第319話応援。そして…

 僕いつも冒険して帰る時寝ちゃうの。それで起きるの夜中なんだけど、今日はお宿についてからすぐに起きたんだよ。それでお父さん達のこと応援するの思い出して、みんなですぐに応援です。

 リュカがピュイちゃんに応援のやり方教えてくれて、ピュイちゃんも頑張って応援です。ピュイちゃん今まではなんとなく応援してて、だからちゃんと応援のやり方教えて欲しかったんだって。


『頑張れなのぉ!!』


「そうそう、それをみんなでやるからね。せーのっ!」


「「頑張れっ!!」」


『頑張!』


『頑張れなのぉ!!』


 いっぱい応援してお腹空いちゃったから、ちょっとだけ休憩。夜のご飯食べてからもう1回応援しました。


「がんばれ、でしゅう…」


「さすがに、かな。ユーキが頑張って応援してくれたから、きっと父さん達すぐに帰ってくるよ。明日元気に遊べなくなっちゃうといけないから、そろそろ寝よう」


 お兄ちゃんと一緒にベッドに入ります。

 魔獣全部倒したかな? お怪我してないかな。エシェット大丈夫って言ってたよね。いろいろ考えてたらすぐに寝ちゃいました。


 次の日起きたらお父さん達帰ってきてました。みんなお怪我してないし、暴れる魔獣ももういないから大丈夫だって。良かったぁ。でも少しの間、森に入れなくなっちゃったんだ。強い冒険者さんは入れるんだけど、僕達小さい子はダメなの。また暴れる魔獣が出てくるといけないから、ギルドマスターが良いよって言うまで、僕達は森に入れません。


 それからギルドにも大人の人しか行けないの。昨日の事、みんなでお話し合いしてるんだって。とっても大切なお話し合いだから、僕達お邪魔しちゃダメダメです。くろにゃんが昨日摘んだお花枯れないように、闇にしまって置いてくれるって。キミルがお花元気にしちゃうと枯れなくて、ギルドのお兄さん達がびっくりしちゃうからダメなの。


 お部屋でお昼食べてる時でした。レシーナがお部屋に現れて、暴れた魔獣のお話しにきたって言いました。


「あれは私が森で会ったことのない子達よ。全員ね」


 レシーナが森作った時に、別の森にいた魔獣が、こっちの森にお引越しして来たんだって。みんなレシーナが知ってる魔獣なの。それでレシーナが昨日暴れた魔獣調べたら、一緒にお引越しして来た魔獣じゃなかったんだって。

 エシェットがこの前も突然現れて、昨日も突然現れたって言いました。この前のお兄ちゃん達がボロボロになっちゃった時。あの時の魔獣も、昨日の魔獣みたいに急に出てきて、お兄ちゃん達ボロボロになりました。


「ええ、この頃急に魔獣が現れたりするからおかしいと思って、私も調べてたのよ。分かった事は、魔獣が現れた所は、花も木も全部が枯れちゃってるって事。まぁ、それ以外の所もちらほら枯れている所があったけど」


「それは我も確認した。が、魔獣の反応が何も残っていなかったぞ」


「魔獣が現れた場所の近くにいた魔獣にも確認したのよ。急に魔獣が湧いて来た事以外、枯れた事については何も見ていないの」


「そういえば、あいつの匂いを感じたが?」


「勿論私も気づいたわよ。だから彼らにも話を聞きにいったわ。でも何も知らないって。たまたま通りかかっただけって言ってたのよ。(クスは何か知ってるみたいだったけれど)」


 お話し合いするお父さん達。僕が良く分かんないお話もするから、だんだん飽きて来ちゃいました。お父さんがお店見てきて良いって言ったから、マシロ達とお兄ちゃん達と一緒に遊びに行きます。


 お外に出たら、いつも森に行く人達がいっぱいなのに、今日は森と反対の方に行く人達がいっぱいです。冒険できないし、魔獣が来ちゃうかもしれないから、お家に帰る人がいっぱいなんだって。あと、これから王様じぃじの騎士さん達が、ここに来るってお母さんが言ってました。森を調べに来るの。サルバドールさんとシャーナも来ます。


 最初にお菓子を売ってるお店に行きました。この前は女のうさぎ獣人さんがお菓子売ってたんだけど、今日はとっても体が大きくて、眉毛のところに傷がある男のうさぎ獣人さんが、お菓子売ってました。それに、お店の中に大きな剣が置いてあります。


「こんにちわでしゅう!」


「らっしゃい。ずいぶんと大人数で来たな。お前達は帰らないのか? 暴れる魔獣が街に来るかもしれないんだぞ。怖くないのか?」


「ん? まじゅうはマシロたちがたおちてくれるでしゅよ。しょれにしじゅかになったら、おともだちになれるかもでしゅ」


「マシロ? お友達?」


「ち、父が今指揮をとっているんです。さぁ、ユーキお菓子選ぼうね(余計な事言わないうちにお店出よう)」


 今日はアースもストーンも遊びに来てくれません。今度は遊びに来てくれたとき、この前プレゼント貰ったから、今度は僕がプレゼントあげよう。2人ともお菓子何が好きかなぁ。アースはお野菜が好きで、ストーンは辛い木の実が好き。アースはお野菜のクッキーで、ストーンは辛いお煎餅にしよう!

 

 袋に少しずつ入れて貰って、プレゼントっておじさんに言ったら、可愛いリボンつけてくれました。モコモコで可愛いリボンです。良いなぁ、僕も欲しいなぁ。お兄ちゃんがリボン欲しいのって、うんって言ったら、僕が冒険頑張ってるから、お兄ちゃん達が僕にお菓子頑張ったプレゼントしてくれるって。


「ありがとでしゅう!!」


 僕が欲しいって言ったクッキーの入ってる袋にも、おじさんがリボン付けてくれます。おじさんにもありがとうしてお店から出ました。


 サンドウィッチ売ってるお店に行ったり、お洋服売ってるお店に行ったり。魔力石と武器を売ってるお店はとっても混んでました。魔獣が来るといけないから、みんな準備してます。


 夕方になったからお宿に帰ったら、レシーナもう帰っちゃってました。また森を調べに行ったの。みんなで夜のご飯食べて、お父さんたちはギルドにお仕事に行って、僕達はお部屋で遊んで、それからおやすみなさいです。

 早くまた冒険に行けるといいなぁ。まだお芋さん探してないもんね。


      *********


「いや参ったな。あんなに出てくるとは。まぁ、人間も久しぶりのなかなかの魔獣、戦えて良かっただろう」


 俺がそう言えば、クスがプンプン怒りながら、珍しく俺に突っかかってきた。


「良かったじゃないよ! 僕達の方にも来たじゃん!」


 クスがそう文句を言い、次はタスが、


「おい、私の毛が汚れたんだが? この美しい毛並みを汚すなどあり得ない」


 と、文句を言ってくる。まったくつまらない奴らだ。これだけ盛り上がっているのは何10年振り、いや、何100年振りだと思っている。俺は楽しくてしょうがないぞ。皆で今日狩ってきた魔獣を食べながら、俺は自然とニヤついてします。

 ちなみに今日の獲物は、溢れ出てきた魔獣の1匹を狩ってきたものだ。キラーアントの変異種で、ただのキラーアントとは違い、体も大きいし身が詰まっていてとても美味しい。足にまで身が入っている。文句を言っていたクスもタスも、これには文句を言ってこなかった。美味しかったんだろう。


 食べ終わるとすぐにクスは眠りについた。それを確認すると、タスがクスを起こさないように小さな声で話しかけてくる。


「おそらくレシーナは感づいているぞ。私達が関係していると」


 分かっている。レシーナ達が話を聞きに来た時のクスの様子といったら。かなり挙動不審だったからな。おそらく明日にでもまた話を聞きにくるだろう。しかし、アレはまだ見つかっていない。まだもう少し遊べるはずだ。ここは少し大人しくして、皆が落ち着いた頃また使う方が良いだろう。


「クスじゃないが、異変が起きているのは確かだ。気をつけるに越したことは無い。せっかくレシーナ達が、こんなに素晴らしい森を作ってくれたのだ。それを壊すような事があってはいけない」


 それも分かっている。明日は俺達の魔力も使って貰って、枯れた場所を元通りにしてもらおう。


 しかしなぜ枯れた? 溢れ出た魔獣達は、森を枯らすなどそういったことはしていない。隠れて見ていたからそれは分かっている。また、暴れる魔獣達を追い、その後の事は分からないが…。

 とりあえず少し大人しくする事にしたからな、明日はあの子供の所へ行ってみるか。






 ずずっ…ずずずずずっ…ずずずっ…

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