第305話冒険の練習頑張らなくちゃ!

「とうしゃん!! みてみて!!」


「落ち着けユーキ。お、カッコいいペンダントじゃないか」


「えと、エイムしゃんがちゅくってくれちゃの。ぼくぼうけんしゃでしゅう!」


 僕お父さんにペンダント見せて、嬉しくてお部屋の中ぐるぐる回っちゃいました。いっぱい走ってたらお父さんが僕のこと捕まえます。


「よかったな。ギルドにも入れたんだろう?」


「ギルドいっぱいひといちゃの」


「依頼書も見てきたのか?」


 ん? お父さん今何て言ったの? 


「それがユーキちゃん達喜びすぎちゃって、ペンダントもらって、そのままスキップで出てきちゃったのよ。それに今はペンダントの発行でとても混んでいるでしょう。もう少し落ち着いてからと思って。ギルドの職員も依頼書どころじゃないわ」


「そうか。それもそうだな。よしユーキ、依頼書のことを教えてやるぞ」


 依頼書っていうのは、ギルドにいるお兄さんやお姉さん、それから街の人達が僕達に森でやって欲しいことを書いてある紙で、その紙がギルドの壁に貼ってあります。

 僕達はその紙を見て、自分がやりたい事が書いてある紙をとって、お兄さん達に持って行くの。お兄さんはその紙に頑張ってのハンコ押してくれて、僕達は森に出発です。

 紙に書いてあることをやったらギルドに戻って来て、頑張りましたのハンコ押してもらってプレゼント貰うの。

 でも依頼書なくても冒険はできるんだよ。自分がやりたい事やって良いの。


 僕が冒険に行くのは、お父さんがお城のお仕事終わったらです。お仕事終わったらみんなで冒険に行くの。あと5日くらい? だからそれまでに依頼書見に行ってみようってジョシュアお兄ちゃんが言いました。


 あと、冒険に行くまでに僕達冒険の練習しなくちゃ。お泊りのお部屋の中とかお庭とか、いつも冒険者さんの真似してるでしょう。あれをもっと練習しないとダメダメです。


 次の日はまだまだ子供冒険者ギルド混んでるから、カバンに冒険に持っていく物全部入れて、お部屋で冒険の練習です。

 キミルが小さいお花のお山作ってくれたから、そのお山に向かってドアの所から鏡の前を通って、クローゼットの前通るでしょう、荷物がたくさん置いてある所通って、ルトブルが置いた小さな石が転がってる所通ります。最後はベッドの上に登った後に、ベッドの下を潜ってお花のお山に到着です。お花のお山の中にはキラキラの綺麗な石が隠してあります。


「みんないいでしゅか? しゅっぱちゅ!!」


「「「しゅっぱ~つ!!」」」


『しゅっぱつ!』


『しゅっぱつなの!!』


 まずは鏡とクローゼットの前をそっと歩きながら通ります。マシロは僕達と一緒に冒険。エシェットとルトブルとくろにゃんが悪い魔獣をやってくれます。まずはくろにゃんに見つからないように…。


「みんなしじゅかに」


「おいキミル、オレのこと押すなよ」


「キミル押してないもん!」


 クローゼットの前を通ってる時、ディルとキミルが喧嘩してとっても煩くなっちゃいました。クローゼットの上に隠れてたくろにゃんが、見つけたぞって言って飛び出してきて、僕達急いで逃げます。

 あのね逃げる時、隠れる所作っておいたの。厚い紙で作った全員が隠れられる小さな箱みたいなやつ。マシロは小さくなってそこに隠れます。


 僕達が急いで箱の中に隠れたら、くろにゃんがその周りをぐるぐる回って、どこ行ったって。マシロが静かにしてろって、ディルとキミルのこと小さなお声でそっと怒ります。2人ともお口押さえてしぃ~。僕達もお口押さえてしぃ~。


 やっとくろにゃんが箱から居なくなって、クローゼットの上に戻りました。箱から出て、今度はリュカが2人のこと怒ります。


「だってキミルが押したんだぞ!」


「僕押してないもん!」


「だから喧嘩するなと言っているだろう!」


 マシロが元のマシロに戻って、しっぽでパシンって2人のこと叩きました。


 次は荷物の置いてあるところと、ルトブルが置いてくれた石の所。荷物を避けて歩くのは上手に歩けました。でも石の所が難しかったです。

 ルトブルがカメさんルトブルになって、僕達が歩くところにドンって座ってて、僕達が通れないようにしてたの。端っこ通ろうとすると普通のカメさんはゆっくり歩くのに、ルトブルはサッて動いてお顔ガオォッ!! ってしてきます。


 マシロが僕達に背中に乗れって言って、みんなで順番に乗ります。準備ができたらピョ~ンってマシロがルトブルの上を飛び越えました。これで石の所は完璧です。


 最後はベッドの所。ベッドの上を順番に歩いて、下の所も順番に潜ります。

 エシェットが前のお兄ちゃん達みたいに、布団下ろして出口塞いできたり、反対側から風ぴゅうぴゅうして邪魔してきたり。

 それから1番後ろにいたピュイちゃん足掴んで、捕まえちゃいました。


『たすけてなのぉ~!!』


「ピュイちゃん!! みんなでたしゅけるでしゅう!! とちゅげきぃ!!」


 リュカがピカって光って周りをよく見えるようにして、みんなでエシェットの突撃します。

 

「い、いた、お前達本気でやるんじゃない!」


「もっとでしゅう!! ピュイちゃんまってて!」


 エシェットがピュイちゃんの足を離しました。動けるようになったピュイちゃんが、エシェットのお顔に飛んでいって、エシェットのお目々突きました。

 エシェットがぐあぁぁぁぁって言って、ごろんて転がりました。僕達の勝ち!!みんなでベッドの下から出て、万歳して拍手です。


 お花のお山の所に行って、中からキラキラの石を出してそれを持って、ギルドのお兄さんの代わりに、ジョシュアお兄ちゃんがギルドのお兄さんしてくれて、そこに石を持っていきます。


「こんにちわでしゅ!」


「おう、こんにちは。依頼書を出してくれ」


 僕はカバンから依頼書を出してお兄ちゃんに渡します。この依頼書はお兄ちゃんが作ってくれたの。キラキラの石を持ってきてって書いてあるんだよ。

 お兄ちゃんが紙と、僕達が持ってきた石を確認します。


「よし、ちゃんと石を持ってきたな。この石はこっちで貰うけど、その代わりほらこれをプレゼントだ」


 お兄ちゃんが依頼書にうさぎさんのハンコ押して、後ろの箱からお菓子の入った袋を僕達にくれました。これで冒険終わりです。

 冒険が終わった時、お母さんがお部屋に入ってきました。依頼書とお菓子見せたら、お母さんとっても褒めてくれたの。ふへへ、嬉しいなぁ。

 

 お母さん今、子供冒険者ギルドに行ってきたんだって。まだとっても混んでたみたい。明日も子供冒険者ギルドに行くのはやめましょうねって。冒険に行く日の前の日に、依頼書みにいきましょうって。

 う~ん、ちょっと残念です。すぐ行きたかったなぁ。でも混んでたら依頼書見れないかもしれないから、ちょっとだけ我慢がまん。


 夜のご飯食べて、休憩のお部屋で王様じぃじと遊んでたら、今度僕が冒険しに行く時、王様じぃじも一緒に冒険に行くって言いました。


「なぜお前がワシの孫の冒険についてくるのだ」


「孫のルーベンはもうそっちの森で遊ぶという歳ではないし、マイラは怖がっていかないと言われてのう。それにまたエリザベートの仕事で、明日から城を離れるんじゃ」


 マイラお姉ちゃん行かないの? 楽しそうだよ。僕お城に来てから、2回マイラお姉ちゃんとルーベンお兄ちゃんと遊びました。

 明日からマイラお姉ちゃんはお母さんと一緒に別の街に行くんだって。


 次の日、マイラお姉ちゃんに行ってらっしゃいのご挨拶です。玄関ホールでマイラお姉ちゃんが来るの待ってたら、お母さんと一緒にお姉ちゃんが下りてきました。

 ちょっとだけ2人でお話しです。


 お姉ちゃんは森に行くのがちょっと怖いんだって。それで今は怖くなくなるように、ちょっとだけ森に入ったり練習してるの。だからその練習が終わったら、一緒に森に冒険に行こうねって、お約束しようって言われました。

 うん! お約束! 練習が終わったら一緒に冒険に行こうね。

 マイラお姉ちゃんが馬車からお顔出してバイバイしてくれます。僕もいっぱいバイバイです。

 

 マイラお姉ちゃんがお出かけしてちょっとして、明日はいよいよ冒険に行く日です。今日はこれからお父さんとお兄ちゃん達と、子供冒険者ギルドに行って依頼書見ます。ふふふ、楽しみだなぁ。

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