第320話新しいお友達。クス、タス、モス
「かえっちゃった?」
「ええ、危ないから。でも魔獣が突然現れなくなったら、またすぐにみんな帰ってくるわ。それにアースとストーンは森に残ってるから、遊びに来てくれるわ」
今日もレシーナ達が、お父さんとお話しに来ました。あのね、子供の森の方にいた魔獣達、前に住んでた森に帰っちゃったんだって。弱い魔獣ばっかりだから、もし隣の大人の森から、強い魔獣達が来たらお怪我しちゃうかもしれないでしょう? だからお怪我しないように危なく無い森に帰っちゃったの。お魚さんとかモグラさんとかみんな。
う~ん、お怪我はダメだよね。また早くみんなに会いたいなぁ。
お父さん達がお話してる時、レシーナ達とマシロ達が、ガバッって窓の方に近づきました。僕もみんなの間にお顔入れてお外見ようとします。
「む~、みえないでしゅう」
「おい、なぜアレがここに居る?」
「アースやストーン、まさか連れて来ちゃったの? もう見つかったら大変じゃない。多分ユーキに会いたくて来たんだわ」
アースやストーンが遊びに来てくれたの? じゃあ僕遊びに行ってくるよ。僕はお外で履くお靴を履いて、アース達の所に行こうとしました。でもマシロが僕のお洋服咥えて止めたの。アース達街に来てるんじゃないんだって。この前僕達が森でアースに初めて会った場所に居るんだって。え~、じゃあ遊びに行けない。だって森に入っちゃダメなんだよ。
レシーナがどうしてそこに居るのかお話聞きに行ってくれます。いつもみたいに街に来てくれたらすぐに遊べるのに。
少ししてレシーナがちょっとだけ怒りながら戻ってきました。それで少しだけで良いから森に来て欲しいって。お父さんが危ないからダメって言ったけど、このままだと面倒な事になるって言いました。面倒ってなんだろうね?
「私もすぐ側にいて、もし魔獣が現れたら私の命に変えてもユーキをここに返すし、くろにゃん達も居るから逃げられるでしょう? お願いよ」
「だいたいなぜアース達はここへ来ないんだ?」
「ユーキとお友達になりたいっていう子が一緒なのよ。でもその子は街には来れないの。少しでも話ができたら帰るって言ってるし」
「おいウイリアム。我らも一緒だ。すぐに帰ってくるから我からも頼む。我はあ奴に今回のことで聞きたい事があるのだ。お前達にも良い情報が聞けるかもしれない。そのためにもここは奴の願いを叶えた方が、スムーズに話が進むだろう」
お父さんとじぃじが2人で内緒のお話して、それですぐに帰るお約束して、みんなで森に行きます。
あっ、アース達にプレゼント持って行かなくちゃ! おじさんが可愛いリボンつけてくれたやつ。僕もお揃い。アース達喜んでくれるかなぁ。
くろにゃんが黒い丸を出して、みんなで潜ると、この前の森の所に到着! 目の前にはアースとストーンが小さいドラゴンと小さいヘビさんの姿で待ってて、僕は2人に駆け寄ろとしました。でも、すぐに止まります。2人の後ろに誰か居る?
僕はちょっと横の方に行って、2人の後ろが見える所に。ん? ツノが見えます。ツノが見えたところでマシロがまた僕のお洋服咥えて止めました。エシェットが何もしないかって、アース達と何かお話してます。お父さん達にはレシーナが動かないでって。
「大丈夫だ。仲良くなりたいだけだからな。ユーキ、今日はまた新しい俺達の知り合いを連れて来たんだ」
「もしユーキがお友達になりたくなかったらすぐに帰るから、会うだけ会ってくれ」
お友達? 僕お友達たくさん嬉しいよ。マシロが離してくれて嬉しくてジャンプです。2人の後ろからガサッガサッって足音がして、2人の後ろから大きな魔獣が出てきました。
出てきた魔獣見て、お父さん達は動かなくなっちゃいました。レシーナはお父さん達に攻撃しないから安心してって。それから大人しい子とちょっとツンってしてる子と、それからちょっと煩い子だって。
僕の前に出てきた魔獣は、ライオンみたいな体に頭が3個ついてました。えっとヤギさんみたいな頭の魔獣と、蛇さんとドラゴンさんを一緒にしたみたいな魔獣と、それからライオンさんの魔獣の頭が、一緒にくっついてるの。
「おおっ~、でしゅう。あたまおもしょうでしゅ」
「こんにちは。僕の名前はクスだよ」
「私の名前はタスだ」
「で、真ん中の俺の名前はモスだ。俺達は3匹で1匹の魔獣だ。キマイラっていう魔獣で、とっても珍しいんだぞ」
「えと、ユーキでしゅ! 2しゃいでしゅ! よろちくおねがいでしゅう!!」
そっと近づいて、みんなの頭なでなでしてあげます。お体1つなのに頭が3つ、面白いね。
なでなでしてお父さん達の所に戻って、マシロが持ってきてくれたカバンの中をゴソゴソ。僕のお隣でお父さんがボソボソ何か言ってます。どうしてキマイラが居る?とか、エシェットに何で先に言わないとか、怒ったり慌てたりとっても忙しいです。
カバンの中から2人のプレゼント出して、それから何にも入ってない袋を3つ出します。それからモリオンにお菓子出して貰って袋に入れて、でも袋閉めるリボンがありません。どうしようか考えてたら、お母さんが近くにあったツルとお花摘んできて、それで袋しめてお花で可愛くしてくれました。だって2人だけプレゼントはダメダメです。
「えと、ぷれじぇんとでしゅ!」
アースとストーンは変身して人の姿になったからプレゼント渡したんだけど、クスとタスとモスはどうしよう。3人? は人間になれないんだって。モスがしっぽ出してきて、僕が袋3つ出したら、3つともうまく掴んで持ちました。みんなありがとうしてくれたよ。
それでね、みんなとお話したら、アースとストーンはいつでも僕と遊べるけど、モス達は遊べないんだって。アース達みたいに変身できないから街に来れないでしょう?
それから、モス達と会う時は、今日みたいに他に人がいない時だけ。アースとストーンはもう少したったら小さい子と遊べるけど、モス達はみんなと遊べないの。みんなアースもストーンも強い魔獣だから怖いけど、でもモス達はもっと怖いんだって。
何で? みんな優しいし、プレゼントもくれるし、いっぱい遊んでくれるのにね。変なの。
「そういう考えしてるのは、きっとユーキだけだよ」
「な、普通だったら気絶してるんじゃないか。なぁ、俺、ちょっと触ってみてもいいか」
お兄ちゃん達が僕達の所に近寄って来て、モス達の体なでなでして、それが終わったら、今日はもう危ないから帰る時間。お約束だもんね。
みんなで暴れる魔獣達が居なくなったら遊ぼうってお約束して、バイバイしてお宿に帰りました。レシーナはモス達にお話があるから残るって。
夜はお宿でご飯。でもいつもよりご飯食べる所に人があんまりいません。みんな帰っちゃったの。僕も明日お城に1度帰るんだって。大丈夫になったらまたここに来るの。
お父さんとじぃじとばぁばとハロルド達はここに居て、僕とディル達とお母さんとお兄ちゃん達、それからアシェルはお城に帰ります。
早く冒険できると良いなぁ。
*********
「あなた達ときたら、やっぱりそうだったのね。今すぐアレを出しなさい!」
結局ユーキ達が帰った後、レシーナ達と話をした俺達は、アレの事がバレてしまい、もの凄い勢いで怒られる事になった。クスがオドオドするからだぞ。
まぁ、もうバレてしまったならしょうがない。楽しかったのも終わりだ。これからは普通に人間との戦闘を楽しむとしよう。
アレをとりに俺達の縄張りに移動する。アースとストーンまで付いてきた。
「アレがどんなに悪い物か、あなた達だって分かっているでしょう。すぐに始末しないと。それにしてもあの石にそんな力があったなんて。あの男達はただただ魔法を使おうとしていただけなのに」
縄張りにつき、隠してあった寝床の下のワラをどかす。………おかしい、昨日ここにしまったのに。どこに行った?
あちこち探すが、どこにも見当たらない。レシーナとアース達が俺達の様子に気づき近寄ってくる。
「どうしたんだ?」
「いや、ここにしまった筈なのに無いんだ。周りを見ても見当たらない」
「何だって? 本当に無いのか?」
アースとストーンも一緒に探し始める。が、どうしても見つからない。レシーナも慌てて、キャロライン達も呼び、みんなで探したが、結局アレは見つからなかった。
「大変、森に残ってる子達にも探すのを手伝ってもらうわ。あなた達、これが全て解決したら少しの間、前の森に戻って、静かにおとなしく反省してもらうわよ」
まったくと言いながらレシーナ達が応援を呼びに消えて行った。アースとストーンはこのまま、この周辺を探すと言い、俺達には心当たりを探せと言ってきた。
皆で手分けしてアレを探す。一体どこに行ったんだ?
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