第337話バイバイしたけどご飯は一緒?

 お家に帰る前の日、夕方までお父さんとじぃじは、王様じぃじとお話し合い。レシーナも来てたんだよ。それで夜はみんなで一緒にご飯食べるって言ってました。

 僕とお母さん達は街にお買い物です。みんなのお土産買いに行くの。でもいつもよりお土産少ないです。

 

 いつもはアシェルやアメリアや、オリバーさん達にお土産買うけど、みんな今ボリフィスにいるからお土産いりません。えと、リク君とリク君のお父さんお母さん、それからお家で待っててくれてる使用人さんとメイドさん。あとは、お母さんのじぃじとばぁばにお土産。

 

 お母さんのじぃじとばぁばには、雪が降ったら会うってお約束だから、お母さんが腐らないものにしましょうねって。お菓子とか果物とかはダメ。食べられなくなっちゃうもんね。それにくろにゃんやモリオンがしまってくれるって言ったけど、じぃじもばぁばも、ペンとかお洋服作る布とかの方が喜ぶってお母さんが教えてくれました。


 だから最初にじぃじのペンを買って、次はばぁばが好きな緑色の布を買いました。

 リク君には小さい剣のカバンにつける飾り。僕とお揃いです。リク君とお揃いいっぱい。嬉しいねぇ。


 あとディル達とお揃いのリボン買いました。リボンだけ売ってるお店で買ったんだよ。このお店はボルフィスにしかないんだって。お母さんとアメリアが可愛いリボンたくさん買ってました。


 みんなで頭にリボンつけて、残りのお土産をササッて買っちゃいます。早く買い物終わったら、お母さんがおやつはお店通りで食べましょうって。

 だから急いでちゃんとお土産買って、おやつの時間にちょうどお買い物終わりました。たくさんのお土産全部くろにゃんに持ってもらって、マシロが今日は楽だって。


 今日のおやつはケーキです。エイムさんがこのおみせのケーキが美味しいって教えてくれました。

 僕はケーキ2つ。ディル達もいつもよりちょっとだけ多くケーキ頼んだの。僕は自分のケーキ見て、ディル達のケーキ見て、それからお母さん達の方見ます。

 

 母さんとばぁばと別の席に座ってるアメリアは、ケーキを7個も頼んでました。大きなお皿の上に7個。それからお団子とか蜜がたくさんかかってるヨーグルトみたいにとか。お母さん達夜のご飯食べられる? 僕そんなに食べたら夜のご飯食べられないよ。お母さん達見てディル達もとっても驚いてました。


 ケーキとっても美味しかったです。お母さん達は僕達よりもたくさん食べてるのに、僕達よりも先に食べ終わったよ。凄かったの。パクパクパクって、どんどんケーキが無くなっちゃったんだよ。


 お城に帰って、今日は最後の夜のご飯だから、カッコいいお洋服着ました。今日買ったリボンは付けたまま。それから前に着たあのダメダメなお洋服は、もう着なくていいってサルバドールさんが。今新しいお洋服作ってるって言ってました。もうお城にあのダメダメなお洋服はありません。良かったぁ。


 ご飯のお部屋に行ったら、レシーナ達とアースとストーンがいたの。みんな夜のご飯一緒に食べましょうって、王様じぃじがお話し合いしてた時に言ったんだって。

 僕アースとストーンと、昨日バイバイしたからビックリ。2人に抱きつきます。それに一緒にご飯嬉しいなぁ。


「昨日バイバイしたのにな」


「でも俺はユーキ達とご飯食べられて嬉しいぞ」


「ぼく、とってもうれちいでしゅう!!」


 みんなでお椅子に座って、王様じぃじが手を叩きました。料理人さんがゾロゾロお部屋に入って来て、大きなイノシシ魔獣の丸ごと焼いてあるお料理が運ばれて来ました。アース達が持ってきてくれたんだって。


「ちょうど食べごろの魔獣だぞ。これだけの良い獲物はなかなかいないんだ」


 エシェットがイノシシ魔獣の丸焼きに近づいてじっと見て頷きます。


「なるほど確かにな。よく見つけたな」


「ちょっと別の森でな」


 料理人さんがお肉を切って、みんなのお皿にのせてソースをかけてくれます。僕のお肉は小さく切ってくれました。

 ひと口食べて僕ほっぺたおさえました。


「おいち!!」


「だろう。良かったユーキが喜んでくれて」


 僕ねお肉美味しくておかわりしちゃいました。もっと食べたかったけど、デザートのプリンとかパンケーキとかアイス?とか、食べられなくなっちゃうから我慢。

 でも王様じぃじが、お肉が残ったら料理人さんにお願いして、明日馬車の中で食べるサンドウィッチ作ってもらうって。


 やったぁ! 僕とディル達は他のご飯食べながらお肉を見張ります。だってマシロもエシェットもルトブルも、アース達もみんな、ばくばくお肉食べてるんだもん。明日のサンドウィッチの分が無くなったら大変。ほら、またエシェットおかわりしてる!


「エシェット、もうだめでしゅ!」


「そうだぞ! 明日の分がなくなっちゃうだろ!」


「うん。僕達のご飯なくなっちゃう!」


 みんなに怒られて、エシェットがしゅんってなってお椅子に座ります。ふぅ、危ないあぶない。


 僕がお母さん達の方見たら、お母さん達のお皿の上にご飯がいっぱいでした。でもそれ全部食べちゃって、デザートもお皿にいっぱい食べちゃったの。おやつケーキとかいっぱい食べたのに、どうしてそんなに食べられるの?


 それからシュプちゃんは、初めて食べた物ばっかりで、とっても美味しいって言って、エシェット達と同じくらいご飯食べてました。どうしてみんなたくさんご飯食べられるんだろう? お腹の中がくろにゃん達の闇の中みたいに、たくさん入るようになってるのかな?


 ご飯が終わって、またまたアース達とバイバイです。今度はほんとにバイバイだって。


「じゃあなユーキ」


「また遊ぶのと、今度はご飯一緒に食べるのも約束だ」


「私も森に帰るわね。ユーキ、また冒険に来てね」


 アース達とお約束が増えました。一緒にご飯食べるお約束。

 みんなにバイバイして、王様じぃじ達におやすみなさいしてお部屋に戻ります。明日朝早く起きる日。だから早く寝なくちゃ。

 ベッドに潜って、お父さんの寝る分、お父さんのお体が真っ直ぐ寝れるように開けて。うん、これで大丈夫。

 おやすみなさい。


      *********


「今回もいろいろあったのう」


「まさかの事態じゃったな」

 

 ユーキ達が部屋に戻り、私と父さん、陛下と殿下で最後にとお酒を飲む。あまり飲むとちびっ子軍団の攻撃が怖いからな。それに明日は帰る日だ。程々にしておかなければ。


 今回の森での出来事、そしてレシーナ達が昔住んでいた森での黒服達の行動。あちらはレシーナ達が対処して以来黒服達は来ていないと聞き、レシーナ達と話し合った結果、我々が軽く入れるような森ではないため、引き続きそちらはレシーナ達に見張ってもらう事になった。


 そしてシュプが取り込んでしまっていた、あの闇の石の原石だが、陛下がモリオンに保管を頼んだ。闇の精霊であるモリオンが持っている方が良いと判断されたのだ。もしまた石が何か反応を示したとき、モリオンが持っていた方が対処が早くできるだろうという理由だ。

 確かにそれが1番安全だろう。モリオンも何かあればまたあの変な踊りをして止めると、胸を張っていた。


「それでじゃ、オルガー、あの話はどうなっている?」


「むろん、滞りなくじゃ。が、あちらとも話し合わなければ。これは皆に関係ある事じゃ」


「決まったらすぐに知らせるのだぞ」


「それは良いが、お主本当に来るつもりか?」


「当たり前ではないか。大事な事じゃ」


 今、私達はある計画を進めている。それはとても大切なことなのだが。父さんは滞りなくと言っているが、そんな事はない。かなり揉めている。まぁ仕方がない事なのだが、早く話を進めなければ、もうあまり時間がない。


「良いか。必ずワシを呼ぶのだぞ」


「すみません。父上、あまり無理を言うのは」


「何を言っている。ワシはもうほとんど準備ができておるのだ」


 この話になると、なかなか話が終わらなくなってしまう。


 と、私も伝える時期をそろそろ考えなくては。あまり早く伝えると、余計な事をしそうだからな。だが準備の時間もいるだろうし。それに注意もしなければ。


 陛下と父さんはまだ話が終わりそうになく、殿下と私は先に眠ることにした。

 部屋に戻りベッドを見れば、相変わらず私の寝る場所は、ピシッと真っ直ぐに寝ることしかできない幅しか空いていなかった。ユーキ達はこれでも大丈夫だと考えているが。これでは体が固まってしまう。

 マシロがのそっと頭を上げ、今日もマシロベッドで寝るかと聞いてきた。頼むと言い、着替えてすぐ眠りにつく。


 しかしいろいろあったが、ユーキが楽しく初めての冒険を終える事ができて良かった。また連れてきてやらなければ。子供のうちに楽しい思い出を作りながら、勉強もできる。レシーナには感謝だな。

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