第330話元通りのスライムさん

「これ、変な力なくなってるよ。ただの闇の石の原石だよ」


 モリオンがそう言いました。


「原石!!」


 お父さんが大きなお声で叫びます。


「何だ? 普通の原石になったのか? もう危ない事は無いのだな?」


 エシェットがそうモリオンに聞いたらそうだって。もう誰も具合悪くならないし、黒いモヤモヤで僕達のこと攻撃しないって。普通の石になったから、スライムさんの気持ち悪いのも治ったんだって言いました。


「あっ! みんな見て!」


 今度はリュカが叫びました。リュカの方見たらリュカが結界のお外見てます。あっ、茶色じゃなくなってる。ううん、え~と、茶色だけど、今まではスライムさんのお体の中は、何にも見えない茶色だったけど、今はお外が見える透明の茶色で、遠くの方にお母さん達が見えました。お母さんがお手々振ってるのもちゃんと見えるんだよ。みんなでお母さんにお手々振ります。


『なんか体も軽くなった感じ。みんな僕の外に出すね』


 スライムさんのお声が聞こえて、結界が動き始めました。中に入ってきた時よりも、スススって早く進んでる感じがします。

 すぐにお母さん達の所までついて、ぽんって結界がお外に出ました。僕達ボールに入ってるみたいに、ぽ~ん、ぽ~んって飛んで、ちょっと遠くまで行っちゃいました。

 急いでエシェットが結界を無くして、ジュードも丸をなくしてくれます。


 走ってお母さんの所まで戻って、お母さんに抱きつきました。


「ユーキちゃんお帰りなさい。怖くなかった?」


「うん。えとね~、おもちろかっちゃ! おにごっこちたの。しょしたら、パアァァァァァッ!! って光って」


「待てユーキ、それはお父さんが話すからな」


「おい、もう少し静かに出せないのか? 主が怪我をしたらどうする?」


 マシロがスライムさんのこと怒ります。


『ごめんね。あんなに弾むと思わなかったの』


 スライムさんがそう言ったら、今までお山だったスライムさんがどんどん小さくなって、僕のお顔くらい小さくなりました。僕のお家にいるスライムさんとおんなじくらいの大きさです。それからやっぱり透明の茶色で綺麗な感じ。さっきまではゴミとかもお体に入ってたし。

 石の悪いモヤモヤがなくなったら、溶かすのがとっても早くなって、ゴミもお花も全部綺麗に溶かしちゃったんだって。


 スライムさんは僕達の前にぷよぷよジャンプしてきて、それでちょっとだけ長くなって立って、ペコってお辞儀しました。


『気持ち悪い石とってくれてありがとう』


 お父さんもマシロも、それからレシーナも、スライムさんといろいろお話し合いしたいから、お城に戻ろうって。

 くろにゃんが影を広げて、僕達その上に乗っかります。でもエシェットとルトブルとジュード達、それからレシーナが影に乗りません。

 森が本当にもう大丈夫か見てからお城に帰るって言いました。だから先に僕達だけ帰ります。


 お城についてすぐ、お父さんは王様じぃじに会いに行って、それからくろにゃんとサルバドールさんの所と、オリバーさん達がいる所、騎士さんや冒険者さんがいる所に、もう大丈夫ってお知らせに行きました。


 僕達は王様じぃじに会う前にお着替えです。泥でお洋服ドロドロ。それからお顔も泥んこです。すぐにお泊りしてるお部屋に戻って、お部屋にあるお風呂に入ります。


 お城には大きなお風呂が何個もあって、それからお部屋にもお風呂があるんだよ。王様じぃじお風呂大好きなの。だからいっぱいあるんだって。

 お母さんがすぐにお話しかもしれないから、体洗うだけよって。お湯の中に入って遊びたかったなぁ。

 

 今スライムさんは僕の頭に乗ってます。お母さんが魔力石に魔力流して、お湯がシャワワワって出てきたら、するるるるってスライムさんが流れます。それからお水をピュッピュッて、水鉄砲みたいに出しました。


「キャッキャッキャッ!」


『面白いね』


「オレだって!」


 シャワワワって出てるお湯をディル達用の入れ物に入れて、スライムさんにかけます。スライムさんもディル達にピュッってお湯をかけて。楽しそう…僕も!!


「ダメよユーキちゃん。早く体と髪の毛洗ってお着替えよ。お母さんも早く綺麗にしなくちゃいけないから、遊びは後で」


 お母さんにダメって言われちゃった。う~。早くお話し終わって、すぐに戻ってきて遊ぼう!


 お風呂から出たら、お兄ちゃん達がもう綺麗なお洋服に着替えてました。それからじぃじも。お兄ちゃんがお洋服着せてくれます。お母さんは僕をお風呂から出して、今度はお母さんがお風呂です。


 僕がお着替えしてる時、マシロがディル達を風魔法で乾かしてくれて、僕がお着替え終わったら、僕の髪の毛も乾かしてくれたよ。ちょうどその時、お父さん達が帰ってきて、お父さんは嫌がるくろにゃんとエシェット達連れて、じぃじ達がお泊まりしてるお部屋のお風呂に入りに行きました。


 みんなお風呂に入って綺麗になって、王様じぃじといつもお話するお部屋に行きます。僕達がお部屋に入って、それからサルバドールさんが来て、王様じぃじが来ました。


 僕は王様じぃじにスライムさん紹介です。う~んお友達になってないけど良いよね?


「本当にあの山がこのスライムなのか?レシーナが知らせに来てくれた時は疑ったが」


 サルバドールさんがそう言ったら、スライムさんがちょっとだけ大きくなりました。お部屋にぎゅうぎゅうくらい。サルバドールさんが1番スライムさんに押されちゃってて、ほっぺたが潰れちゃってます。


「わ、分かった。分かったから小さくなってくれ」


 スライムさんがまた小さくなって、サルバドールさんがふぅって。


 お父さんが森の中で僕達が何をしてたかお話します。どうしてスライムさんが大きくなっちゃったのかとか、森の木や花を枯らしちゃった事とか。それから闇の石のお話もします。僕達がモヤモヤがくっついてる石と鬼ごっこした事とか、僕がでんぐり返しして石触ったら、パアァァァァァァァァって光った事も。


 お話聞いてたお母さんが、そんな危ない事してたのって言いました。危ない事してないよ。鬼ごっこしてただけ。それででんぐり返しが上手にできたんだよ。


 お母さんが後ろに立ってるジュードの方見て後でお話しねって言いました。そしたらジュードが、


「やっぱりこうなったか。だから後で面倒なのは私なんだと言ったんだ」


 って。ふ~ん。面倒なんだね。何が?


 王様じぃじはお父さんのお話全部聞いた後、エンシェントやレシーナに、もう森に悪い魔獣や悪い石がないか聞きます。


「このスライムのように力を隠す魔獣がいれば別だが、今のところは大丈夫だろう。レシーナの方にも、こういう状態になったため、魔獣達に確認をしたらしいからな。あのバカのような魔獣がいなければ、あの森は安全だ」


「それは安全なのかのう? まぁ、後は少し様子見と言ったところか。さらに詳しい話をしようと思うのだが」


 王様じぃじがお外見て、今日はもうすぐ夜のご飯の時間で、みんなとってもお疲れだから、お父さん達のお話し合いは明日またするって言いました。

 

 ご飯。僕お腹空いたよ。みんなでご飯食べるお部屋に移動してご飯食べます。スライムさんも一緒だよ。

 ご飯食べてたらスライムさんがお皿も食べようとしたから、リュカが食べて良いやつとダメなやつ教えました。とっても怖いリュカ先生です。ディル達みんな僕の方に寄ってきてご飯食べます。だってリュカずっと怒ってるんだよ。さっき教えたでしょとか、順番が違うとか。スライムさんしょんぼりです。スライムさん可哀想。


 僕スライムさん抱っこして、一緒にご飯食べようって言いました。もう今日はリュカ先生終わり。ご飯楽しくないのダメダメだよ。

 僕と一緒にご飯食べ始めたら、スライムさんだんだんと元気になってきて、それで最後ケーキ食べたら、ディル達と一緒にマシロやくろにゃんの背中に乗って、だらぁ、としてました。リュカ先生も。


「リュカちゃん、途中までは良いのだけど、最後はいつもみんなとだらっとしちゃうのよね。お城ではダメと教えたのだけれど」


「いつも申し訳ありません」


 お父さんが王様じぃじにお辞儀します。


「気にするな。それが彼らにとっては普通のこと。我々が何か言うものでもあるまい」


 ご飯食べ終わって、休憩のお部屋でみんなでゆっくりして、おやすみなさいの時間です。おやすみなさいしてる時、オリバーさん達がお部屋の来ました。お父さんにお話だって。オリバーさん達にもおやすみなさいして、お母さんとお兄ちゃん達とお部屋に戻ります。今日はスライムさんとご一緒にお泊りです。えへへ、嬉しいなぁ。


 みんなでベッドに潜って、お父さんがまっすぐ寝られるくらいちゃんと開けて。うん、これでお父さんが戻ってきてもちゃんと寝れるよね。みんなおやすみなさい!

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