第304話冒険の準備と冒険者ギルドのペンダント
「ぼうけん?」
「そうだ。森に行って冒険ができるんだぞ。レシーナがユーキのような小さい子供が、楽しく冒険できる森を作ってくれたんだ」
この前会った大地の精霊さんレシーナ達が森を作ったの。2つ森を作って、1つはお父さんやハロルド達、強い人達が入れる森で、もう1つは僕達が冒険者できる森なんだって。
少し前から街でお祭りしてるの。それは新しい森ができてみんなが新しい冒険ができるって、楽しくてお祭りしてるんだって、ジョシュアお兄ちゃんが教えてくれました。
冒険僕もできるの? ほんとう? 何回もお父さんにほんとうか聞きます。何回も聞いてたら、お母さんがお買い物行くわよって。森に冒険に行く準備しないとねって言いました。
ふわわわ、ふわわわわ!! ほんとうに冒険できるんだ! 僕達みんなで拍手です。うさぎさんのカバン持って、みんなでお店通りでお買い物です。
でもここはカージナルじゃないから、マシロのお毛々の中にキミルとモリオンは隠れて移動です。ディルとリュカは姿が見えないように変身。
冒険に持って行くものって何だろう? 僕剣持ってるでしょう、それから冒険者のお洋服持ってるでしょう。あとはあとは。
「ユーキ、冒険に行く時はそのうさぎさんカバンは持っていけないよ。汚れちゃってもいいカバン持っていかないとね。ほらこういうのだよ」
アンソニーお兄ちゃんが見せてくれたカバンは、いろんなところが汚れてて、それからポケットがいっぱい付いてます。
お兄ちゃんがカバンにお水をかけます。そしたらポタポタポタってカバンに入らないで地面に落ちました。
このカバンはお兄ちゃんが学校で冒険のお勉強する時に使ってるカバンで、森にいると街みたいにすぐに傘が使えない時があるんだって。だから濡れてもカバンの中が濡れないように、こうやって雨を弾いちゃうカバンを持って行くの。
「ポッケは、なにいれるの?」
「これは細かいもの入れるんだよ。例えばすぐに使う魔力石は洋服のポッケに入れたりするけど、すぐに使わない石はこのポケットにしまったり、僕は疲れた時に元気になる飴入れたりしてるんだ」
「ユーキちゃんも冒険に行くでしょう。お兄ちゃんみたいなカバンも買いましょうね。もちろんみんなの分も買いますからね」
僕達みんなでまたまた拍手です。
お店通りの真ん中くらいにカバン屋さんがありました。このお店はクロエさんのお友達がカバンを売ってるお店です。さっきお母さんが教えてくれました。クロエさんがディル達の小さいお洋服作ってくれた時、きっとカバンもいるはずってお話し合いして、少し前から小さいカバン売ってるんだって。
お母さんが好きなカバン選んで良いって言ったから、みんなでカバンが置いてある棚を端っこから端っこまで見ます。マシロはキミル達隠したまま移動。
あっち見たりこっち見たり、少ししてディル達は自分の色のカバンにするって言いました。じゃあ僕はお父さんとおんなじ色のカバンにしよう!
冒険に持っていく道具やハンカチとか入れるカバンの他にも、もう1つカバンがいるんだって。ジョシュアお兄ちゃんはカバン3つ持ってるの。
そのもう1つのカバンは、冒険に行くときは何も入れないで持っていきます。冒険してて見つけた宝物を入れて持って帰ってくるためのカバンです。
「ユーキみたいに魔獣と友達になってると、その魔獣にそういうカバンを持ってもらってる人もいるんだよ。ユーキはいつも母さんがやってるみたいに、マシロに持ってもらうといいよ。マシロいい?」
「もちろんだ」
「ならこれが良いかしら。ユーキちゃんがマシロに乗って移動しても、このカバンなら邪魔にならないわ」
お母さんがマシロの背中にカバンをつけます。マシロとおんなじ真っ白のカバンです。もしマシロが持ってるカバンに、宝物がたくさんで入らなくなっちゃっても、くろにゃんとモリオンが闇の中にしまってくれるって。
カバンを買ってもらって、次はさっきお兄ちゃんが言ってた、疲れたときに食べるとお元気になるアメを買いに行きます。ディルがみんな元気にしてくれるけど、ずっと1人で頑張ってたら疲れちゃうでしょう。だからディルが疲れないように、僕達たまにアメ舐めるんだよ。
アメ買って、お菓子も一緒に買って貰いました。お菓子は冒険でお腹空いたときに食べるの。お昼のご飯食べるし、夕方までにお家に帰るけど、その間にお腹空いちゃうかもしれないもんね。
アメとお菓子買ったら次はお靴買いに行きます。
雨で土がビチャビチャでも川の中歩いてもすぐに乾いて、サラサラの砂の上歩いても、氷の上歩いても滑らないお靴買います。
「靴は1番汚れるから、この濃い茶色の靴にしましょうか。ユーキちゃん履いてみましょう」
お靴履いてちょっと歩いてみます。いつもよりちょっと大きいみたい。
「これくらいの緩さなら大丈夫そうね。子供はすぐに大きくなっちゃうからこれくらいの方が良いわ」
お靴買ってもらって、最後は冒険者ギルドのお隣のお家に行きました。綺麗なお家で、昨日できたばっかりのお家なんだって。
中に入ると、たくさん小さな子がいました。それから冒険者のお洋服着た人達と、騎士さんのお洋服着た人達もいっぱい。みんなのお父さんお母さん、それからお兄ちゃんにお姉ちゃんだって。
列が3つあって右の列に並びました。いっぱい並んでて、なかなか前に進みません。ここで何するのかな?
「冒険するのに、とっても大切なことするのよ。それから大切な物貰うの。頑張って並びましょうね」
大切な事に大切な物? お兄ちゃん達の方見たら、2人ともニヤニヤお顔してました。
少しずつ列が進んで、やっと僕達の番です。台が高くて僕何も見えないからお母さんが抱っこしてくれます。隣にいる子達もみんな抱っこしてもらってるよ。
台の向こう側にはお兄さんが立ってました。隣の列にはお姉さん、その隣もお姉さん。お兄さん達の後ろには他にもたくさん人がいて、みんなとっても忙しそうです。
「いらっしゃい。子供冒険者ギルドにようこそ。今日は登録ですか?」
子供冒険者ギルド?
「ユーキちゃん、子供は8歳になるまで、隣の冒険者ギルドには入れないでしょう。でもこっちの子供冒険者ギルドなら、ユーキちゃんみたいに小さな子が入れるのよ。ユーキちゃんはハロルド達が付けてるペンダント見たことがあるでしょう?」
うん。ハロルドとタイドスとオクタビオ、みんな同じペンダント持ってる。あれお揃いでみんなで買ったんでしょう? 僕がそう言ったら、お母さんが違うって言いました。
あのペンダントは冒険者ですよっていうペンダントなんだって。持ってないと冒険者になれないの。ペンダントにはお名前とどれくらい強い冒険者さんか書いてあって、冒険者のお仕事するときは、ギルドの人にペンダントを見せてからお仕事するの。とっても大切なペンダントです。
僕達今度冒険するでしょう。だから王様じぃじが僕達みたいな小さい子だけが冒険のお仕事できる、子供冒険者ギルド作ってくれたんだって。
僕達だけ? すごい凄い!!
お兄さんにお名前言って、お兄さんが僕が冒険者ですよって紙に書いて、後ろで仕事してる人に渡します。後ろの人はそれを見てペンダントに名前書いてくれて、名前書いてある紙は大切に棚にしまいます。できたペンダントをもらったら僕も冒険者だって。
「冒険者になりますか?」
「はいでしゅ!!」
僕大きな声でお返事しました。お兄さんがニッコリ笑って、お名前と歳を言ったら、お兄さんがちょっと待ってて下さいって、階段上がって行っちゃいました。すぐに戻ってきてくれたけど、お兄さん1人じゃありませんでした。エイムさんが一緒に階段下りてきたの。
「さっそく来ましたね。ユーキ様、僕と一緒に上のお部屋に来ていただけますか?」
みんなでぞろぞろ2階に上がります。それから2階の1番奥の大きなお部屋に入ってソファーに座りました。さっきのお兄さんも一緒のお部屋に入ってエイムさんのお隣に立ちます。
「ここにお呼びしたのは、ペンダントにマシロ様達のお名前を書くからですよ」
ペンダントには自分の名前とマシロ達みたいにお友達の名前も書くんだって。でも僕みたいにたくさんお友達いる子は少ないから、さっきの場所でマシロ達のお名前を言うとみんなびっくりしちゃうといけないから、このお部屋でペンダントにマシロ達のお名前書いてくれるの。
お兄さんがドラゴンの形したペンダントをエイムさんに渡します。エイムさんがペンダントに文字書くとその文字がすぐに消えました。それを何回かして、エイムさんがペンを置きました。
「さぁ、出来上がりですよ。これでユーキ様も冒険者です」
僕は自分の首にペンダントを下げます。ドラゴンのペンダントカッコいい。でも…ペンダントなにも書いてないよ。だってさっき消えちゃったもんね。僕達のお名前は?
エイムさんに聞いたら、ペンダントに特別な魔力石を使うと、お名前が分かるようになってるって言いました。
エイムさんが灰色の魔力石出して、僕のペンダントに近づけると、ペンダントにたくさん文字が出てきて、離すと文字が消えました。面白いねぇ。
エイムさんとお兄さんにありがとうして、子供ギルドから出ます。全部の準備が終わったからお店通りはもうおしまい。帰る時間です。早く帰ってお父さんにこのペンダント見せなくちゃ。
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