第335話キノコの依頼
「おじしゃん! ただいま!」
「おう、帰ってきたか! 冒険は上手くいったか?」
「おじしゃんのおねがい、いっぱいとってきまちた! あのこれにハンコくだしゃい!」
「ハンコ?」
僕は冒険から帰ってきて、すぐにお宿のおじさんの所に行きました。
今日は森に入ってちょっと行った所で、たくさんキノコ見つけました。だからおじさんに美味しいご飯作ってもらおうと思って、みんなでたくさんキノコ採ったの。マシロの左のカバンがパンパンになるまで入れて。
それから次に森の奥に行ったらアースが待っててくれました。今日はストーンは大人の森に行ってるから一緒に遊べななかったけど、アースと遊べたから良いの。
それでアースと一緒にお芋探しました。お芋が埋まってる所は、葉っぱがいっぱい落ちてる所って依頼書に書いてあったから、みんなで葉っぱがたくさん落ちてる所探して。お池の近くに葉っぱが落ちてたからそこをみんなで一生懸命掘りました。
そしたらツルが出てきて、お父さんがそのツルにたくさんお芋がついてるって言ったから、それをみんなで引っ張ります。
「ふぬぬぬぬっ!!」
「ひっぱれ~!!」
『ひっぱるのぉ~!』
せーのっ!! みんなで力一杯引っ張ったら、ズボボボボボッ!! ツルにたくさんお芋さんがついてきました。全部で7個!
もっとあるかもしれないから、それからもみんなで掘ってツルを探したら、もう1本ツルを見つけて、それもみんなで引っ張りました。次のツルには9個もお芋さんがついてたんだよ。
ルトブルが綺麗にお芋さん洗ってくれて、それをマシロが乾かして、今度はマシロの右のカバンにしまいました。左も右もカバンがパンパン。でもマシロ重くないって。重かったらくろにゃんにしまってもらうからねって言ってね。
キノコとお芋さんが終わったあとは、帰りまでアースと一緒に遊びました。今日はアースが見つけたあんまり人が来ない所で遊んだの。
夕方ちょっと前にアースにバイバイして、今度また遊ぶお約束して街に帰ってきました。それですぐにおじさんの所に行ったの。
「おじしゃんのおねがい。いっぱいよ」
僕マシロのカバン開けてキノコ見せました。それからまた依頼書をおじさんに見せます。そしたらおじさんが困ったお顔しました。どうしたの? おじさんのお願いのキノコだよ。
そしたら後からお宿に入ってきたお父さんが、慌てて僕のこと抱っこしました。
「ユーキ、今日はおじさんにキノコ渡せないんだ。それにハンコも貰えないんだぞ」
え~!? 何で! みんなでブーブーです。
「ユーキ良いか。おじさんはギルドにキノコ採って来てくださいってお願いしただろ」
「うん!」
「ギルドのお兄さんは分かりましたって、お願いの依頼書作った。分かるか」
「うん!」
「お願いしたのはおじさんだけど、依頼書を書いたのはギルドのお兄さんだから、ギルドに持っていかないといけないんだ」
「どちて?」
「………分かんないよな」
お父さん困ったお顔してます。おじさんとおんなじお顔。
何でギルドなの? だっておじさんのお願いだもん。おじさんに渡さなきゃ。
「あなたそれじゃあユーキちゃん分からないわよ。それに難しい説明もダメよ。余計混乱しちゃうわ」
お父さんよりも後にお宿に入ってきたお母さんが、今度は僕のこと抱っこして、お母さんが僕にお話してくれました。
あのねこの依頼書にお願いを書けるのは、ギルドのお兄さんとお姉さんだけなんだって。おじさんや他の人達も、お願いがあっても勝手にお願い書いちゃダメなの。それから最後に押してもらえるハンコもギルドのお兄さん達しか押しちゃダメなんだって。
お兄さん達はちゃんと依頼ができたか確認するでしょう。もしおじさんや他の人達がお願いした物と僕達が探してきた物が違ってたらダメダメです。
ちゃんとお願いの物だったら、お兄さん達がおじさんに取りにきてくださいって連絡して、それでおじさんがギルドにお芋さん取りに行くんだって。
う~ん。分かった?
「えと、ギルドのおにいしゃんに、いらいちょみしぇて、それから…おじしゃんどじょ」
僕はマシロのカバンおじさんに見せます。ん? 違う?
「お母さん言ったでしょ。ちゃんとあってるかギルドのお兄さん達が確認するって。明日ギルドに持って行くのよ。おじさんは後でそれを取りに行くの」
「???」
「あ~あ、考え込んじゃったよ」
お兄ちゃん達が階段から下りて来ました。今日はお兄ちゃん達早く森から出たから、先にお宿に帰って来てたの。
「ユーキ、とりあえずそれは1度ギルドに持っていかないとダメなんだ。そう決まってるんだよ」
「そうそう、だからしまって明日俺達とギルドに行こう。そういう決まりなんだ」
ふ~ん? そうなんだ? ま、いっか。明日おじさんに渡せるんでしょう? 明日おじさんに美味しいキノコのご飯作ってもらおう!
僕はキノコの入ってる鞄の蓋閉めて、おじさんに明日キノコのご飯作ってって言いました。おじさん分かったって、お約束してくれたよ。そのままお泊まりのお部屋に戻ります。
「父さんも母さんも、あんなに難しく言ったって、ユーキには分かんないよな。ダメならダメって言ったほうが分かり易いと思うよ」
「そうそう。ユーキはそれで納得するんだから」
「お前達の言う通りだな」
次の日朝から子供ギルドに行きました。ギルドのお兄さん、僕がカバンいっぱいキノコとお芋さん採ってきたから、とっても驚いてました。それで依頼書にハンコたくさん押してくれたの。うふふ。嬉しいなぁ。
それでギルドのお兄さんがお姉さんに何かお話します。お姉さんは頷いて、他の依頼書と一緒に僕の依頼書持って、お外に出て行きました。
「これからおじさんにキノコがちゃんと届きましたって、お姉さんが伝えに行ってくれたからね。ユーキ君お疲れ様でした」
依頼書がちゃんとできたから、今日はお菓子の入った袋貰いました。そのお菓子食べながらギルドの中でおじさんが来るのを待ちます。だってちゃんと持って帰ってくれるか心配。
少ししておじさんがギルドに入ってきました。すぐにお兄さんの所に行って、マシロのカバンから別の袋に入れたキノコを貰います。
僕はおじさんの方に走って行って、お洋服引っ張りました。
「おじしゃん、キノコだいじょぶ?」
「ん? ああ、坊主か。ああ、大丈夫だぞ。たくさんキノコありがとうな。そうだな…おい、この坊主に特別報酬を出してやってくれ。ギルドで1番良い飴だ」
「分かりました。ユーキ君、ユーキ君がとっても頑張ってキノコ採ってくれたから、おじさんからもプレゼントだって。はい。大きな棒付き飴です」
僕のお顔とおんなじくらいのアメがついてる棒を、お兄さんが僕にくれました。おじさんのプレゼントだって。
「ふわわ、ふわわわ! ありがちょ!」
僕はアメ持ってお兄ちゃん達の所に走ります。
「ユーキにありがとうございます」
「お前達の弟は凄いな。これだけキノコを集めてくるとは。これは特別報酬つけないとダメだろ。さて、坊主が楽しみにしてるキノコ料理を作りに帰るか。じゃあな。夕飯楽しみにしてろ」
気付いたらおじさん帰っちゃってました。今日はおじさんのとっても美味しいキノコのご飯の日。楽しみ!!
今日の夜は昨日みたいに、自分で好きなご飯を取ってきて食べるの。キノコのスープ、キノコのグラタン、キノコをそのまま焼いてソースにつけて食べるやつ、それからきのこが乗っかってるお肉と、キノコとお野菜の焼いてあるやつ。うん、これはいらない。あとはキノコが入ってるケーキみたいだけどしょっぱい味がするやつとか。
キノコのお料理がいっぱいです。
おじさんにお肉切ってもらいながら、おじさんにキノコ嬉しいって聞きました。
「ああ。もちろんだ。こんなにたくさん取ってきてくれてありがとな。たくさん美味しいご飯作ったから、好きなものたくさん食べるんだぞ。それに坊主には特別に、このケーキを作って置いた。デザートに食べろ」
おじさんが苺がたくさん乗ってるケーキを僕にくれました。僕にだけ特別だって。えと、後はディル達。
おじさんにありがとうして、急いで美味しいご飯食べて。最後にケーキを食べます。とっても甘くて、それからクリームがとっても美味しくて、すぐに食べ終わっちゃいました。
おじさん、またキノコたくさん採ってきたら、ケーキ作ってくれるかな?
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