第323話泥の山が現れた原因?

「とうしゃん!!」


「ユーキ良い子にしてたか」


 お父さんに駆け寄ったら、ひょいって抱っこしてくれたけど、すぐに下されちゃいました。


「お父さんすぐに王様の所にお話しに行かないといけないんだ。今度ゆっくり抱っこしてやるからな」


 そう言うと、お父さんもお母さん達みたいに、すぐにお部屋から出て行っちゃったの。僕お父さんにお怪我しなかったか聞けなかったよ。だからディルに確認です。そしたら誰もお怪我しなかったって。

 それから森にいた魔獣達は、ちょっとお怪我してた魔獣達もいたけど、みんなお元気みたいです。エシェットが遠くから魔力を確認して調べてくれたの。

 だからレシーナ達は森の近くまで魔法で移動して、そのあとは魔法が使える場所からどんどん魔獣達を、前に住んでた森に連れて行ってくれたって。今森には魔獣は1匹もいません。みんなまたね!


「ユーキ達が行っちゃったあと、また山が出たんだぞ。今度は少し大きな山が5個。その後は小さいのがいっぱい。でもすぐに消えたんだぞ」


「エシェット、我はあんな魔獣の存在、今まだに見たことがないぞ」


 マシロがエシェットに聞きます。


「我も同じだ。魔獣なのかそうでないのか。分からない事ばかりだ。が、もしかするとごく稀に、そうだな、我が最近見たことのある物で言えば…」


 エシェット前に洞窟の魔獣に会ったことがあるんだって。それでその洞窟魔獣倒しました。

 普通の洞窟は、僕がこの前冒険した洞窟で、いろいろな魔獣が住んでて、僕達や冒険者さん達が冒険できる洞窟。

 エシェットが会った洞窟魔獣も、最初は普通の洞窟だったの。でもだんだんと洞窟に魔力が溜まっちゃったんだって。それで洞窟魔獣になっちゃいました。

 洞窟魔獣になった洞窟は、中へ入ってきた魔獣を食べちゃって、森にいた魔獣がエシェットに助けてって言いました。エシェットはお話聞いて、とっても危ない魔獣だと思ったから、すぐに洞窟魔獣の所に行って、バラバラに倒したんだって。


「もしかしたら今まで普通のそこいら辺にあった泥が、あのバカのせいで力を持ち、魔獣へと変化したのかもしれん。だがそれでも魔力は感じるはずなのだが」


 マシロもエシェットもみんなが見たことない魔獣。小さいお山になれるなら、もっともっと小さいお山になって静かにしたら、ほかの魔獣達とお友達になれるかもしれないよね。みんなお友達が1番良いよ。


 エシェット達とお話してたら、お父さんがエシェットのこと呼びにきました。エシェットにお話聞きたいんだって。あと、王様じぃじの所に、レシーナ達が来ました。アースとストーンも一緒だよ。それからモス達も。みんなでお話し合いするんだって。

 お父さんはジュード達も呼んで、みんなでお部屋から出て行っちゃいました。

 早くお話し合い終わって、泥のお山の魔獣倒して、それからキミルやレシーナ達に直してもらって、早くまた冒険したいな。


      *********

 エシェット達にも来てもらい、陛下と殿下、皆で話し合いを始める。ここで話をまとめて、城の騎士団への連絡は殿下が行う事になった。エシェットやジュード達の話を、そのまま騎士団を交えての話し合いをするわけにはいかない。エシェット達の正体がバレたら大変だ。


「先程もマシロ達と話していたんだが」


 エシェットが洞窟の話をしてくれた。エシェットがユーキ達と出会った森で、昔生まれたという魔獣。自然の物に魔力が集まり、そして新たな魔獣が生まれる。我々はそんな物見たことがないが、エシェットは何回かそういう物を見たことがあるらしい。


「洞窟だけではないぞ。もともとウッドウォーカーのような木の魔獣以外に、魔力だまりに生えていた木が、我も見たことがなかった、新たな木の魔獣として誕生したり、まぁ、そういう事があるという事だ。洞窟。木、花、命ある物ならばどんな物でも魔獣にある可能性があるという事だ」


 あの泥の山も、もしかしたら山の中心に何かの魔獣がいるのかもしれない、と。

 

 だがと続けるエシェット。ずっと調べていたが、必ず感じるはずの魔力を1回も感じる事がなかったらしい。魔力を感じる場所を攻撃すれば、倒せるのではないか、早く倒してユーキがまた冒険できるようにしてやろうと、考えていたのだが。

 魔力を感じる事はなく、それどころか予測のできない泥攻撃、そして突然きえて、今度は別の間場所に、大きさを変えて現れるを繰り返す泥の山に、エシェット達も困ったと。


 一体あの泥の山は何なんだ。今のところ森から外へは出て来てはいないが、もし外に出てきて、街や村を襲いはじめたら?


 と、ここで森の魔獣達を移動させていたレシーナ達がやってきた。森を周り、全部の魔獣がいなくなった事を確認して、急いで来てくれたのだ。


「また大きい泥の山になったあと、小さな山になるを繰り返してるわ」


「今はあいつが見張っている。モス達がな」


 ………はぁ。モス達のことを陛下に伝えていない事に、今になって気づく。アース達のことは報告していたが、モスの事は泥の山のせいですっかり忘れていた。

 私は1度泥の山の話をやめモス達のことを話す。情報をくれる魔獣だ。どんな魔獣か伝えておかなければ。彼ら自身にも問題があるしな。


 私の話を聞いて吹き出す殿下と、目を輝かせる陛下。


「ユーキ君の所には本当にいろいろな魔獣が集まってくるね」


「これは今度やはりユーキに同行して、わしも冒険に行かなければ」


「自分の孫と行けばよかろう。ユーキはわしの孫じゃ」


「ユーキと行かなければ会えんじゃろが」


 陛下と父さんの話が終わらず、殿下に注意される2人。結局この話は後で事件が終結したらとまとまった。


 やっと本題に戻る。相手の存在がどんなものか分からない今、とりあえず森が1番確認しやすい場所に防衛線を張るのだが、森を囲むように、4箇所に防衛線を張る事になった。またレシーナ達も私達人に力を貸してくれると。防衛線のそれぞれの場所に、一緒に立ってくれる事になった。


「私達が作った森をあんなにして、全く嫌になっちゃうわ。あいつのせいだったら、後で全てが終わったらお仕置きしなくちゃ」


 今あいつのせいと言ったか? まだ私達に話していない、何か情報を持っているのか?

 

 どういう事か聞く。まさかこの話で、奴らの情報を得る事になるとは思わなかった。

 レシーナ達が前にいた森に、あの黒服達がいたと。レシーナは奴らの持っていた黒い闇の石からとても嫌な力を感じ、奴らからも嫌な気配がし森を汚そうとしたから、消し去ったと言うのだ。


 エイムが部屋から出て、資料を持って来た。あの黒服達の資料の一部だ。その中には、奴らが着ていた洋服や、奴らが所持していたもの、それ以外にもいろいろと奴らの事が書かれている。

 それをレシーナに見せれば、レシーナはすぐに反応してきた。


「この服よ。私達の森に来た人間が着ていた服は。それにこの石! 私が見た物はもう少し大きい物1つと、小さい石が複数ね。それから…」


 森に来た黒服の人間は確かに、あの黒服達の仲間のようだ。ユーキが拐われた時に連れて行かれた建物。あれと同じような建物を1日で完成させ、初めは10人の黒服達が来たらしい。

 だが次の日には黒服達は4人に減り、その残った黒服達が、地面に闇の石を埋め出した。その途端大地から嫌な魔力を感じ、レシーナ達はこれを森にとって、害にしかならないと判断。すぐに埋められていた石を回収し破壊した後、残っていた黒服4人全員を消し去った。


 そのあと建物を破壊し、他の黒服が来ないか監視したのだが、1度1人の黒服が現れて以降、奴らは現れなかった。こちらに森を作り生活を始めてからも、向こうの森に残った魔獣達と連絡を取り合い、黒服達がまた現れないか確認をしている。


「はぁ、これは私のミス。モス達が、黒服達が持ってきた、小さい方の闇の魔力石を1個隠し持っていたのよ。冒険者が楽しめるようにって、その魔力石にモスが魔力を流して、魔獣を召喚してたのよ」


「何だと!」


 これには流石に皆溜め息をついた。まさかわざと魔獣を溢れさせていたとは。レシーナによれば、もしかしたらその召喚された魔獣の中に、あの泥の山の魔獣がいて、それが暴走してしまったのではという事だった。


 話を聞けば、その可能性は高い。もし違うとしても、モス達には後で話を聞き、今後の事を話し合わなければ。

 それにあっているにしろ、間違っているにしろ、今事が起きていることは事実。なんとか対処しなければ。


 話をまとめ、殿下がお城側を、私は反対の方へ、冒険者ギルドの方は左右を防衛する事になった。連絡はレシーナ達がしてくれる。

 すぐに行動開始だ。支度し準備を整えたら、くろにゃんに送ってもらおう。準備の間、オリバー達も連れてきて貰わなければ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る