第315話新しいお友達。バジリスクのストーン

「洞窟の中でこんなに堂々とご飯を食べるってどうなんだ」


「ほらあなた、スープよ」


「おいちいね」


 今日のお昼はスープとお肉とパンです。たくさん持ってきたからアースも一緒にお昼ご飯。アースもとっても美味しいって。アースはねスープが好きって言いました。スープに入ってるお野菜が好きなんだって。え~、お野菜? 何でみんなお野菜好きなの?


「俺はいつも肉ばっかり食べてるからな。野菜などほとんど食べない。食べたとしてもそのままだからな。こんなに美味しい野菜は初めてだ。」


 お肉ばっかり? 僕それが良いなぁ。あっ、でも、僕が釣ったお魚さんもとっても美味しいんだよ。くろにゃんが持ってくれてるやつ、今度お外で焼いて一緒に食べようね。

 僕のスープのお野菜は…ちょっとだけ、ちょっとだけキミルにあげよう。僕はキミルのお椀にスープのお野菜ちょっとだけ入れました。


「ユーキ、ちゃんと野菜も食べなさい」


「でもいつもよりはあげてないわね。良いユーキちゃん、それだけはユーキちゃんがきちんと食べるのよ。そうしたら今日舐めていい大きい棒のついてる飴を2つにしてあげるわ」


 よし! 頑張って食べるよ。棒のついてるアメはいつも1つなの。でも頑張って食べたら2つ食べて良いって。お宿に帰ったら食べるんだ。


 先に頑張ってお野菜スープ食べて、それからお肉とパン食べてお腹いっぱい。僕が食べ終わるまでに、アースがスープの作り方お母さんに聞いてました。ドラゴンなのにご飯作るの?

 聞いたら前に仲良しだった冒険者さんに、お魚の焼き方とか、お肉の焼き方とか、教えてもらったんだって。それから味付けるのは、木の実とかしょっぱいお水使って、味つけるんだって。毎日作らないけど時々作るの。凄いねアース。


 ご飯食べ終わって、ちょっとだけ休憩して、お友達の所に出発です。友達の所に行くまでに、洞窟の中に木が生えてて、この木は洞窟にしか生えない木で、黒い木の実がついてました。これはこれから会うお友達が大好きな木の実なんだって。プレゼントに持って行ってあげる事にしました。ルトブルが肩車してくれて僕が木の実採ります。

 アースに美味しいか聞いたら、辛いって言いました。甘くないんだって。そんな木の実が好きなの? 僕は要らないや。


 木の実を採って、またどんどん奥に進みます。アースが着いたって言ったけど、暗くて何にも見えません。もう少しだったら明るくして良いってアースが。だからリュカがポワッって明るく光りました。着いた所はとっても広い広場みたいな所でした。大きな岩がちょっとあって、それから小さな水たまりがいっぱい。でもお友達どこにも居ません。


「おい、気配で分かるだろう! 早く出てこないと遊ぶ時間がなくなるぞ!」


 アースが叫びました。そしたら洞窟広場の向こうの方で、ズルルルルって、何かが動いてる音がしました。引きずってるみたい。僕が大きい荷物引きずる時の音と似てるの。でももっと音は大きいよ。

 ズルズル、ズルルルル。2本のキラって光る物が見えました。


「おお~! でしゅう!!」


「オレ初めて見たぞ」


「ボクも」


 みんな初めて見たって。キミルは小さい子は見た事あるって言いました。奥から来たお友達、とってもとっても大きなヘビさんでした。グルってまとまったらドラゴンエンシェントよりも大きいかも。


 僕がこんにちはしようと思ってヘビさんに近づこうとしたら、お父さんが僕のお洋服掴んで止めました。お父さんのお顔ピクピクしてびっくりなお顔してます。それから剣持とうしたんだよ。お母さんはお手手に剣と魔力石持ったんだ。どうしたのかな?


「おい、アレは大丈夫なのか。これ以上近づいて我々は殺されないか?」


「大丈夫だ。殺気は全て抑えている。今のあいつはただのでかいヘビだ」


「本当に、本当に大丈夫なんだろうな」


「ああ、問題ない。ユーキ近づいて良いぞ。挨拶だ」


 アースが良いよって。お父さんがそっと手を離してくれます。でもお父さんもお母さんも剣持ったまんまです。ま、いっかぁ。早くヘビさんとお友達になろう!

 僕がヘビさんの前まで行ったら、ヘビさんがお頭上げて、お辞儀してくれました。だから僕達もペコンってお辞儀して自己紹介です。


「はじめまちて、ユーキでしゅ! 2しゃいでしゅ! よろちくでしゅう!」


「オレはヘビの王様だ。名前はないからそうだな…ストーンと呼んでくれ」


 ヘビさんはヘビさんの王様なんだって。えっとバジリスクって言う種類のヘビさん。いつも洞窟の中にいて、時々しかお外に出ないの。お天気の日にお外に出て、お日様ぽかぽかするのが好きなんだって。雨は嫌いです。

 僕もお日様ぽかぽか大好き! ぽかぽかの所でマシロベッドごろごろが好きなの。でも雨も好きだよ。水溜りのバシャバシャできるでしょう?


 ヘビさんに触っても良いが聞いて、良いって言ってくれたから、そっとお体なでなでです。ひやぁ~ってしててツルツル、でもお腹の所はとってもあったかいです。頭はちょっとゴワゴワ。お口に大きな牙がありました。


「アースの背中に乗って遊んだと聞いたが、オレの背中にも乗っかって遊ぶか?」


「ありがちょ!」


 みんなで順番に背中に乗ります。僕が1番先頭でジュードに乗せてもらいました。みんな乗って出発です。

 うねうね、うねうね、いろんな所うねうねしてくれます。乗り物に乗ってるみたい。お家にある僕達の乗り物もずらって長いけど、ストーンの方が長くてスピードもとっても速いです。


 たくさん乗せてもらったら、持ってきたプレゼントわたします。黒い木の実出したら、ストーンが口をニッてして、大きなお口でいっぺんに全部木の実食べちゃったんだ。それで美味しかったって、お口の周りペロペロです。


 僕がプレゼントあげたから、ストーンもプレゼントくれるって。待ってろって言って奥に行っちゃいました。すぐに戻ってきたストーン。頭の上に何か乗せてます。僕の頭くらいの石乗っけてました。


「この石を割ると、中からとっても良い物が出てくるぞ。ユーキは冒険者だろう。冒険者はこういう物をよく探しているからな」


 僕1人だと割れないから、お父さんと一緒に剣で割ってみろって。お父さんと一緒にお父さんの剣を持って、石の前に立ちます。そして…えいっ!! 1回目は割れなくてもう1回えいっ!! それでも割れなくて3回目えいっ!!


 パカッ!! やっと石が割れました。中から出てきたのはオレンジ色の透明な石で、石の中に白色のお花と虫さんが入ってました。とっても綺麗です。


「はあぁぁあ〜」


 僕の後ろにいたお父さんが大きな溜め息。振り向いたらお顔押さえて首振ってました。


「きれいねぇ」


「そうだろう。オレのお気に入りだ。誰にも取られないよう石で固めていたんだが、オレはこういう物を集めるのが好きで、たくさん持ってるからな。1つユーキにプレゼントだ」


「あいがとでしゅう!」


 お母さんがタオルくれて石をふきふき。ふきふきしたら石がもっとピカピカ、キラキラになりました。マシロのカバンに入らないからくろにゃんにしまってもらいます。帰ったらお兄ちゃん達に見せなくちゃ。

 

 たくさん遊んで帰る時間です。また遊ぶお約束して、ヘビさん洞窟の奥に帰って行きました。洞窟を出たら今度はアースにサヨナラです。アースともまた遊ぶお約束。バイバイして僕はマシロに乗って帰ります。


 僕達の方がお兄ちゃん達よりも早く戻ってきました。お菓子食べながらみんなを待ってたら、やっとお兄ちゃん達戻ってきたんだけど、みんなお洋服泥んこです。それからお兄ちゃん2人はお顔や腕にたくさんお怪我してました。

 僕慌ててディルに治してもらおうと思ったら、ここじゃダメだってお父さんに言われて、みんなが待ってる馬車に乗る列に並びます。

 やっと僕達が乗る番になって、今日は僕達家族しか馬車に乗ってないから、ここでディルにお願いして、2人のお怪我治してもらいました。


「一体何があったんだ」


「いやそれが、兄貴達と別れて森に入ってすぐ、依頼は簡単に済ませられたんだ。それでそのあとは少し森の奥に行って、魔獣討伐の練習をしてたんだが」


「運悪くワイルドボアの群れに遭遇してのう」


「それでジョシュア達はこの怪我か」


「いやぁ、びっくりしたよな兄さん。いきなり現れたもんな」


「気づいたらいたもんね。そっちはどうだったの? ユーキ依頼は上手にできた?」


「うん!! あとあと、どうくちゅでおともだちになっちゃの。大きなヘビさん!! おなまえはストーン」


「ユーキその話は宿に戻ってからにしような」


 お父さんがそう言って僕のお話止めました。

 この前みたいに窓からお外見ながらお宿に戻ります。

 今日の冒険もとっても楽しかったです。次の冒険も楽しいと良いなぁ。あとアースとストーンとまたいっぱい遊ぶの。

 あと、明日はギルドに行かなくちゃ。依頼書と草と石渡して、プレゼントもらうんだぁ。冒険って楽しいことばっかりだね。お友達たくさんできるし。

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