第328話スライムさんの中に出発!!

 スライムさんが考え事してる間に、お父さんとエシェット達もお話し合いです。


「スライムだと気づかなかったのか?」


「近づくといっても、ここまで近くには寄らなかったからな。吸い込まれる心配もあったし、我らに分からない力で攻撃される可能性もあった。なにしろこのスライムは全く魔力を感じないのだ。分からないものに近づくほど、我々は馬鹿ではない」


「あなた、エシェットの言う通りよ。こればっかりは仕方ないわ。だいたい今だってユーキちゃんがこのスライムの声が聞こえなかったら、まだ遠くから攻撃してて、何も変わっていなかったはずよ」


 スライムさんは考え事、お父さん達はお話し合い。僕はちょっとぉ。何にもする事ありません。

 

 このスライムさんも、お家でお留守番してるスライムさんみたいにぷよぷよなのかな。お家のスライムさんはひんやりしてて、とっても気持ちいいよね。

 僕はさっき、大きいスライムさんから出てきた、お手々くらいのスライムさん触ってみようとしました。そしたらマシロが触っちゃダメって言ったの。

 

 お家にいるスライムさんには、マシロ達やお母さん達が、いろいろなもの溶かしちゃダメって言ったから、僕達触っても大丈夫だけど、このスライムさんには何も言ってないから、僕が触ったらお手々溶けちゃうかもしれないの。

 お手々溶けちゃう…ダメダメ!


『あのね僕、考えたんだけど』


 スライムさん考え事終わったみたいです。


『僕の中に入って石壊して』


「それは大丈夫なのか? 我々はお前に消化されないか?」


『この石、僕溶かそうとしたんだけど溶けないし、体の外に出そうとしても出ないし。だったら中に入ってもらって壊して貰えばいいと思うんだけど』


 このスライムさんも、お家のスライムさんみたいに、溶かしちゃいけない物は溶かさないよって。たまに力が上手に使えなくて、なんでも溶かしちゃうスライムさんもいるけど、泥スライムさんはちゃんとできるから大丈夫って。


 エシェットが確認するって言って、近くに落ちてた大きな木の枝を、スライムさんの体の中に投げました。木の枝はちょっとだけスライムさんのお体の中にいて、その後ポイッてお外に出てきました。エシェットが溶けてないか確認します。木の枝溶けてなかったって。


「ふむ。これなら大丈夫だな。まぁ、結界を張ればさらに安全か」


『あ、あとね、えーと、ねぇお名前何?』


 あっ! そうだ、お名前まだ言ってない。僕お名前スライムさんに言います。


『ユーキ。そっかユーキか。ねぇお願いがあるの。ユーキも体の中に入って来て』


 ん? 僕お体に入っても石壊せないよ? 

 マシロ達がスライムさんと内緒のお話して、マシロが背中に乗れって言いました。それでスライムさんから離れたり近づいたり、何回もおんなんじ事しました。マシロが何してるの?


 やっとお父さん達の所に戻って、どうして離れたのかお父さんが聞きます。そしたら、僕がスライムさんの近くにいると、石の悪い力が弱くなるんだって。今、何回も離れたのは、本当に弱くなるのか確認したの。


『ユーキがそばにいてくれるだけで、僕とっても楽。だから一緒に中に入って』


 よく分かんないけど、僕が入れば良いの? じゃあ僕もエシェットと一緒にスライムさんの中に入るよ。

 僕がそう言おうとしたら、エシェットがまだ問題があるって言いました。


「石の力が弱まるのなら、確実に破壊するために、ユーキと一緒に中に入るのは良い。が、我々はスライムの体の中は息ができるのか? 我が1度試しに中に入ってみる」


 エシェットがぴょんって飛んで、スライムさんの中に入ります。それですぐに出てきて、僕達の所に戻って来ました。


「やはり中では息ができんな。我も中で動くのに、息をしないわけにはいかんからな。どうするものか」


 エシェットがお話してたら、ジュードが僕達の前に出てきて、


「私ならできるのではないか?」


 って、ジュードならスライムさんの中で、息ができるかもしれないって言いました。ジュードは人魚さんのアルマンドさんみたいに、僕達が海のなかで息ができるようになる魔法ができるんだって。エシェットが魔力が戻ったのかって聞いたら、それくらいの魔法だったら、そんなに魔力使わないからできるって言いました。それに、僕と一緒にいると、少し魔力がたくさん使えるから、スライムさんの中にいるだけなら大丈夫って。


 もう1度確認。エシェットとジュードがスライムさんの中に入ります。それからお父さんも。お父さんがダメって言ったら僕スライムさんの中に入れません。

 今度はさっきよりも長くスライムさんの中に入ってるお父さん達。


「ふふ、ユーキちゃんがお口ぷくってして、息止めてなくても良いのよ。ディルちゃん達もよ」


「う?」


 僕達気づいたら、みんなで息止めちゃってました。お水の中にお顔入れてる時みたいに。だってエシェット達おんなんじお顔してるよ。息出来ないと大変。

 やっとお父さん達が戻って来ました。お父さんは嫌なお顔してたけど、僕が中に入っても良いって言いました。でもお父さんも一緒だって。


 僕のことジュードが抱っこして、そしたらディル達も僕の周りに集まって来ました。みんなも一緒に行くって。エシェットが遊びじゃないって怒ったけど、みんないつも一緒だもんね。エシェットはため息です。それで絶対に騒ぐなって言いました。僕とお父さんのお肩や頭に乗っかって、シルフィーとホプリンはマシロに乗っかって出発です。


「かあしゃん、いっちぇきましゅ!!」


「気をつけてね。危ないと思ったらすぐに戻ってくるのよ」


 アルマンドさんみたいに透明な丸が僕達を包みました。それからその周りにエシェットが結界を張ります。中に入ったら、僕達が動かなくても、スライムさんが黒い石の所まで連れて行ってくれるって。体の中に入ったら、すぅ~って進み始めました。

 

 お外見ようとしたけど、茶色だからぜんぜんお外見えません。ちょっと残念。あっ、でも、僕達が入ってる丸に寄ってきた、黄色いお花はいっぱい見えました。僕が一生懸命探してたお花です。スライムさんの中にいっぱいなの。

 それでしゅうぅぅぅ、しゅうぅぅぅ。お花がどんどん消えていきます。


 なんで黄色いお花ばっかりって、一緒に丸の中の入った小さなスライムさんに聞きました。黄色いお花が1番苦くなくて、他のお花や草は苦すぎてダメ。じゃあ白いお花は? って聞きます。あのね、黄色いお花いっぱいだけど、白いお花もスライムさんの中にいっぱい入ってたんだ。


『白いお花は、とっても甘くて美味しんだよ。夜にしか咲かなくて、朝になると消えちゃうんだ。黄色いお花は苦いから、その後に食べて苦いのが無くなるようにしてたの』


 ふぁ!? そんなお花があるの? 僕見てみたいけど、でも僕夜は寝ちゃうから、朝森に来ても見れないね。だって朝には消えちゃうんでしょう。


「ユーキ、お城に帰ったら、キミルが夜お花出してあげる。そしたらみんなで見れるでしょう」


 そっか、キミルに出して貰えば良いんだ。ありがとうキミル。


 黄色いお花と白いお花見ながらどんどん進んでいって、僕がまだ? って聞いたらもう少しだって。前の方が茶色から、だんだんと黒と茶色に変わってきます。黒く見えるのは黒い石が近いから。


 エシェットがモリオンに闇の力を弱くできるか聞いて、それからリュカにもたくさん光って、力を弱くしろって言いました。


「少しならできると思うよ。でもこの石何か変だから、そんなに弱く出来ないかも」


「それでも良い。少しでも力を押さえられれば、それだけ破壊が楽になる。近くに来て分かった。これはかなりの力を持った石だ」


 周りがもっともっと暗くなってきます。モリオンが闇の力小さくして、リュカが光ってくれてないと僕達の周り真っ暗。2人ともありがとう。僕真っ暗嫌い。

 少し進んで、エシェットが止まれって大きな声で言いました。


『分かったぁ。うん。これ以上は進まないほうが良いかも。ユーキ達は近寄っちゃダメ』


 僕達の前は真っ暗。でも何か真っ黒が動いてます。前お城で真っ暗のモヤモヤが動いてた時みたいです。気持ち悪い。あの動いてる所に石があるんだって。エシェット、早く壊して!


「さて、どの攻撃が効くか。ただ破壊しようとしても、簡単には破壊できんだろうからな」

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