第312話ダメダメな酔っ払い
「ユーキほら着いたぞ」
お父さんが僕の体ゆらゆら揺らします。
「うにゅ~?」
「ほら宿に着いたぞ」
「………」
僕眠たいの。馬車でゆらゆらしてたら、とっても眠たくなっちゃったんだ。
「これはダメだな」
お父さんが僕抱っこしてくれて、馬車を下ります。お目々擦りながらお隣見たら、僕と同じくらいの子がお母さんに抱っこしてもらって寝てました。みんな眠いんだね。僕もこのままおやすみなさい。
「アシェルすまないが、夜中に起きてお腹が空いたと言うといけないから、その辺でご飯買ってきてくれ。オリビア、お前はどうする?」
「アシェルと一緒にアンソニー達連れて、その辺で食べてくるわ。その時あなたのご飯も買ってくるから少し待っていて」
「………」
「すうすう」
「おはよ、ごじゃいます」
「主、今は夜中だ」
マシロが僕の所に来てお顔すりすりしてくれます。僕はお部屋の中見て、それから横見て。お部屋の中は暗くて隣でお父さんとお母さんが寝てました。
あれ? 僕いつ帰って来たの? 森から帰るのに馬車に乗って、それから窓からお外見て、ゆらゆらして。
マシロに僕いつ帰ってきて、いつ寝たの? って聞いたら、僕お宿に帰ってきた時、おやすみなさいって言ってちゃんと寝たぞって。僕おやすみなさい言った?
モゾモゾ動いてたら、おしっこしたくなりました。お父さん起こしてトイレ行こう。僕お家だと時々1人でおトイレ行けるけど、お泊まりする所は汚しちゃうといけないから、お父さん達と一緒に行くの。
お父さん起こそうとしてお肩揺らすけどなかなか起きてくれません。ピュイちゃんがお顔突いたらやっと起きてくれました。
「イテテテ、どうしたユーキ?」
「おちっこ」
お部屋から出て、1階のおトイレに行きます。1階に下りて行ったら、夜中なのにたくさんの人達がお酒飲んで、大きなお声でお話してました。その中にハロルド達がいたんだよ。リュカが明日は突撃してお酒攻撃だねって。うん、そうだね。明日はハロルド達のお部屋に行って突撃だね。
おしっこ終わってトイレから出てきたら、大きな男のおじさんが、トイレの入り口でドンッてたって、僕達のことお外に出さないようにしました。お父さんが僕達の前に立って、おじさんとお話します。
「すまないがそこを通してくれ」
「うるせぇなぁ~、こんな夜中に何でガキがふらふらしてるんだ」
おじさんからとっても臭いお酒の匂いがします。ディルがこそっと酔っ払いだって教えてくれました。酔っ払って元気になっちゃってるんだって。
お父さんが何回も通してくれって言っても、おじさんは僕達の方見て、何で居るんだって大きな声でずっと怒鳴ってるの。ピュイちゃんが突撃してもいい? ってマシロに聞いたら、マシロがダメって言いました。
お父さん達はいつもお酒飲んだあとちょっと寝て、頭が痛くなったり、気持ち悪くなったりするけど、ちゃんとみんなのこと分かってるでしょう。あと、自分がどうして具合悪くなってるとか。
このおじさんは今ちょうど1番お酒が体の中にいっぱいあって、周りの事が分かんなくなってて、それから自分が1番強いって思っちゃってるから、僕達が突撃すると、とっても怒るかもしれないの。
「そういえば、オレ達がいたずらした酔っ払いも、怒ったり泣いたりする奴がいたな」
「いつも仕事してる時は静かな人がとっても煩くなって、他の人に怒鳴ったり。たくさんいたよね。それで他の人に迷惑かけてさ」
ディルとリュカは僕とお友達になる前、お酒飲むお店で酔っ払ってる人達に悪戯してたもんね。う~ん、僕怒鳴られるのヤダ。みんな今日は突撃やめよう。
ずっと僕達見て怒ってるおじさん。お父さんがとっても怖い顔した時、ハロルド達がトイレに来ました。
「兄貴どうしたんだ?」
「このバカがユーキに絡んできたんだ」
「バカだと!!」
「おい、お前の相手は俺達がしてやるよ」
ハロルドとタイドスがおじさんの首に腕回して、お外の方に連れて行きます。オクタビオが早くお部屋に戻れって、マシロが僕のお洋服咥えて、スタスタ歩き始めました。
お部屋に戻るとお母さんが起きてて、僕達がなかなかおトイレから戻ってこないから心配してたって。僕が酔っ払ってるおじさんに怒られて、ハロルド達がお外に連れて行ったってお話したら、お母さんさささってお洋服お着替えして、お部屋から出て行っちゃいました。
お腹がグ~ってなって、僕お腹空いちゃったの。いつの間にかアシェルもお部屋に来て、テーブルにサンドウィッチとあったかいスープ用意してくれました。ディル達も一緒に夜中だけどいただきます。
今日のサンドウィッチはお昼に食べたのじゃなくて、お魚さんが入ってるサンドウィッチです。スープはお芋さんのスープ。とっても美味しかったよ。
ご飯食べてたらお母さんとハロルド達が帰ってきて、あのおじさんにお仕置きしてきたからなって。おじさんごめんなさいして、何処かに行っちゃったって。
ご飯食べたらお腹いっぱいになって、また眠くなってきました。歯を磨いてもう1回おやすみなさい。
次の日はここにもある小さな子供冒険者ギルドに行きます。依頼書と持って帰ってきたお花とお水を渡すんだよ。それからまた別の依頼書見るの。また冒険に行くからそれの準備です。
次の冒険はお父さんとお母さんと行きます。お兄ちゃん達はじぃじ達とハロルド達と、大人の人が入れる森に行くんだって。
冒険者ギルドは大人の方も子供の方もたくさん人が集まってます。お兄ちゃん達にバイバイして僕はお父さんと子供ギルドに入りました。みんなの後ろに並んで自分の順番を待ちます。
僕の順番になって、今日はお兄さんじゃなくてお姉さんでした。
「こんにちは、今日はどうしましたか?」
カバンの中から依頼書出して、それからマシロのカバンからお花とお水出して、お父さんに抱っこしてもらってお姉さんに渡します。
「お預かりします。少し待っていてください」
お姉さんが依頼書見て、それからお花見て、お水はコップに入れ棒を刺しました。透明な棒で、棒が青く光ると良いんだって。少し待ってたら棒がポワッて青く光りました。
「はい確認できました。依頼達成です」
お姉さんがポンポンって依頼書にハンコ押します。それから棒のついたアメと大きなクッキーを出します。ちゃんと依頼できたからもらえるお菓子です。それから僕のペンダント確認したお姉さんがメダルをくれました。初めての冒険で、初めて依頼がちゃんとできた子にくれるメダルなんだって。
お父さんが僕のペンダントと一緒にメダルも首から下げてくれます。
「今日はこの後どうなさいますか? すぐに冒険に行かれますか?」
「いや、今日は依頼書を見て、明後日また行くつもりだ。」
「そうですか。今のところ明日はかなり混みそうなので、その方がいいと思います。ユーキ君、次の冒険も頑張ってくださいね」
「はいでしゅ!!」
お姉さんのお耳がピクピク動きました。お姉さんのお耳、猫さんのお耳なんだよ。猫の獣人さんです。このギルドは獣人さんがいっぱい。さっきはくまさんとオオカミさんの獣人さんがいました。
お姉さんにバイバイして今度は依頼書貼ってある所に移動します。お星様が1つの依頼書をお父さんが読んでくれます。この前のギルドとおんなじ依頼書もあるし、違う依頼書もありました。
洞窟を探検する依頼書があったの。洞窟の中で光るコケと光る石を探してくる依頼書です。光るコケって何?
光コケは洞窟の岩とか地面とか壁にくっついてて、短い草が集まってるのがコケなんだって。光るコケは洞窟にしかないの。この依頼書のコケはすぐに見つけられるコケだからお星様1個なんだって。珍しい光るコケは大人のギルドでお星様7個。
「僕これが良い」
「キミルも!」
みんなが洞窟探検したいって、僕も洞窟探検してみたいから、今度はこの依頼書することにしました。
さっきのお姉さんの所に依頼書持っていって、ハンコ押してもらってお外にでます。
お外に出たら、大人のギルドがとっても煩かったです。誰かが怒ってて、それからごめんなさいって言ってるお声が聞こえてきました。怒ってる声じぃじの声みたい。それからハロルド達の声も。
お父さんがギルドから離れようって言った時でした。バンッ!! ドアが開いておじさんがギルドの中から転がってきました。ゴロゴロゴロ。止まったおじさんを見たら、昨日の酔っ払いのおじさんでした。
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