第322話大きなお山、小さなお山

「おりょ? おやまなくなっちゃ」


「どこ行ったんだ?」


「エシェット、上から見てきてよ」


 リュカ達に言われて、エシェットやレシーナ達がお屋根に上ります。僕はいつでも動けるようにって、お父さんがマシロに僕を乗っけました。

 あのね、馬車壊れちゃったの。車輪が1つ割れちゃったんだ。だから馬車斜めだったんだね。馬車を引いてくれるお馬さんはお怪我してなかったから良かったぁ。


 お父さんが馬車見て、ドアも車輪も壁もヒビが入っちゃってるから、直さないといけないけど、今はそんな暇ないって。

 道の所に壊れた馬車があるとお邪魔だからどこかに運ばないと、って言ったら、ルトブルが片手で馬車持ち上げて、ポンッてちょっと遠くの方に投げちゃいました。


「これで良いだろう。どうせ壊れているんだ」


「ちゃんと聞いてたか? 直さないとって。はぁ」


 お父さんが御者さんに何かお話して、御者さんはどこかに行っちゃいました。お馬さんは近くにいた騎士さんがどこかに連れて行っちゃったよ。


 お屋根で森を見てたエシェット達が戻ってきました。


「森の半分が枯れてしまっている。それにさっきの山は完全に今は姿が見えない」


「見えないって、消えたってことか? あれだけ大きかったんだぞ」


 御者さんとお話してたお父さんが戻ってきて、エシェット達とお話します。

 

 お山全部なくなっちゃったんだって。少しもないんだよ。それから大人の森の木や花が半分枯れちゃいました。魔獣大丈夫かな? だって子供の森にいた魔獣は別の森に逃げたけど、大人の方の森の魔獣はまだ森にいるんでしょう? それにアース達が住んでる所も大丈夫かな。お家壊れてないかな?


 お父さんがマシロ達に確認します。あの泥のお山は魔獣かって。ウニョウニョ動いてたもん。魔獣だよ。

 でもマシロ達もみんな変なお顔。魔力を感じないから違うかもしれないし、もしかしたら魔獣かもしれないし。良く分かんないって。

 エシェット達みたいに結界を張って、魔力隠してるかもしれないってお母さんが言ったら、エシェットが確かめてくるって、レシーナと森の方に行って、結界張ってあるか確認してくるって。

 

 あっ! 僕気がつきました。レシーナさっき魔法使えなかったって言ったでしょう。ジュードみたいに、魔力無くしちゃう魔法使ったのかも。だからエシェット達と一緒にピュイちゃんもついて行ってあげてって、ピュイちゃんにお願いしました。だってピュイちゃんがいると魔法使えます。


「ピュイちゃんおねがいでしゅ。まほうちゅかえるようにいっちょ、いっちぇあげて」


『うん! ピュイちゃん一緒行くなの! それですぐに帰ってきて、またユーキの頭にのっかるのぉ!』


 エシェット達がレシーナの魔法で、木の中に入って行きます。だんだんと近くに行って、どこまで魔法が使えるかも確認するんだって。行ってらっしゃい! お怪我しないで早く帰ってきてね。


 エシェット達が居なくなって、お父さん達が荷物乗せてた方の荷馬車から、荷物を出します。荷馬車は壊れてないけど、これは他の人達にわたすの。他の人達の馬車も壊れちゃってて、馬車に乗れなくなっちゃった人がいるから、この荷馬車で帰ってもらうんだって。僕達はくろにゃんやモリオンがいるから、エシェット達が帰ってきたら、みんなで魔法でお城に帰るんだよ。


 荷物を全部出して、それから荷馬車を渡して、その間僕はマシロに乗っかって、お屋根の上に行きました。

 森が半分とちょっと茶色くなってます。エシェット達が言った通り、枯れちゃってました。後でレシーナ達が直してくれるよね。キミルにもお願いして直してもらおう。

 もう! 森をこんなにしちゃって、ダメダメな魔獣だね。みんなの森なんだから、ちゃんと大切にしないとダメなんだよ。


『どこ行ったのかな? 大きかったねぇ』


「おやまさんのまじゅう、いるんでしゅね」


 暴れる魔獣のお友達かな。でも何で木とかお花とか枯れしちゃうのかな?


 エシェット達がなかなか帰ってこないで、お父さん達も帰る準備まだしてます。僕は茶色くなっちゃった森見て、ちょとしょんぼり。せっかくレシーナ達が森作ってくれたのに。


 ん? あれ? 

 あそこの場所、ちょっと茶色が濃い。あっ、あっちはちょっと青い光が出てる感じ。ちょっとずつ色が違うのに気づいて、マシロにお話しようとした時、また地面が揺れました。今度はちょっとだけ揺れたの。

 そうしたら濃い茶色の所と、青く光ってる所がもりもりもりってなって、今度は小さなお山さんが何個もできました。

 揺れるのが止まって、またまた揺れて、小さいお山さんがすぅって消えます。消えた後は今度は別の場所に、濃い茶色と青く光ってる場所ができました。


 その後も少し揺れて、小さいお山がたくさんできて消えて、ちょっと大きく揺れて、ちょっと大きいお山ができて消えて、そのたんびに濃い茶色と青く光ってる場所が変わりました。変なのぉ。


 ぴゅっ! 僕達の後ろから風が吹いて、エシェット達が帰って来ました。みんなでお父さん達の所に戻ります。お父さん達も用意終わったみたい。


「エシェット、レシーナどうだった?」


「どうも何も、とりあえずピュイが居れば何とか魔法は使えるようだ」


 良かった。魔法使えるって。ピュイちゃん凄いね。みんなでピュイちゃん拍手したら、ピュイちゃんが飛び回った後、エシェットの頭の上でお羽広げて、やった! のポーズです。

 

 それからエシェット達の前でお山ができたんだって。やっぱり泥のお山で、泥の攻撃してきました。エシェット達はサッと避けて攻撃したの。でも泥のお山の中に入って行っちゃって消えちゃったんだって。その後すぐにお山消えちゃいました。次にどこのお山ができるか分からないから、あっちに行ったり、そっちに行ったり、大変だったって言いました。


「それにいまいち、あれが魔獣かそれ以外の物なのか分からん。やっぱり魔力は感じんし、生き物独特の気配が感じられない」


「ではあの山は一体。だが、このままこの街に止まるのはまずいと言うことだけは分かるな。オリビア」


 お父さんは街からみんなが出て誰も居なくなったら、くろにゃんでお城に帰ってくるって言いました。ハロルド達もお父さんと一緒に帰るの。僕達は先にモリオンの魔法でお城に戻りなさいって。


「それから父さん、陛下に森が見えるここから少し離れた位置に、緊急の防衛基地をつくると伝えておいてくれ。私が帰ったらすぐに動けるように」


「分かった」


「さぁ、ユーキちゃん、ちゃんとカバン持って、お城に帰りましょうね」


「はい!!」


 うさぎさんのカバン持って、マシロにもう1回乗って、他の人達がモリオンの魔法見ないように、お宿の裏の方に行きます。

 モリオンが黒い丸出して、最初にお兄ちゃん達が中に入りました。


「とうしゃん、しゅぐかえる?」


「ああ、すぐに帰るぞ。もう少しでみんなこの街から出るからな。そうしたらお父さんもすぐに帰るから、ユーキはお城で、お母さんの言うこと聞いて、大人しく待っているんだぞ」


 う~ん、でも僕心配。僕はディルにお父さんと一緒にいてってお願いしました。ディルがいればお怪我しても大丈夫。ディルが分かったって言って、お父さんのお肩に飛んで行って乗っかります。エシェットもお父さん達が帰るまで、レシーナと森見ててくれるって。うん、これで大丈夫。


 お父さん達にバイバイして僕達は黒い丸に入りました。お目々開けたら、お城で僕達がお泊りしてるお部屋に到着です。

 お母さんとじぃじは、お兄ちゃん達とお部屋に居なさいって言って、すぐにお部屋から出て行っちゃいました。ばぁばはばぁばが泊まってるお部屋に戻って準備があるからって、お部屋から出て行っちゃったの。


「ユーキ。もしかするとお家に帰るかもしれないから、僕達もお部屋お片付けしようか。ユーキは大切なおもちゃやぬいぐるみ、モリオンにしまってもらおう」


「うん!」


 モリオンにお願いして、僕達のおもちゃとかお菓子とか、ぬいぐるみとかしまって貰います。うさぎさんとルーリアのぬいぐるみもちゃんとね。

 持ってきたおもちゃしまっちゃっても大丈夫。お城でサルバドールさんが貸してくれたおもちゃがあるから。ちゃんと遊べるよ。


 お片付け終わって、アシェルが僕達にお昼のご飯用意してくれてる時、お父さん達が帰ってきました。

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