前に王様じぃじの所で着た、あのダメダメなお洋服みたいに動けないお洋服じゃないから大丈夫。

 

 全部お洋服着て、最後にお母さんが可愛いうさぎさんのバッチ、お胸に付けてくれました。鏡の前に行って、ちゃんと着れたか確認です。うん、お父さんみたい。カッコ良いね。僕は腰にお手々つけてカッコいいポーズです。


 カッコいいポーズしてたら、お母さんが僕の頭をなでなでしてきました。お母さんのお顔見たら、お目々がちょっとだけうるうるお目々してて、僕ビックリです。

 お母さんどっか痛いの? 苦しいの? 慌ててお母さんのお体調べたり、お顔確認したり。うろうろしてたら、お母さんが違うって言いました。


「ちょっとお目々にゴミが入っちゃったの。心配しなくても大丈夫よ。さぁ、あのうさぎさんのハンカチ持ってきてくれる?」


 ほんとに? ほんとに大丈夫? 僕ちょっと心配しながら、お母さんが持ってきてって言ったハンカチをクローゼットに取りに行きます。


「あれから1年なのね。いろいろあったけど、今元気でいてくれて良かったわ」


「かあしゃん、なにかいいまちたか? いまハンカチもっていくでしゅ」


「何も言ってないわ。あなたの好きなうさぎさんのハンカチよ!」


「はいでしゅ!」


 お母さん何か言った気がしたけど、僕の間違いだったみたい。すぐにハンカチ見つかって、お母さんの所に持って行きます。

 お母さんはそれを折り紙みたいに折って、うさぎさんバッチと反対のお胸のポケットにハンカチをいれました。これで完璧なんだって。


 お洋服が終わったから、次は新しいお靴履きます。お靴は昨日お母さんと買いに行きました。青色でちょっと小さい長靴みたいなお靴。ブーツっていうんだって。飾りも付いてて、あと紐がいっぱいです。紐がいっぱいで、僕難しくて履けないから、お母さんが履かせてくれます。

 

 お椅子に座って、お母さんが紐を結んでくれて、新しいお洋服と新しいお靴。僕嬉しくて、お母さんが履かせてくれてる足じゃない方の足、ブラブラ、ブンブンしちゃいます。


「ユーキちゃん動いたら、お母さん靴履かせられないわ。すぐ終わるからじっとしてて」


 お母さんに怒られちゃった。ピシッ。嬉しいけど我慢がまん。


「よいしょ、これで良いかしら? ユーキちゃんちょっと歩いてみて」


 僕はお部屋の中行ったり来たり、ちょっとはしってみたり、ジャンプしてみたり。ううふふ、嬉しいなぁ。

 僕ニコニコ、鏡の前に戻って、鏡の前でクルクル回ります。回ってたらジュードとセオドリオが入ってきました。


 ジュード達にカッコいいって聞いたら、ああって。それだけぇ? お父さんもじぃじたちも、いつもみんなとってもカッコいいとか可愛いとか、たくさん言ってくれるんだよ? 


 お母さんがもっと言葉にしなさいってジュードの事怒ります。言葉にする事もジュード達のお勉強なんだって。ジュード達はどこに行ってもお勉強ばっかり。いつ遊んでるのかな? 

 

 今度僕と遊ぶ? 僕もジュード達の先生だけど、お勉強ばっかりだとお勉強嫌いになっちゃって、だからジョシュアお兄ちゃんはお勉強嫌いになっちゃったって言ってました。

 それからお兄ちゃんは、剣が上手になりたいから、お勉強は少しでも、剣の練習いっぱいが良いんだって。


 でも、お城に冒険に行く前の時、お母さんがお兄ちゃんのこと怒ってました。あのねぇ、お部屋のお外までお母さんのお声が聞こえたの。お勉強しないで、内緒で森に剣の練習に行っちゃったから、お母さんに怒られたんだよ。たくさん怒られて、少しの間剣を使っちゃダメって言われちゃったんだ。


 そっとお兄ちゃんのお部屋の中見たら、お兄ちゃんとってもしょんぼりしてました。だから僕、僕のお菓子お兄ちゃんにあげて頭なでなでしてあげたの。なでなでは元気になるから。

 そしたらすぐにお兄ちゃん元気になったんだけど、元気になってお部屋の中でずっと運動したから、またお母さんに怒られちゃったんだ。お兄ちゃん可愛そうだよね。お勉強って大変。


「あなたはもう少し、いろいろな感情を表した方が良いわね。今度そのお勉強しましょう。それでウイリアムは何て?」


「ああ、お昼少し前には大丈夫だそうだ。もう少し時間をくれと」


「分かったわ。ユーキちゃん、お父さんのお仕事もう少しだけかかるみたい。お昼ちょっと前って言ってるから、後ちょっとだけ、ここでお母さんが絵本読んであげるわ」


 お母さんが絵本読んでくれるって。やったぁ! ベッドでゴロゴロしながら絵本読んでもらうの僕好きなの。

 僕がベッドに登ろうとしたら、お母さんに止められました。せっかくのお洋服、お父さん達に見せる前にぐちゃぐちゃはダメって。う~んちょっと残念。でもそのかわりお母さんがお膝抱っこしてくれたから良いや。僕はお父さんとお母さんのお膝抱っこ大好きだもん。


「…ちゃん」


「すう、すう」


「ユーキちゃん」


「うゆぅ~」


「お父さんお仕事終わったって、ジュードが迎えに来てくれたわよ。起きて」


 僕絵本読んでもらってたら、いつの間にか寝ちゃいました。寝てる間に、お父さん達のお仕事終わったって。

 お母さんの抱っこから下りて、お母さんがもう1度お洋服の確認します。ちょっとだけお尻の所がシワシワだけど大丈夫だよね。


「さぁ、じゃあお父さん達の所に行きましょう」


 お母さんとお手々繋いで廊下を歩きます。でもお母さんじぃじ達のお仕事のお部屋に行かないでお外に出ちゃいました。お父さん達お仕事してたんでしょう? お外じゃないよ。


「今日はお父さん達、お庭でお仕事してたから、そのままお庭でご飯食べるのよ」


 お庭でお仕事? お花植えたりしてたのかな? それなら僕もできたのに、何で呼んでくれなかったの?

 

 どんどん歩いて、門がある方のお庭じゃなくて、お家の後ろにあるお庭の方に歩いて行きます。

 そしてお家の端っこ曲がって、お花のトンネル潜った時でした。


 パンっ! パンっ! パンっ!


 大きな音が何回も鳴りました。何の音!?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る