第311話アースドラゴンのアース

 何の音かなぁ? 僕はマシロにくっつきます。ディル達も一緒にくっついて、お父さん達は僕達の前に立ちました。悪い魔獣が来たのかな? ドシンドシン大きな足音? だから、大きな魔獣かも。

 でもエシェットとルトブルもいつもの何でもないお顔してます。悪い魔獣が来た時のお顔してません。マシロも伏せしたまんまです。

 エシェットがお父さん達のお隣に立ってお話します。


「奴が来たのだ。レシーナが我らのことは話しているはずだからな。まず我らの所に来たんだろう。ユーキ!」


 エシェットに呼ばれてエシェット達の方に歩いて行きます。


「これからここに、ユーキ達と遊びたい大きな魔獣が来るぞ。レシーナの友達だ。ユーキもきっと喜ぶ魔獣が来るから、やつと遊んでやってくれ。ディル達もだぞ」


 僕が喜ぶ魔獣? どんな魔獣? 

 どんどん音が大きくなってきて、それから地面もぐわわわわっ、ぐわわわわって揺れます。目の前の木と木の間からガサゴソ音も聞こえてきました。そして…。


 ミシミシ、バタァ~ン!! 木が倒れてて、その倒れた所から、大きな大きなドラゴンが出てきました。


「ドラゴン!!」


 背中と体が赤色でお腹が青色して、頭の所に大きなギザギザのツノが生えてます。それからお顔はエシェットみたいだけど、ちょっとだけゴワゴワしてる感じです。

 僕達の方に歩いてきたドラゴンが、僕の前でお座りしました。それから自己紹介してくれます。


「俺はアースドラゴン。レシーナの友人だ。俺は子供と遊ぶのが大好きなんだが、一緒に遊んでくれるか?」

 

 僕達も自己紹介。


「えと、ぼくのなまえはユーキでしゅ! 2しゃいでしゅ! よろちくでしゅう!!」


 僕の自己紹介して次はディル達です。みんなお名前言ってすぐ、アースドラゴンの背中や頭に乗りに行っちゃいました。


「ドラゴンしゃん、おなまえなんでしゅか?」


「俺に名前はない。アースとでも呼んでくれ」


 何でお名前がある魔獣とない魔獣がいるのかな? ディルとかリュカやシルフィーはお名前あったでしょう? でもマシロ達は僕がお名前考えて、みんなお名前あった方が良いのに。

 僕またまた新しいお友達ができました。魔法使うお友達じゃないけど、お友達いっぱいになるのは嬉しいもんね。

 

 僕もアースの背中の乗っけてもらおう。そうだ、エシェットも一緒にドラゴンエシェットになったらもっと楽しいよ。

 エシェットに変身してってお願いしたら、エシェットはすぐに変身してくれようとしたんだけど、お父さんが慌てて僕にダメって言ってきました。

 もし他の人達がエシェット達見たら驚いちゃうからダメなんだって。僕はエシェットやシャーナ見てドラゴンびっくりしないけど、他の人達はドラゴン見た事ない人がいっぱい。だから大きなドラゴンが2匹もいたら、びっくりして攻撃されちゃうかもしれないの。

 攻撃はダメダメ! 悪いことするドラゴンじゃないもん。エシェットは僕のお友達だし、アースは僕達と遊びたいドラゴンだもんね。ドラゴンエシェットは今度お家で変身してもらおう。


 アースの背中に乗ろうとしたんだけど、アース大きくて僕じゃ登れません。エシェットがもう少し小さくなれって言って、スススッてアースが少し小さくなりました。それでも大きくてマシロが僕のお洋服咥えて背中まで飛んでくれて、背中に座らせてくれたよ。


 凄い凄い! ドラゴンエシェットや亀さんルトブルに乗るのも楽しいけど、アースに乗るのも楽しい! それからアースの体はちょっとあったかいです。エシェットもあったかいけど、もっとぽかぽかって感じ。


「こんなのはどうだ?」


 アースがお羽を広げたあと、お羽を地面に下ろしました。それで滑ってみろって。僕達は順番に滑ります。僕が1番ね。

 しゅうぅぅぅ!! 引っかからないで下まで滑れました。じぃじが作ってくれたお滑り台も僕大好きだけど、アースのお羽の滑り台も面白いです。面白いから何回もやっちゃいます。マシロに咥えてもらって背中に乗ってしゅうぅぅぅ! ディル達はお羽だけじゃなくてアースの大きなお爪でもお滑り台してます。


 アースがこんな事も出来るぞって言って、僕がお滑り台してる時、お羽をふわってあげて、もう片方のお羽に飛ばして、そっちのお羽から下に滑ります。


「おもちろい! もっかい!」


 ディル達も一緒にあっちに飛んで滑って、こっちに飛んで滑ってを何回もやります。アースもガハハハハッて笑って、どんどんやってくれるの。

 

 何回かやって、アースが今までで1番お羽を大きく動かしました。そしたら体がフワって上がって、片方のお羽の上に下りないで、僕の下に湖が見えたんだよ。マシロ達が僕のこと呼びました。


「主!!」


「ユーキ!!」


 マシロが僕の方に飛んできてお洋服を咥えます。


「くっ!!」


 そのままどんどん湖が近づいてきて、でも何かとってもゆっくり近づいてきます。マシロの足がお水の中に入って…。

 

 バシャアァァァァァァンッ!!


 大きなお水の跳ねる音が聞こえました。


 僕とマシロ、今湖の真ん中にいます。マシロの方振り向いたらマシロとってもびしょびしょ。僕もお洋服半分くらいびしょびしょです。すぐにマシロがお母さんの所に連れて行ってくれます。


「あらあら、こんなに濡れちゃって」


「我が魔法ですぐに乾かす。エシェットは奴を頼む」


 マシロが風の魔法で僕のお洋服乾かしてくれてる時、エシェットとルトブルがアースのこと怒りに行きました。

 2人に飛ばし過ぎだって怒られてアースしょんぼりしてます。エシェット達が結界張ってくれたんだけど、半分くらい僕達にお水がかかっちゃったんだよ。


 マシロの魔法でだんだんお洋服が乾いてきました。でも…。


「かあしゃん、ぱんちゅびしょびしょ」


「あらやだ。パンツの方まで濡れちゃったの!? どうしようかしら」


「今なら誰もいないからズボン脱いでマシロに乾かしてもらえ」


 僕はズボン脱いでパンツもマシロに乾かしてもらいます。

 それで乾かしてる時レシーナ達が木の所から出て来て、僕の格好見てびっくりしてました。お父さんがレシーナにどうしてお洋服乾かしてるのかお話したら、レシーナ達もエシェット達と一緒にアースのこと怒ります。

 アースね、僕がエシェットのこと怒る時みたいに、どんどん小さなドラゴンになっちゃって、今は僕くらいの大きさになっちゃいました。

 

 僕のお洋服が乾いてもずっと怒られてるアース。お父さんがそろそろやめてやれって言った時は、僕よりも小さくなっちゃってたの。僕はアースに近づいて頭をなでなでしてあげました。


「あなたはすぐに調子に乗るんだから。もう今日は終わり、向こうの森に戻るわよ。ユーキごめんなさいね」


「すまなかったユーキ。俺は今日は反省するため向こうの森に戻るが、また次森に来た時俺と遊んでくれるか?」


 え? だって僕とディル達とみんなアースとお友達でしょう? 何でそんな事聞くの? 良く分かんないけど、うん、また今度遊ぼうね。


「主は今回のような小さな出来事など気にしない。次遊ぶ時は気をつけろ」


 アースとレシーナ達にバイバイしたら、木の中にみんなが入って行きます。あれはキャロラインの魔法なんだって。くろにゃん達は闇の中に入って移動できるでしょう。キャロラインは木の中に入って移動できるの。大きいままのアースは通れないけど、今は小さいアースだから、一緒に木の中に入れるんだよ。


 荷物を片付けて、僕達も帰る準備です。帰りも地図を見て冒険しながら森の入り口まで戻ります。夕方に森の入り口に着くように考えて歩くんだって。難しいからお兄ちゃん達が時間を考えて歩いてくれるの。お兄ちゃん達のお勉強の時間ってお母が言ってました。


 またお手々が痒くなっちゃうお花があって剣で叩きます。今度はお花の石出て来ませんでした。草もあって倒したんだけど、草の方も何も出てこなかったの。ちょっと残念です。

 入り口が近くなってきたら、他の人達も帰る時間で、沢山の人達が集まって来てました。人がいっぱいでなかなかお外に出られないんだよ。


 やっとお外に出て、入り口にいたギルドのお兄さんにただいまします。お兄さんニコニコ笑ってお帰りしてくれて、僕達はそのままお宿まで行ってくれる馬車に乗りました。マシロ達はお外歩きます。他の人達も一緒に馬車に乗りました。僕はお父さんのお膝に乗って、馬車の窓からお外見ます。


「ユーキ楽しかったか?」


「うん!!」


「まだ冒険はできるからな。毎日行くと疲れて失敗したり怪我したりするといけないから2回寝たらまた来ような。まだまだ帰らないから沢山冒険できるぞ」


「ほんと!? やっちゃあ!!」


 僕1回だけ冒険だと思ってたからとっても嬉しいです。早く次の冒険行きたいなぁ。たくさんお花さん達と戦ったり、依頼書もやりたいし。あと、アースや他の魔獣と遊ぶんだ!

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