第324話行ってらっしゃいのご挨拶
やっぱり気持ち悪いの治らないや。たくさん黄色い花食べたのに。それに、大きくなったり小さくなったり、気持ち悪くて勝手になっちゃうの。ちょっと疲れちゃった。
あれ食べちゃったからかな?
一緒に森に来た魔獣達は、みんなどっかに行っちゃって、それから怖い人達に倒されちゃったり。逃げてたら最初に森に来た所に戻れなくなっちゃった。
ふらふらしてたらあの怖そうな魔獣が寝てる所に行っちゃって。あの魔獣がどこかにお出かけして、お肉が残ってたから、少しもらっただけなのに。その時に変な石も一緒に食べちゃった…。
絶対あの石が悪い石だったんだ。
でもいつもだったら黄色い花食べれば、具合悪いの治るのに。何で今回は治らないのかな? もっと食べないとダメかな? こっちの森にはあと少ししかないけど、この前小さい子がいた森にはまだたくさんあったから、こっちがなくなって、気持ち悪いの治らなかったら、あっちの森に行ってみよう。
あっ、お花発見! これも食べて…う~ん、やっぱりまだ気持ち悪いや。次はあっち。
そういえば、僕のこと攻撃してきた怖い人達はいなくなっちゃったね。僕ビックリして攻撃しちゃったけど、お怪我してないかな? 僕お怪我が治る草知ってるから、もしまた会ってお怪我しちゃってたら教えてあげよう。
それにあの小さい子にもまた会ってみたいなぁ。ドラゴンとヘビと仲良く遊んでた、とっても優しそうな子。お日様の光みたいにあったかい子。きっと一緒に遊べたら楽しいよね。
それには早くこの気持ち悪いの治さなきゃ。ここの黄色い花はこれで終わり。次はあそこに見える花食べよう。
待っててね。僕すぐに治して遊びに行くからね。
*********
「とうしゃん、ずっとおちごと?」
「そうなんだ。少しの間、お城からいなくなるから、お母さんの言うこと聞いて、大人しくしてるんだぞ」
「うん!!」
お父さん達はこれから、あの変な泥のお山がお城の方に来ないように、サルバドールさんや、オリバーさん、冒険者さん、いろんな人達と森の近くにお泊まりして、もし泥のお山が来ちゃったら戦うんだって。
だから僕エシェットにお願いです。ルトブル達にもお願い。お父さんと一緒にお山さんと戦ってって。だってエシェット達はとっても強いもん。お山さんだって倒せちゃうはずだよ。
それからピュイちゃんとディルにもお願いします。ピュイちゃんは魔法が使えるようになるし、ディルはお怪我治せるからね。
「とうしゃんのおてちゅだいおねがいでしゅ!」
「分かっている。ユーキはそう言うと思っていたからな。お前達も良いか?」
「オレは良いぞ! だってユーキのお願いだもんな!」
『ピュイちゃん頑張るの! でも時々帰ってきて、なでなでお願いなの!』
うん、僕たくさんなでなでしてあげるよ。今も、お父さん達がお仕事に行っちゃう前になでなで。
お父さんのお仕事のお手伝いに行ってくれるのは、エシェットとディルとくろにゃんと、ピュイちゃんとジュード達。マシロ達は僕のことお城で守ってくれるって。
リュカはもし真っ暗になっちゃったら明るくして、僕が怖くないようにしてくれるって。モリオンは闇を無くしてくれるし、キミルはお腹が空いたら木の実たくさん出してくれるの。シルフィーとホプリンはマシロと一緒に戦ってくれるって、引っ掻く攻撃としっぽとパンチの練習してます。
「オリビア、おそらくここまでは来ないと思うが、もし危ない時は、陛下とユーキ達を連れて屋敷へ。ここが危なくなれば、いつかはカージナルも危なくなるという事だ。必ず解決してくる」
「ええ。分かってるわ」
本当はお父さんね、僕とお兄ちゃん達にお家に帰りなさいって言ったの。でもエシェットが、僕がお城にいるとエシェット達の力が強くなるから、もう少しここにいてって言いました。泥のお山がどんな魔獣か分からないし、どんな攻撃で魔獣を倒せるか分からないから。だから僕はエシェット達の力が強くなるようにお城でお手伝いです。
「旦那様、オリバー様が準備が整ったと」
オリバーさん達がお部屋に入って来ました。
「オリバーしゃん!!」
久しぶりにオリバーさん達です。本当は冒険の事たくさんお話したいけど、今はダメダメ。
「アシェルに少しだけ話を聞きましたよ。冒険頑張っているようですね。後でゆっくりお話聞きますからね」
「うん!」
「元気にしてたか。今度俺達とも冒険するぞ!」
マシューさん達が一緒に今度冒険してくれるって。やったぁ!
お父さん達が一緒にお仕事する騎士さんが待ってる場所に行きます。お城で働いてる騎士さん達で、シャーナがドラゴンって知ってる騎士さん達なんだって。それから前にお城で偽物ブタ獣人さんが悪いことした時に、ディル達が助けた騎士さん達もいます。王様じぃじと僕のじぃじがお話し合いして、この騎士さん達はエシェット達と一緒に戦っても大丈夫なんだって。
でも他の騎士さんや冒険者さんに、くろにゃんが魔法使ってるの見せるのはダメだから、今みんなお城の地下の、大きなお部屋に集まってます。
くろにゃんが影を広げて、まずはオリバーさん達が影に入っていきます。順番にぞろぞろみんな影に入っていって、最後にお父さん達が影に入ります。
「じゃあ行ってくる」
僕はお父さんに抱きつきました。早く帰って来てね。僕いつもみたいにみんなで応援してるからね。
お父さんが頭なでなでしてくれて、今度はエシェット達に抱きつきます。ディルとピュイちゃんをギュって抱きしめて、最後はジュード達に抱きつきました。みんなもお怪我しないで、早く帰って来てね。なでなでして欲しくなったらすぐに帰ってきて。僕たくさんなでなでしてあげるよ。
「………」
あれ? ジュードどうしたの? それにセオドリオも。僕が抱きついたら、ビクってしてそれから全然動かないの。エシェット達はギュッてしてくれたのに。
お顔上げて2人のお顔見ます。そしたら2人ともお顔がピシッてしてて、それからじぃ~って僕のこと見てるの。どうしたの?
「くくくっ」
エシェットとマシロが笑いながら僕達の所に来ました。
「そういう時は、ユーキのことを抱きしめ、そして行ってくると言えばいい。できれば頭を撫でてやれ」
「それは必要な事なのか?」
「勿論だ。主の大切な行ってらっしゃいの挨拶だ。そしてそれに応えるのは、我らにとってとても大切な事だ」
「そうなんですね…」
僕はもう1度ジュードとセオドリオに抱きつきます。うん。行ってらっしゃいだよ。行ってらっしゃいは大切。
僕が抱きついたらまたビクってするジュード達。でも少しして、2人がギュッてしいてくれました。でもすぐに終わり。頭なでなでもいっかいなでってして終わっちゃいました。う~ん、なんかダメ。
「なんかダメ? もういっかいやっちぇ」
「………何故だ」
「主の言うことは?」
「分かった分かった。もう1回だな」
2人とももう1回やってくれました。さっきよりちょっとだけ長いギュッと、2回なでなで…。お母さんの所に戻ります。
「プッ、微妙って顔だな」
「父さん達のと全然違うからね」
どんどんお父さん達が影に入って行きます。もう1回お手々振って、くろにゃんの影が消えました。僕達はお部屋に戻ります。
お父さん達が行っちゃってからすぐサルバドールさんも行っちゃって、他の騎士さん達も冒険者さん達もお城からいなくなりました。お城の中が急に静かです。
いつも側にいてくれるエシェット達がいなくて、僕ちょっとしょんぼり。お部屋でお兄ちゃんに絵本読んでもらったけど、今日はあんまり楽しくありません。リュカ達もマシロベッドでゴロゴロして静かです。
お父さんもエシェット達も夜までに1回も帰ってきませんでした。それで次の日の朝、お父さんは帰って来なかったけど、エシェット達は帰ってきました。僕はすぐにみんなに抱きついて、それからなでなでしてあげます。
それからエシェットが僕にお願いがあるって言いました。僕の魔力が欲しいんだって。エシェット、時々出てくる泥のお山に、たくさん攻撃するんだけど、全部お山の中にその攻撃が入っちゃって、ぜんぜんダメダメだって。
「もう少し魔力を練って、濃い魔法を放ちたいのだ」
濃い魔法? よく分かんないけど、うん僕魔力あげるよ。いつもみたいにエシェットに流すんだよね。すぐに魔力流す準備します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます