第342話虫さんを捕まえよう!

「きょうもおでかけ?」


「ごめんなユーキ、妖精の集まりなんだ」


「そうそう、それからもシルフィーも一緒に行かないといけないんだ」


「キミルもモリオンと一緒に用事があるの。ねっ!」


「うん、そうなんだ」


『僕達もちょっとお出かけ』


『すぐに帰ってくるなのぉ』


『うん、すぐだよ』


『ぷゆゆゆん!』


 みんながお部屋から出て行っちゃいます。


 僕がお洋服買ってもらった次の日から、みんなご用事があるって、どこかに出かけちゃうの。僕も行くって言ったら、人間はダメなんだって。マシロ達はいてくれるけど、みんないなくなっちゃって、僕ちょっとしょんぼりです。みんなでハチさんのお洋服着て、お庭で虫さん捕まえようと思ったのに。


 マシロ達とお庭に行って、虫さん探します。ちゃんと虫さんとる網とカゴ、お父さんが買ってくれました。

 どんな虫さんがいるかなぁ。まずはお池の所に行ってみよう!


 じぃじのお家には、大きなお池と小さなお池が1つずつあります。僕のお家にはお池は1つなの。でもじぃじのお家には川がないんだよ。

 大きなお池には赤い大きなお魚さんが泳いでて、小さいお池には、めだかさんみたいに小さなお魚さんが泳いでました。


 最初に行ったのは大きいお池の方。わたぼこが先っぽについてる草が、周りでゆらゆら揺れてます。その草の上をちょっと遠くからじぃっと見て。あっ、トンボさん発見。


「主、静かにだぞ。静かに近づくんだ」


「うん!!」


「ユーキ、マシロが静かにと言っただろう」


 エシェットがそう言います。あっ、そうか。僕大きなお声でお返事しちゃったよ。


 網を上げてそっとそおっと…パシャッ!! 網を下ろします。急いで網に近づいて中を確認。


「マシロ、ちゅかまえちゃ!」


 ちゃんと網の中にトンボさんが入ってました。でも網の中から上手にトンボさん取れなくて、そしたらマシロがいい事してくれるって。

 風の魔法で風の丸を作ってその中にトンボさんを入れて、そのままカゴの中にトンボさんを入れます。入れたら風の魔法を消して。

 

 初めての虫さんはトンボさんでした。赤色と黄色の羽のトンボさんです。

 もっといないか周りを見て、お池の反対側にもトンボさん発見! 今度は青色のトンボさんで、すぐに捕まえに行きます。

 パシャっ!! 網を下ろして中を見て、今度は捕まえるの失敗いちゃいました。残念。よし次!!


 どんどん探して、大きいお池の所にはトンボさんも、他の虫さんもいなくなっちゃったから、小さいお池の方に移動です。


 小さいお池の方には、周りに小さなお花がたくさん咲いてるの。

 また静かに虫さん探して、今度はバッタさんと蝶々さんを発見! 最初は近くにいる蝶々さんから捕まえます。

 

 ひらひら飛んでるの捕まえないといけないから、蝶々さんは捕まえるの大変。ルトブルが一緒に網を持ってくれて、何回もパシャっ、パシャって網を下ろします。5回やって、やっと蝶々さん捕まえました。

 緑色のキラキラ光ってる綺麗な蝶々さん。トンボさんみたいにマシロが風の魔法使ってカゴに入れてくれます。ふふふ、2匹目。


 急いでジュードの所に戻ります。ジュード達にバッタさん見ててもらったの。

 バッタさんは動かないで、おんなじ所に止まってました。そっと近づいてパシャ!!

 ぴょんっ! バッタさんが前に飛びます。僕もジャンプして近づいて、またパシャっ!! 


 ぴょん、パシャっ! ぴょん、パシャっ! どんどん前に進んじゃいます。バッタさんは蝶々さんより捕まえるの大変でした。

 

「にげちゃうねぇ」


「よし主、我が前を塞いでやろう。エシェット、ジュード、お前達は横を塞げ」


 みんながバッタさんの周りに立ってくれて、僕はルトブルと網を持ちます。


「ユーキいくぞ」


「うん! しぇーの!!」


 パシャっ!! やっとバッタさん捕まえられました。ふぅ、大変だった。

 カゴの中にバッタさんを入れて、カゴの中を覗きます。トンボさんと蝶々さんとバッタさん。ふふふ、虫さんいっぱい。


 それからも虫さん探したけど、今日はもう虫さん見つけられませんでした。カゴと網を持ってお家の中に入ります。

 お家に入ってすぐディル達が帰ってきて、捕まえた虫さん見せてあげます。みんなはトンボさんが好きだって。

 あのねじぃじにトンボさん見せたら、普通のトンボさんよりちょっとだけ珍しいトンボさんだって教えてくれました。


 今日捕まえた虫さんの中で1番大きいトンボさん。普通のトンボさん2つくらい大きいの。それからお羽の先っぽがシャキンって尖ってて、カッコいいトンボさんです。

 でももっと大きなトンボさんがいるんだって。マシロが前に住んでた森には、僕の体くらい大きなトンボさんがいて、木の葉っぱが大好きで、たまに木の葉っぱ全部食べちゃって、木が枝だけになっちゃうんだって。


 夜のご飯食べて、休憩のお部屋にいる時、ディル達に明日は一緒に虫さんとれる? って聞きました。でも、明日もディル達にご用があるんだって。あと2日くらい遊べないって言われちゃいました。


 もう、みんなどうしてそんなに忙しいの? 虫さん捕まえるの面白いよ? 遊ぼうよ。僕ちょっとだけプンプンです。

 

 次の日みんながお出かけしちゃって、僕がマシロ達と虫さん捕まえに行きました。今日はにぃに達もどこかにお出かけしてるんだ。みんなお出かけ、僕だけ何にもない。


 お昼のご飯まで虫さん探して、白色の蝶々さん2匹捕まえました。お家に入ったらばぁばが玄関ホールで僕のこと待ってました。


「ユーキちゃん。良いもの用意したのよ。遊びのお部屋にいきましょう」


 ばぁばと遊びのお部屋に行ったら、窓の所に透明な箱が置いてありました。透明な箱が6個ついてます。それで葉っぱが入ってたり、お花が入ってたり、お水が入ってたり。いろいろな透明な箱です。


「葉っぱが入ってる入れ物にはトンボさんを入れて、お花が入ってる入れ物には蝶々を入れるのよ。それから草が入ってる入れ物にはバッタを入れるの」


 透明な箱は虫さん達のお家でした。ばぁばが虫さんのお家に用意してくれたの。他の何も入ってない箱は、別の虫さん捕まえた時に入れなさいって。ばぁばありがとう!!


 すぐにカゴの中から虫さんお引っ越しです。マシロに風魔法で箱に入れてもらいます。順番にトンボさん、蝶々さん、バッタさん。カゴより広いお家だから、みんな喜んでくれるよね。


「でもねユーキちゃん。ばぁばのお家から帰るときは、虫さんお外に逃してあげましょうね。虫さんはお外が1番好きなの。だから帰る時にバイバイして、みんながいろんなところを飛べるようにしてあげましょう」


「うん…」


 う~ん、ちょっとだけヤダな。僕頑張って捕まえたんだよ。でも…お外が好きなの僕も一緒だから、やっぱり虫さんもお外が良いよね。


「ばぁばのお家、くろにゃんとモリオンちゃんが覚えてくれたでしょう? また遊びに来た時捕まえて、このお家に入れましょう」


 雪が降って寒い季節には、別の虫さんがいっぱいいるんだって。だからその時また捕まえれば良いって。それでまた帰る時にお外に帰してあげて。

 うん、いろんな虫さんと、会えた方が楽しいもんね。


 お昼のご飯食べた後は、お母さんと一緒にお手紙書くお手伝いしました。えっとねぇ、お母さんが書いたお手紙に僕がハンコ押すの。2つも押せるんだよ。僕のお家のマークのハンコと、もう1つは…分かんない! でも僕はハンコも押せて、お手伝いもできて、とっても楽しかったです。


 夜のご飯のちょっと前に、やっとディル達が帰ってきました。いつもどこに行ってるのって聞いたんだけど、ぜんぜん教えてくれません。

 それからご飯食べて疲れたって言って、休憩のお部屋でみんなでゴロゴロしないで、すぐに寝に行っちゃったんだ。


「マシロ、ぼく、みんなであしょびたいの。どちてダメなのかな?」


「新しい街に来て、妖精仲間などに会っているんだろう。もう少しすれば、いつものように遊べる。それまでは我らと遊んでいよう」


「うん…」


 なんか僕、寂しくなってきちゃった。夜はお母さんと小さいマシロとお父さんと、みんなでくっついて寝ました。エシェットとルトブルも変身してくれたんだよ。

 

 ディル達ぼくも連れて行ってくれないかな? いつもはみんなで遊びに行くのに。今日捕まえた蝶々も見せてない。

 あっ、明日お家にお友達連れてきてって言ってみようかな? 

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