第321話泥の大きなお山ができました

「う? なんかへん? エシェットだっこちて、おやねのって」


 朝起きて、朝のご飯みんなで食べて、アシェルが馬車が来たって言ったから、お外に出ました。ちょっとの間森見られないから、じぃ~って僕見てたの。


 いろんな所、ちょっとずつ茶色になっちゃってるけど、あれは木やお花が枯れちゃってるんだって。暴れる魔獣がいなくなったら、レシーナ達がキミルみたいに、治してくれるって言ってました。


 う~ん、やっぱりなんか変。何が変なのかな。僕がう~んう~ん言ってたら、マシロがどうしたんだって聞いてきました。


「主、何をそんなにうんうん言っているんだ?」


「なんかぁ、もりがへんなの。でもよくわかんない」


 良く分かんないけど変なの。僕がそう言ったら、マシロもエシェット達もみんなが森を見ます。それで枯れてる以外は、いつもと変わらないって言いました。

 だって本当に変なんだよ。もう1回森を良く見たけど、僕マシロ達にちゃんとお話できませんでした。


 下からお父さんの、もうすぐ出発だぞ、ってお声が聞こえて、ルトブル達が先に下りて、僕とマシロとエシェットが最後に下ります。エシェットが下を見てマシロも飛ぼうとした時でした。


 ずずずっ………


 あっ! 今何か動いたよ。あの枯れてる所!

 僕はマシロとエシェットを止めて、今何かが動いた所指差しました。2人がその場所見ます。


「主、何も動いていないぞ」


「ユーキの間違いだな」


 え~!! 僕間違ってないよっ! 本当に動いたんだよ。2人に一生懸命お話したけど、今動いてないだろって。今は動いてないけどさっきは動いてたの!! 僕プンプンです。


 今度は下からお母さんが呼ぶ声が聞こえました。


「主、オリビアが呼んでいる。出発の時間だ」


 もうちょっと待って! きっとまた動くから。マシロ達は下に下りようとしたけど、僕はダメって言いました。エシェットが溜め息はいて、マシロがお母さん達に待っててって伝えに行ってくれました。


「ちょっとだぞ。あまり遅いと我がブツブツ文句を言われる」


「うん!」


 それからもさっき何かが動いた所をじぃ~っと見ます。

 う~ん、でも全然動きません。エシェットが本当にもう行くぞって。マシロも僕を迎えに来ました。僕間違っちゃった? ちょっとしょんぼりです。最後にみんなでもう1度森を見ます。

 

「さあ、今度こそ下に………!!」


「あっ! うごいたでしゅ! ふわわ、向こうもうごいた!」

 

「おいエシェット!」


「ああ! ユーキの言った通りだったな」


 いろいろな所で、森が動いてるみたい。茶色いのがウニョウニョ動いてるの。すぐに下に下りて、マシロがお父さんにウニョウニョのことお話します。お父さんもみんなもびっくりしたお顔した後、僕はお兄ちゃん達と馬車に乗って、お父さん達はギルドに走って行きます。お母さんも馬車に乗る前に、お店の人とか、まだ街にいる人に注意しに行って、ディル達はウニョウニョ見に行くってお屋根に行っちゃいました。エシェット達ももう1度ウニョウニョ見てくるってお屋根に。


 少ししてディル達が戻ってきて、お父さんとお母さんも戻ってきました。お父さんがエシェット達にあのウニョウニョのこと聞きます。でもエシェットもマシロもみんな見たことがないって言いました。それからおかしいって。


 僕達もお父さん達もマシロ達もみんな、魔力を持ってるでしょう? 生き物はみんな魔力があるの。でもマシロ達がウニョウニョ調べたら、魔力が全然ないんだって。

 お父さん達がマシロにお屋根に連れて行ってくれってお願いして、お父さん達もウニョウニョ見に行きます。

 僕とディル達はあのウニョウニョがどんな魔獣かお話し合いです。


 僕とシルフィーは泥の魔獣だと思うの。ディルとリュカは泥じゃなくてもっとサラサラしてる砂じゃないって。キミルとモリオンはお水の魔獣で、歩いてるうちに土と混ざってドロドロになったって言いました。ホプリンとピュイちゃんは枯れた葉っぱが魔獣に変身して、みんなで一緒に動いてるって。

 う~ん、どれが当たってるかな? 


 その時、馬車がガタガタゆらゆら、凄く揺れました。僕はお椅子から落ちそうになってマシロがお洋服咥えて、馬車はガタガタ。僕はゆらゆら。

 やっと揺れるのが止まって、お兄ちゃん達が窓からお外見ました。


「な、なにあれ!?」


「泥の山!?」


 何々? 僕も見たい! お兄ちゃん達なに見てるの? 

 お兄ちゃんに見せてって言おうとしたら、また馬車がガタガタです。今度はさっきよりもガタガタなの。またマシロが咥えてくれるけど、馬車がね。


「きゃあぁぁぁぁぁ!!」


「主!!」


「「「助けてぇ~!!」」」


『わあぁぁぁ!!』


『あぶないなのぉ!』


 お目々開けたら、僕達の上に馬車の窓が見えました。馬車がね横に倒れちゃったんだよ。そしたら今度はガタガタしてないけど、馬車がまた横に動いたの。またみんなで叫びます。

 横だった馬車が元に戻って、でもちょっと斜め。それから馬車のドアがガタンッ! 外れちゃいました。ジュード達が中を覗いてきます。


「大丈夫か?」


 ジュードが馬車を戻してくれたんだって。ちょっと斜めってるけどありがとう。

 ジュード達の後にお父さんが中を覗いてきて、僕達に馬車から下りなさいって言いました。最初にディル達が下りて、次に僕をお父さんが抱っこして下ろしてくれます。最後がお兄ちゃん達ね。


 僕下りてからすぐに、さっきお兄ちゃん達が見てた方見ます。そしたら森の所に、茶色い泥?の、大きなお山ができてました。


「おやま! とうしゃんおやまできちゃから、ガタガタぐらぐらちた?」


「確かに山ができて揺れたんだが」


 その時また地面が揺れたの。今度はちょっとだけね。でも僕ビックリです。泥のお山がグネグネって動いたんだよ。ディル達もみんなびっくりです。動くお山があるんだね。あっ、もしかして。ルトブルは大きいカメさん魔獣になると、背中にいっぱい木が生えてて、林みたいに見えるでしょう? あの泥のお山の下にも、もしかしたら魔獣がいて、山が動いてるのかもしてない。


 ルトブルにあのお山の下に魔獣がいるか聞きました。でもルトブルもマシロ達も、分からないって。魔力を感じないんだって。

 え~、でもグネグネ動いてるよ。あっ、ほら今はちょっとひらべったいお山になったし、さっきはとんがってる三角みたいだったし。動いてるから魔獣でしょう?


「良かった。まだここまでは来てなくて」


 レシーナ達が急に現れました。アース達も一緒だよ。モス達はいなかったけど、ここには僕たちの他にもたくさん人がいるからダメだもんね。

 レシーナ達の所にみんなで集まります。


「ふぅ、ここは魔法も使えるし。間に合って良かったわ」


「魔法が使える? どういう事だ」


 マシロ達がレシーナに聞きます。


 レシーナ達、森の入り口の近くにいたんだって。それで今日も暴れてる魔獣がいないか探そうと思ってたら森がとっても揺れて。そしたらあの泥のお山がグググググって大きくなって、大人の森の方いっぱい壊しちゃったんだって。子供の森の方は大丈夫だったけど。


 レシーナ達、あのお山が動いてたから、やっぱり魔獣だと思って調べようとしました。魔法を使って、エシェット達みたいに魔力を調べようとして。でも魔法が全然使えません。いろいろな魔法使ってみたけど、全部ダメだったの。

 

 魔法使えなくて、どうやって調べようかお話し合いしようとしたら、泥のお山がもっと大きくなりました。魔法使えなくて、いつもみたいに自由に移動できなくて、レシーナ達走って、森から離れました。それで泥のお山からたくさん離れたら、急に魔法が使えるようになって、今僕達の所に来たの。


 魔法使えない? この前ジュード達と戦ってた時みたい。僕がジュード達の方見たら、みんなジュード達の方見てました。


「私と同じ魔力阻害の魔法が使える魔獣? 私はずっと海にいたからな。陸の魔獣の事までは分からん。だが、私が使えたのだから、そういう魔獣が他にいてもおかしくないだろう」


「その前にアレはそもそも魔獣なのか? 我はまったく魔力を感じん。マシロ達もそうだろう?」


 マシロやルトブルが頷きます。


 その時でした。今までで1番地面が揺れました。僕はお父さんにお目々つぶって しがみつきます。なかなか揺れるの終わらなくて、僕ずっとお目々つぶってたよ。

 それでお目々開けたら、大きな泥のお山無くなってました。

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