第329話闇の石と鬼ごっこ

 エシェットが結界のお外に出たり入ったりして、黒いモヤモヤの動いてる所に攻撃します。

 最初は魔法の攻撃です。結界のお外に出る前に丸い光の玉を作って、それを持って結界のお外に出ます。お外に出る時は息を止めて出るんだって。だからエシェットがお外に出ると僕達もみんなで息止めちゃいます。


「さっきもそうだったが、別にユーキ達が息を止めなくても良いんだぞ」


 お父さんがそう言ったけど止めちゃうの。みんなでお顔膨らませて…何でかな?


 エシェットが光の玉をモヤモヤの近くでモヤモヤに投げます。いつもはビュゥッ!! ってエシェットの攻撃は飛んでいくのに、今日はふよよよんってゆっくり飛んでいきます。

 モヤモヤは光の玉をしゅうぅぅぅって避けちゃいました。


 すぐにエシェットは戻ってきて、今度は光の玉を5つ作って、また攻撃しに行きます。今度はさっきよりも勢いよくお外に出て行ったんだけど、お外に出るとおんなじ、ゆっくりになっちゃうんだよ。それで5つ光の玉を投げたけど、全部避けられちゃいました。


「なかなか難しいな。今度は2人で攻撃してみるか。ルトブルお前も手伝え。動き方は海を泳ぐのと同じ感覚だ。お前なら上手く動けるだろう」


「分かった」


 エシェットが光の玉を何個も作って、ルトブルはスライムさんとおんなじ色。土の玉を作りました。

 2人でお外に出て一緒に攻撃します。ルトブルの土の玉はお外の色と一緒だから、じぃ~って良く見ないと分かりません。でもエシェットの攻撃はふよよよんだけど、ルトブルの攻撃はぷよ~んってちょっと早いです。当たらないけど。


「やはりお前の方が少しは良いか。が、もう少し攻撃してダメならば直接的な攻撃に切り替えるぞ」


「分かった」


 それからもたくさん攻撃して、1度だけルトブルの攻撃がちょっと当たったけど、後は全部逃げられちゃいました。

 だから今度は魔法じゃなくて、捕まえて壊すんだって。それか近づいてキックしたり、いろいろな攻撃です。エシェットもルトブルもキックで岩壊しちゃうから、当たったらきっと黒い石壊れるよ。

 今度はマシロも一緒に攻撃しに行きます。マシロは噛みつく攻撃ね。マシロも噛むだけで石壊しちゃうもんね。


「がんばれぇ!!」


「「「がんばれ!」」」


『がんばれなのぉ!!』


 エシェットが近づくと逃げるモヤモヤ。逃げた所にルトブルが待っててキックします。それから逃げて今度はマシロが噛みつこうとします。

 ちょっとして戻ってきたエシェットが、スライムさんに石を動かさないように協力しろって言いました。でもスライムさんは、


『止めたり動かせたりできるなら、最初から僕、石体の外に出してるよ』


 って。エシェットはチッって言った後、また攻撃しに行きました。


「とうしゃん」


「ん? どうしたユーキ」


「どちて、あのいちはうごくの? うごいてるなら、おはなちとかできるの?」


 だって動くって、自分であっちに行きたいとかこっちに行きたいとか、考えてるんでしょう? 石にお目々とかついてて、エシェット達の攻撃見て考えて逃げてるのかも。黒の石じゃなくて黒の石の魔獣かもしれないよ。


「ああ、確かにユーキにはそう見えるな」


「ユーキユーキ」


 モリオンがお話してきました。


「あれは闇の意志で、お目々はついてないよ。魔獣でもない。でも、考える力を持ってる、特別な闇の石なの」


 僕達みたいにお目々で見えなくても、考える事だけできる石があるんだって。前に僕お父さん達の偽物の夢見たでしょう? それから黒服さん達に力をあげたり。あれは考える事ができる特別な闇の石がやったんだって。


「今逃げてる石も、考える事ができる石だよ。前の石よりもちょっと弱いけど、でもなんか変な石。エシェット達が完璧に壊してくれると良いんだけど」


 それからも何回もマシロ達が石を攻撃するけど、全然石に当たりません。逃げる石を見てシルフィーが鬼ごっこみたいって言いました。

 あっ、ほんとだ。マシロ達が鬼で石が逃げてるの。鬼が多いのが僕達の鬼ごっことちょっと違うけど。


 石が僕達の方に逃げてきました。


「主!!」


 マシロが急いで戻ってきました。でも石は僕達の前でひょいって曲がって、また別の所に逃げていきます。僕達の前に来た時、モヤモヤじゃなくて石がちゃんとに見えました。黒色だけどキラキラとっても綺麗な石。でもスライムさんを気持ち悪くしちゃう悪い石です。僕達から離れるとまたモヤモヤに戻っちゃいました。


 モリオンが逃げていく石見ながら、マシロにお話します。


「ねぇ、今さ、僕達の近くに来たら石の力が弱まった。弱まったからモヤモヤなくなったんだよ。考えたらユーキが近くにいるだけで力が弱まるなら、思いっきりユーキが石に近づいたらどうかな? 近づいても大丈夫だと思うんだよね。だって石は襲ってくるどころか、今よけたでしょう?」


「確かに…。おい! エシェット!」


 マシロがエンシェント達を呼びました。エシェットにモリオンのお話をします。その後はエシェット達とお父さんがお話し合いです。

 それで僕達は結界の中に入ったまんま、石を追いかけてくれってエシェットが。今度は僕達も一緒に鬼ごっこです。


「しゅっぱちゅ!!」


「「「おぉ!!」」」


『『しゅっぱつ、なぉ!!』』


 みんなで石を追いかけます。モヤモヤに近づいたら、さっきみたいにモヤモヤがなくなって、綺麗なキラキラした黒い石が見えました。


「とちゅげき!!」


「「「わあぁぁぁぁぁ!!」」」


 石がどんどん逃げて、僕達がどんどん追いかけて、それからマシロ達が攻撃して、さっきまでエシェット達だけ攻撃してて周りが静かだったけど、今はとってもワイワイ。僕ちょっと楽しいです。


「まて~!!」


「ユーキ、これは遊びじゃないんだぞ」


 お父さんがはぁってため息です。でも面白いよ?

 僕ね面白くてジュードが抱っこしてくれてたんだけど、体が前の方に行っちゃったんだ。エシェットが石の前に立って、マシロとルトブルが左と右に立ちます。そうしたら石が急にピタッ!! 止まりました。僕達の結界も急にピタッって止まります。


「う?」


「おい!? くっ!!」


 僕、マシロ達みたいに、空中ででんぐり返ししました。ジュードが僕にお手々伸ばしてるのが見えて、お父さんも慌てたお顔で僕のこと見て、お手々伸ばしてました。それからマシロの声がして、僕に息を止めろって言ったの。僕ほっぺた膨らませて、ムーって息を止めます。


 何でかな? 僕結界から出ちゃってました。それでそのまま何回もでんぐり返しして、でんぐり返しが止まったら、目の前にキラキラの黒い石がありました。

 僕が捕まえたらマシロ達石を壊してくれるよね。すぐにお手々伸ばして石を握り締めます。


 パアァァァァァァッ!!


 リュカがとっても強く光った時みたいに、僕の周りがとっても明るくなりました。

 すぐに光は無くなって、エシェット達が急いで僕のこと捕まえて、結界の中に戻してくれます。


「ふうぅぅぅぅ」


 やっと息できました。危ない危ない。僕がゆっくりしようとしたらマシロが凄い勢いで、石を離せって言ってきました。あっ、急に光ったから石のこと忘れてたよ。

 僕はそっとお手々開きます。僕のお手々の中、キラキラ光る黒くて透明な石です。さっきまでのモヤモヤが全部なくなってて綺麗な石。


「ちょっと待ってね」


 モリオンが石の周り飛んだり、じぃ~って見たり、それからもそっと触ってみたり、いろいろな事してます。その間危ないからって、お父さんが石を持ちました。僕はもう1回ジュードが抱っこです。


 ジュード怒ったんだよ。前に出るから急に止まった時、外に飛ばされるんだって。


「静かにしていられないのか? 後で面倒なのは私なんだぞ」


 僕何もしてないのに。だってみんなで追いかけてただけでしょう? 何で怒るの?


 モリオンが石から離れるの待ってたら、スライムさんのお声が聞こえました。


『なんか気持ち悪いのなくなったぁ。石壊したの?』


 まだ壊してないよ? 今モリオンが石調べてるの。そう言ったら、スライムさんもう全然気持ち悪くないって。まだ壊してないけど、もう気持ち悪くないなら良かったぁ。ん? 何で治ったのかな?

 スライムさんとお話してたら、やっとモリオンが石から離れました。

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